明日の株式相場に向けて=低PBR最後のオアシス「建設」を狙え
きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比41円高の2万8457円と反発。朝方は安かったが下値では買いニーズが旺盛であり、TOPIXが先行する形で日経平均も引っ張り上げられる格好となった。前日の欧米株が弱かった割に強さを発揮したのは、米株価指数先物の上昇と堅調なアジア株の影響が大きかったようだ。売買代金は約1カ月ぶりに3兆円台に乗せたが、これは海外投資家の買いを反映した可能性が高い。
前日の欧州株市場ではドイツやフランス、英国といった主要国の株価指数が総じて売られる展開となり、投資家のリスク回避ムードが続いているほか、米国株市場でもNYダウが200ドルあまりの下げで続落、直近2営業日で570ドルあまりも水準を切り下げた。米地銀の預金流出を強者による淘汰と見るか、業界全体の地盤の揺らぎとみるかは判断の分かれるところだが、不安材料としては当分くすぶる。クレディ・スイス<CS>問題でざわついた欧州はもちろん、米国もリーマン・ショックの教訓から金融機関は国策支援で決して潰さないという構えを事実上明示しているが、これですべて一件落着ということにもならず弥縫策(びほうさく)の弊害は生じる。株式市場はその際に重要なバロメーターとなる。
足もとの米国株市場で救いとなっているのは、GAFAMの決算発表が概ね市場コンセンサスを上回っていることだ。前日はマイクロソフト<MSFT>効果でハイテク株が強さを発揮、ナスダック総合株価指数は上昇して引けた。引け後発表のメタ・プラットフォームズ<META>の決算もコンセンサスを上回り、時間外で大幅高に買われた。今回は相次ぐ巨大IT企業の決算が、市場センチメントを弱気に傾かせない支柱の役割を担っている。米国株市場が崩れない限り、日本株が深い押し目を形成するというシーンも想定しにくい。
差し当たって、あす28日に判明する日銀金融政策決定会合の結果と植田日銀総裁の記者会見、そして5月2~3日の日程で行われる米FOMCが2大関門となる。日銀の決定会合はイールドカーブ・コントロール(YCC)を巡る思惑が錯綜しているが、現時点で市場関係者の声を聞くと、植田総裁がここでYCC撤廃のカードを切ることはないという見方がほとんどであった。ただ、遅かれ早かれであることに違いはなく、今回は4月の展望リポートが発表されるが、その内容次第でYCC撤廃のタイミングが再び意識されそうだ。
一方、FOMCではFRBが今回0.25%の政策金利引き上げを行うことがほぼ確実視されているが、マーケットの関心はここで打ち止めとなるのかどうかである。米国事情に詳しい市場関係者は「パウエルFRB議長は今回で利上げ打ち止めを肯定することはもちろん、匂わすようなことすらしないだろう」(生保系アナリスト)という。そしてマーケットが勝手解釈で株高の根拠とする年内“利下げ”の思惑については「改めて可能性を否定し、釘を刺す公算が大きい」(同)とする。インフレ再燃だけは絶対に回避するというのがFRBの姿勢で、そのためにはリセッションも辞さずというスタンスに変化はないという。
東京市場に目を向けると、個別株は半導体関連が暴風雨に見舞われているが、それでもこれだけ全体相場が底堅い動きをみせるのは、バリュー株への投資が活発化していることが背景にある。 目先注目度が増しているのが、これまでカヤの外にあった建設セクターだ。低PBR株の宝庫であったが買いの根拠が乏しく、あまり投資家の視線が向いていなかったが、大林組<1802>への英アクティビストの配当要請や清水建設<1803>の自社株買い発表を契機に、にわかに低PBRと株主還元強化の思惑がジョイントした。超低PBR・高配当利回り株の“つかみ取り状態”であり、更なる株主還元も期待できる。目先マークしたい銘柄としては、飛島建設<1805>、松井建設<1810>、ナカノフドー建設<1827>、巴コーポレーション<1921>、鉄建建設<1815>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、3月の失業率、3月の有効求人倍率、4月の都区部消費者物価指数(CPI)、3月の商業動態統計、3月の鉱工業生産指数(速報値)がいずれも朝方取引開始前に発表される。午後には3月の自動車輸出実績、3月の住宅着工統計が開示される。また、この日は日銀金融政策決定会合の結果と4月の展望リポート、引け後に植田日銀総裁の記者会見が行われる。海外では、1~3月期台湾GDP、ユーロ圏の1~3月GDP(速報)、ロシア中銀の政策金利発表、3月の米個人所得・個人消費支出、4月の米シカゴ購買部協会景況指数、4月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
