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国内株式市場見通し:連休中に金融政策イベント、連休明けは国内決算ピーク


 

■日銀の現状維持で週末に年初来高値更新

今週の日経平均は週間で292.07円高(+1.02%)と3週続伸。週足のローソク足は下ヒゲを伴った陽線を形成した。日経平均はもみ合いが続いたが、節目の28500円を維持する底堅さを見せ、週末には大きく上昇した。米経済指標の下振れによる景気後退懸念や米地銀のファースト・リパブリック・バンクの株価急落が投資家心理を悪化させた一方、マイクロソフトなどの米IT大手の堅調な決算が安心感を誘った。国内での企業決算はまちまちながらも、半導体不足の緩和を背景に自動車関連で好決算が目立ったほか、減益ガイダンスが多かった製造業でもあく抜け感が強まる銘柄も散見され、個別株物色が全体を下支えした。強弱感が混在する中、一時軟化した日経平均は週末にかけて持ち直し、日本銀行の金融政策決定会合で政策の現状維持が決定すると、為替の円安が加速する中、上値を追う展開となった。

■米国でFOMCなど材料多数、連休明けは国内決算が佳境入り

来週・再来週の東京株式市場は一進一退か。来週は国内の大型連休に伴い、東京市場は週初2日間のみの立会いとなる。連休中に米連邦公開市場委員会(FOMC)(5月2-3日)、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見、米供給管理協会(ISM)の4月非製造業(サービス業)景気指数(3日)、米雇用統計(5日)など重要イベントが目白押しのため、来週は様子見ムードが強くなりそうだ。ただ、連休中の空白リスクを嫌った手仕舞い売りなどには注意しておきたい。1日に発表予定の米4月ISM製造業景気指数は46.8と前月(46.3)から小幅な改善が見込まれているが、6カ月連続で景況感拡大・縮小の分岐点である50割れとなる予想だ。景気後退懸念が強まった場合、日銀金融政策決定会合以降に大きく進んだ為替の円安反転リスクには留意しておきたい。

5月FOMCでは0.25ポイントの利上げが濃厚で、金利先物市場でもすでに約85%の確率で織り込み済みだ。一方、利上げは今会合が最後とみられており、次回6月会合での利上げは25%程の確率でしか織り込まれていない。しかし、米銀行の経営不安が広がりを見せず、金融システム不安が小康状態にある中、今週に発表された個人消費支出(PCE)コアデフレーターや雇用コスト指数など米国のインフレ関連指標は総じて高い伸びとなった。米アトランタ連銀の賃金トラッカーが示す賃金動向も高止まりしている中、パウエル議長が利上げ打ち止めを明言するかは不透明だ。FOMC後のあく抜け的な動きはあまり期待しない方がよいかもしれない。

米4月ISMサービス業景気指数は52.0と3月(51.2)から小幅な改善が予想されている。米電子決済サービス大手のビザやマスターカードの1-3月期決算は良好で、個人消費の堅調さが確認されている。ただ、旅行など一部の分野への支出に偏っている可能性があるほか、消費が堅調なのは高所得者層に限られているとみられる。ISMサービス業景気指数が下振れて50を割り込んだ場合には景気後退リスクが意識される展開には注意したい。また、反対に上振れた場合には景気後退懸念は緩和されるだろうが、FOMCの結果次第ではインフレ長期化・利上げ継続が意識される可能性がある。週末の米雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが前月から鈍化、平均時給の伸びは前年比および前月比で共に横ばいが予想されているが、こちらも上振れは景気後退懸念を緩和する一方で利上げ継続示唆として嫌気されるリスクがあろう。

ほか、欧州中央銀行(ECB)が4日に定例理事会を開催する。欧州は米国ほど物価指標が明確に鈍化しておらず、一部高官からは0.5ポイントの大幅利上げ継続を主張する声も聞かれる。グローバルな金利高止まりが意識される場合には世界の株式市場全体の重しになりそうだ。

再来週は国内の企業決算が佳境を迎える。一週間で合計2000社超の決算が予定されており、個別株物色が中心となる中、株価指数はもみ合いが継続するだろう。また、米国では消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)が発表される。来週に開催されるFOMCが利上げ継続に含みを残す結果となった場合には両物価指標に対する注目度は高まると思われ、これら指標結果を受けた米国市場の動向に左右されやすい展開となりそうだ。その米国では、大型IT銘柄など一部の銘柄が指数をけん引していて実体は指数程には堅調ではないと考えられる。日銀金融政策決定会合を受けて年初来高値を更新した日経平均だが、米国株の動向次第での反落リスクには注意したい。

■自動車関連に妙味

個別では、原材料高の一服と昨年からの値上げで利益率の改善期待が高い食料品セクターのほか、自動車関連にも注目。新型コロナショック以降、長らく半導体をはじめとした部材不足などに悩まされてきたが、半導体不足が緩和するなか好決算を発表する銘柄が多く見られている。また、PBR(株価純資産倍率)で1倍割れ企業が多いことも特徴で、自社株買いなどを合わせて発表する企業も散見される。米国の景気後退や為替の円高反転のリスクは伴うが、円安基調は根強く定着してきており、景気敏感株の中では妙味が高いと考える。

■米ISM景気指数、米雇用統計、米CPI・PPIなど

来週・再来週は5月1日に4月新車販売台数、イビデン決算、米4月ISM製造業景気指数、2日に三井物産の決算、米FOMC(-3日)、3日に米パウエルFRB議長会見、米4月ISM非製造業景気指数、4日に中国財新4月製造業PMI、ECB定例理事会、米アップル決算、5日に米4月雇用統計、9日に3月家計調査、10日に米4月CPI、11日に3月貿易収支、米4月PPI、が予定されている。

《FA》

 提供:フィスコ

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