SFP Research Memo(4):積極的な店舗数の拡大とともに高い成長性と収益性を実現(2)
■決算動向
2. 2023年2月期の業績
SFPホールディングス<3198>の2023年2月期の業績は、売上高が前期比120.2%増の22,913百万円、営業損失が754百万円(前期は7,919百万円の損失)、経常利益が同28.1%減の1,583百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同68.5%減の549百万円とコロナ禍からの一定の回復により大幅な増収となり、営業損失も大きく縮小した。一方、経常利益以下が減益となったのは主に助成金収入の減少によるものであり、その点は想定内である。
売上高は、コロナ禍(第7波等)の影響を受けたものの、総じて回復基調が続いており前期比2.2倍に伸長した。特に、早朝・深夜帯の営業の一部再開(第2四半期)や訪日観光客の急増(第3四半期)、宴会需要の復興(年末年始)に伴い、四半期ごとに段階的な回復を実現してきた。ただ、期初計画に対して若干下振れたのは、第7波の影響等により回復のペースにやや遅れが生じたことが理由である。実質既存店売上高(通期)はコロナ禍前比(2020年2月期比)69.2%(前期は30.1%)、2023年2月(単月)だけで見ると84.4%の水準にまで戻ってきた。
出退店については、新規5店舗(うちFC2店舗)を出店した一方、10店舗(うち連結子会社5店舗)を退店し、2023年2月期末の店舗数は210店舗(うちFC16店舗)となった。
損益面でも、コロナ禍の断続的な波の到来や物価上昇の影響※1等により期初計画(通年での営業黒字化)には届かなかったものの、増収に伴う収益の押し上げや収益体質の強化を通じて大きく改善に向かっており、第4四半期には営業黒字化(四半期ベース)を実現している。特に、物価上昇等に伴う厳しい収益環境の下でも、これまでの取り組みが奏功し、原価率が安定的に推移しているところは特筆すべきポイントと言える※2。
※1 物価上昇による原価率への影響は軽微であったものの、販管費(電気・ガス代、人件費等)には約4.2億円の増加要因となった。
※2 商品規格の見直しやグループ共同購買による仕入単価の低減、価格改定等により原価率は安定的に推移しており、通期で29.3%の水準に抑えることができた。
財政状態については、総資産は前期末比9.2%増の17,574百万円となった。一方、自己資本も内部留保の積み増しにより、同0.8%増の12,540百万円に増加し、自己資本比率は71.4%(前期末は77.3%)と高水準を維持した。
主な業態別の業績は以下のとおりである。
(1) 鳥良事業
売上高は前期比139.2%増の4,328百万円となった。退店4店舗及び業態転換による2店舗減により、2023年2月期末の店舗数は37店舗となった。
(2) 磯丸事業
売上高は前期比144.9%増の13,928百万円となった。新規出店4店舗(うちFC2店舗)及び退店1店舗により、2023年2月期末の店舗数120店舗(うちFC16店舗)となった。なお、FC出店については、初めてとなるフードコート※向けの「磯丸水産食堂」が含まれる。
※グループ会社であるクリエイト・レストランツ(CR社)へのFC展開により、CIAL横浜「ハマチカ」へ出店。CR社のフードコートにおけるオペレーションノウハウと「磯丸水産」ブランドの掛け合わせによる相乗効果を狙う。
(3) その他
売上高は前期比85.0%増の3,142百万円となった。新規出店1店舗及び退店1店舗、業態転換による3店舗増により、2023年2月期末の店舗数は27店舗となった。また、そのうち注力業態である「ネオ大衆酒場」の店舗数は4店舗の業態転換により合計12店舗に増加した。
(4) フードアライアンスメンバー(連結子会社)
売上高は前期比25.2%増の1,513百万円となった。退店5店舗により、2023年2月期末の店舗数は26店舗となった。
3. 2023年2月期の総括
以上から2023年2月期を総括すると、コロナ禍(第7波等)の影響が回復ペースに水を差したとは言え、その影響を除くと、ほぼ想定どおりに回復基調をたどり、営業損失の大幅な縮小(第4四半期では営業黒字化)を実現したところは、同社業態の優位性が失われていないものとして評価したい。さらに不採算店舗の整理や環境変化を見据えた新業態への転換、コスト削減への取り組みにより、筋肉質な収益体質が確立してきたことも、今後に向けて明るい材料と言えるだろう。また、後述するように、地方都市への出店や注力する「ネオ大衆酒場」への業態転換などで今後の方向性を示すことができた点も、大きな前進として評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《SI》
提供:フィスコ