前日の欧州株市場ではドイツやフランス、英国といった主要国の株価指数が総じて売られる展開となり、投資家のリスク回避ムードが続いているほか、米国株市場でもNYダウが200ドルあまりの下げで続落、直近2営業日で570ドルあまりも水準を切り下げた。米地銀の預金流出を強者による淘汰と見るか、業界全体の地盤の揺らぎとみるかは判断の分かれるところだが、不安材料としては当分くすぶる。クレディ・スイス<CS>問題でざわついた欧州はもちろん、米国もリーマン・ショックの教訓から金融機関は国策支援で決して潰さないという構えを事実上明示しているが、これですべて一件落着ということにもならず弥縫策(びほうさく)の弊害は生じる。株式市場はその際に重要なバロメーターとなる。
足もとの米国株市場で救いとなっているのは、GAFAMの決算発表が概ね市場コンセンサスを上回っていることだ。前日はマイクロソフト<MSFT>効果でハイテク株が強さを発揮、ナスダック総合株価指数は上昇して引けた。引け後発表のメタ・プラットフォームズ<META>の決算もコンセンサスを上回り、時間外で大幅高に買われた。今回は相次ぐ巨大IT企業の決算が、市場センチメントを弱気に傾かせない支柱の役割を担っている。米国株市場が崩れない限り、日本株が深い押し目を形成するというシーンも想定しにくい。
差し当たって、あす28日に判明する日銀金融政策決定会合の結果と植田日銀総裁の記者会見、そして5月2~3日の日程で行われる米FOMCが2大関門となる。日銀の決定会合はイールドカーブ・コントロール(YCC)を巡る思惑が錯綜しているが、現時点で市場関係者の声を聞くと、植田総裁がここでYCC撤廃のカードを切ることはないという見方がほとんどであった。ただ、遅かれ早かれであることに違いはなく、今回は4月の展望リポートが発表されるが、その内容次第でYCC撤廃のタイミングが再び意識されそうだ。
一方、FOMCではFRBが今回0.25%の政策金利引き上げを行うことがほぼ確実視されているが、マーケットの関心はここで打ち止めとなるのかどうかである。米国事情に詳しい市場関係者は「パウエルFRB議長は今回で利上げ打ち止めを肯定することはもちろん、匂わすようなことすらしないだろう」(生保系アナリスト)という。そしてマーケットが勝手解釈で株高の根拠とする年内“利下げ”の思惑については「改めて可能性を否定し、釘を刺す公算が大きい」(同)とする。インフレ再燃だけは絶対に回避するというのがFRBの姿勢で、そのためにはリセッションも辞さずというスタンスに変化はないという。
東京市場に目を向けると、個別株は半導体関連が暴風雨に見舞われているが、それでもこれだけ全体相場が底堅い動きをみせるのは、バリュー株への投資が活発化していることが背景にある。 目先注目度が増しているのが、これまでカヤの外にあった建設セクターだ。低PBR株の宝庫であったが買いの根拠が乏しく、あまり投資家の視線が向いていなかったが、大林組<1802>への英アクティビストの配当要請や清水建設<1803>の自社株買い発表を契機に、にわかに低PBRと株主還元強化の思惑がジョイントした。超低PBR・高配当利回り株の“つかみ取り状態”であり、更なる株主還元も期待できる。目先マークしたい銘柄としては、飛島建設<1805>、松井建設<1810>、ナカノフドー建設<1827>、巴コーポレーション<1921>、鉄建建設<1815>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、3月の失業率、3月の有効求人倍率、4月の都区部消費者物価指数(CPI)、3月の商業動態統計、3月の鉱工業生産指数(速報値)がいずれも朝方取引開始前に発表される。午後には3月の自動車輸出実績、3月の住宅着工統計が開示される。また、この日は日銀金融政策決定会合の結果と4月の展望リポート、引け後に植田日銀総裁の記者会見が行われる。海外では、1~3月期台湾GDP、ユーロ圏の1~3月GDP(速報)、ロシア中銀の政策金利発表、3月の米個人所得・個人消費支出、4月の米シカゴ購買部協会景況指数、4月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)など。(銀)
出所:MINKABU PRESS