メディアS Research Memo(7):2023年7月期は利益面は前期比で減少も、上方修正でやや増加の見込み(2)
■業績見通し
(3) ライフスタイルDX
「EdTech」「FanTech」「HealthTech」及び映像コンテンツを活用したオリジナルアプリの制作を可能とする「S-applico」の展開を強化する。このアプリの特徴は、クリエイター自身が動画や音声などのデジタルコンテンツを配信するスマートフォンのオリジナルアプリを開発し、各アプリストアで配信することができ、サブスクリプション型課金と広告収入で登録するファン数に比例して収益を安定させることが可能である点で、クリエイターはアプリの開発から運営までワンストップで活用できる。
メディアシーク<4824>は、2023年5月31日よりWeb決済代行業者であるSBペイメントサービス(株)及び後払い決済代行業者である(株)キャッチボールと協業し、新サービス「エスコレ」をスタートした。同社のスクール運営システムである「マイクラス」を運営していくなかで、コロナ禍以降に急速に進むサブスクリプションに対応する料金回収システムを構築し、後払い機能付きのクレジット継続課金システムのサービスを開始した。エスコレのメリットとして、1)継続課金サービスに便利であること、2)料金の回収漏れがゼロになること、3)料金回収における督促の手間を軽減できること、4)初期費用負担が軽減できることがある。同サービスの展開により、同社は安定的な定常的な売上を計上することが見込まれる。
2023年7月期第2四半期のライフスタイルDXの各サービスにおける売上構成比を見てみると、マイクラスをはじめとする「EdTech」が71.1%、「FanTech」が12.4%、「HealthTech」が16.5%である。今後は、コロナ禍からの回復に伴い、カルチャーセンターなどの教室には生徒が戻る見込みのため、「マイクラス」の利用客は減少が見込まれるものの、業務効率化のために他社の教育システムから「マイクラス」へ移行する法人も見られ、今後「EdTech」の売上高は堅調に推移すると見られる一方、「FanTech」においては、2023年3月にタイの人気俳優との日常を楽しむシミュレーションゲームの配信を開始し、一緒に写真が撮れるフォトフレームアプリについても配信予定など、2023年7月期では投資を増額し将来的な成長を見込んでいることから、今後、「FanTech」の割合が増加する可能性がある。
(4) ブレインテック・DTx
同社は、医療機器プログラムの開発能力とブレインテックのノウハウを軸に、製薬企業、医療機器メーカー、大学病院と積極的に連携を行い、オープンイノベーション型の共同事業を推進している。慢性疼痛においては、千葉大学医学部付属病院痛みセンターにて行われたニューロフィードバックを用いた研究の論文を公開し、軽度認知症についても研究・開発と並行して大学病院と連携を進めている。2023年3月には、接骨院・鍼灸院の支援事業を展開するアトラグループ(株)に協力し、脳波を活用したヘルステック事業のサービス開発を行うことで合意した。
現状、治療用アプリの受託開発を行っているが、その後はニューロフィードバックに関するエンジンの提供、ブレインテックサービスにおける「自由診療※」への提供を目指し、治療用アプリの医療承認後の販売を目指す。
※ブレインテックサービスにおいては医療行為のうち患者が自己負担で行うもので、神経難病の診断・診療を行う医師や医療機関と連携して提供していくものとされている。
2022年12月に同社グループは、1)医薬申請を想定しているソフトウェアを主体とするプログラム、2)疾病の予防、診断・治療などの医療行為を実施するデジタル技術をDTxと定義し、「DTxカオスマップ2022」を作成した。DTxの向上による医療的成果が期待されており、デジタル技術による医療サービスを推進することで、治療効果の向上や医療費削減、人手不足解消などにつながることが見込まれる。そのため、同社は、DTx関連の国内企業や今後国内での展開を予定している外資系企業をもとに、「循環器系疾患(心臓血管)」「がん」「脳卒中」「感染症(呼吸器)」「認知症」「整形外科疾患」「精神・行動障害」「内分泌・代謝系疾患(糖尿病)」「その他」の9カテゴリーに分類し、約50企業からなる同マップを作成した。
(5) ベンチャーインキュベーション
投資先のスタートアップ企業やベンチャー企業のIPO実現によるキャピタルゲイン等により同社の純資産は大きく拡大しており、さらなる成長に向けて取り組む。現在は、動画分析技術を核にスポーツテックの事業領域で事業展開を行うRUN.EDGE(株)へ1億円の出資をはじめ、他3社に投資を行っている。
同社は、今後上場会社にも積極的に投資を行う方針で、同社と共同開発をするなかで、上場会社の株価上昇による純資産拡大により、企業価値を高めていく新しいコンサルティングのビジネスモデルを今後1年程の間に策定したいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
《YI》
提供:フィスコ