ヴィンクス Research Memo(5):2022年12月期は計画を上回る大幅増益で着地
■業績動向
1. 2022年12月期連結業績の概要
ヴィンクス<3784>の2022年12月期の連結業績(期初より「収益認識会計基準」等を適用しているが影響軽微。また第3四半期からホロンを新規連結)は、売上高が前期比6.3%増の31,734百万円、営業利益が同22.7%増の3,098百万円、経常利益が同20.5%増の3,058百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同26.9%増の2,051百万円となった。期初計画(売上高31,000百万円、営業利益2,620百万円、経常利益2,630百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,670百万円)を上回る大幅増益で着地した。
国内小売業におけるDXニーズの高まりで需要が高水準に推移したことに加えて、既存顧客へのさらなる深耕、適正な受注価格の維持、ライセンス販売の増加に伴うストック収益の増加、継続的な生産性向上や品質向上・不採算化に向けた取り組みの成果なども寄与した。全社ベースの売上総利益は9.1%増加し、売上総利益率は前期比0.6ポイント上昇して23.7%となった。販管費は1.3%微増に止まり、販管費比率は同0.6ポイント低下して14.0%となった。この結果、営業利益率は同1.3ポイント上昇して9.8%、経常利益率は同1.1ポイント上昇して9.6%、親会社株主に帰属する当期純利益率は同1.1ポイント上昇して6.5%となった。利益率は上昇基調である。営業外収益・費用及び特別利益・損失では特に大きな項目の発生はなかった。
ソリューション分野・プロダクト分野が伸長
2. 分野別動向
分野別に見ると、ソリューション分野は前期比10.4%増収、同6.2%営業増益、プロダクト分野は同20.3%増収、同52.4%営業増益となった。いずれも需要が高水準に推移し、ハードウェアに依存しないPOSシステム「ANY-CUBE」、MD基幹システム「MDware」、自動発注システムなどが好調となった。特にプロダクト分野がライセンス販売の増加も寄与して大幅伸長した。アウトソーシング分野は同0.2%増収、同41.5%営業増益となった。売上面は全体として横ばいに留まったが、コロナ禍の影響を受けていた海外ビジネスが回復傾向となり、利益面は業務効率化も寄与して大幅増益となった。その他IT関連分野は同1.8%減収、同18.7%営業増益となった。付帯ビジネス(ハードウェア仕入販売)が減少したことに伴い、全体として利益率が改善した。
主要な受注案件としては、ニューリテール戦略で関西小売業グループ向けMD基幹システム「MDware」開発案件、関東地方に展開するドラッグストア向け次期POSシステム開発案件、関東地方に展開する食品スーパー向けCRMシステム開発案件、全国展開する靴専門店向けCRMシステム開発案件、首都圏に展開するスーパー向けAI販売数予測システム開発案件、特定顧客化戦略で総合小売業グループ向け物流関連基幹システム構築案件、関東地方に展開するスーパーグループ向け共同物流センター関連システム構築案件、グローバル市場戦略で専門店の現地法人の海外出店サポート案件、全国展開するドラッグストアの中国現地法人のポイント管理システム導入案件などを獲得した。なお2022年12月期末時点の受注残高(アウトソーシング分野を除く)は過去最高水準の7,595百万円となった。
財務の健全性が一段と向上
3. 財務の状況
財務面で見ると、2022年12月期末の資産合計は2021年12月期末比242百万円増加して20,748百万円となった。主に現金預金が1,280百万円増加し、受取手形・売掛金及び契約資産が761百万円減少した。負債合計は1,622百万円減少して7,743百万円となった。主に買掛金が744百万円減少、短期借入金が596百万円減少、長期借入金が482百万円減少した。純資産合計は1,865百万円増加して13,004百万円となった。主に利益剰余金が1,539百万円増加した。この結果、自己資本比率は7.8ポイント上昇して57.9%となった。キャッシュ・フローの状況にも懸念材料は見当たらず、弊社では財務の健全性が一段と向上したと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《SI》
提供:フィスコ