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3784ヴィンクス

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ヴィンクス Research Memo(4):流通小売業を熟知した開発力・技術ノウハウ・サービス力が特徴・強み


■事業概要

6. 特徴・強み
ヴィンクス<3784>は大手流通小売企業の情報システム子会社として設立され、さらに流通小売業に特化して顧客開拓し、業容を拡大してきた。このため、流通小売業を熟知した高度な開発力・技術ノウハウをベースに、個々の顧客ニーズに対応できるサービス力を特徴・強みとしている。こうした強みを武器として、小売業の課題を解決するソリューションを展開している。

同社のソリューションは特定のメーカーやハードウェアに限らず導入できる柔軟なシステムを特徴としている。POSシステムの場合、M&Aやシステム統合時にソフトウェアの入れ替えを行えば既存のハードウェアをそのまま使用できるため、POSハードウェアの追加購入や店舗導入作業にかかるコストの削減が可能になる。基幹システム「MDware」の場合、様々な業態の大手企業で稼働しているシステムのため、業態再編や複数会社の運営にも柔軟な対応が可能である。また、クラウドベースで構築されているため拡張が容易であるほか、スマートストア化によってレジの形が変わってもソフトウェアをそのまま使用できるといったメリットがある。

また、流通小売業のDXを推進するためのプラットフォームとして様々な業務に対応したDXソリューションを有していることから、店舗業種の変革やグループ統廃合に柔軟に対応可能で、AIを活用した需要予測の精度向上により店舗業務効率化・品切れ防止・廃棄ロス削減などにも貢献できる。

さらに、日本を代表する大手流通小売グループを主要な顧客とし、ソリューション分野やアウトソーシング分野において継続的に取引を行っており、良好な関係を構築していることも特長だ。そして店舗システム・基幹システム・顧客管理・ECなど、流通小売業に必要なソリューションサービスを一貫して提供している。日本国内はもちろん、顧客の海外展開にも対応できる強みもある。


重点戦略としてニューリテール戦略などを推進
7. 重点戦略
近年は新技術を活用した「ニューリテール」と呼ばれる新たな小売業が出現し、リアル店舗とEC及びそれらをつなぐ物流の融合、新たな顧客体験を提供する店舗、従来型のPOS端末を不要とする無人店舗やカート型店舗「スマートストア」も登場している。こうした事業環境の変化に対応し、重点戦略としてニューリテール戦略、特定顧客化戦略、グローバル市場戦略を推進している。

ニューリテール戦略は、メーカーに対して中立という強みを生かした提案力・ソリューション力の強化、ハードウェアに依存しないPOSシステム「ANY-CUBE」シリーズや小売業向けMD基幹システム「MDware」など既存コア製品の競争力強化・拡販、キャッシュレス・AI・ロボット・自動認識など次世代技術を活用したソリューション分野及びプロダクト分野のラインナップ拡充、次世代ニューリテールソリューションの開発・拡販などを推進している。

特定顧客化戦略は、流通小売業におけるビジネス変革の波を捉えて事業規模を拡大するため、既存特定顧客との関係強化及び新規顧客の特定顧客化に向けた営業・開発体制の強化、特定顧客向けの保守・運用業務まで含めたITフルアウトソーシングサービス強化・効率化、統合ヘルプデスクサービス等のストックビジネス拡大に向けた共通基盤の構築などを推進している。顧客開拓についてはプロダクト分野を中心に新規顧客を獲得し、その後ソリューション分野やアウトソーシング分野につないで取引拡大・安定顧客化を図るという戦略を推進している。

グローバル市場戦略は、日系及び現地企業向けソリューション事業を強化してビジネスモデルの転換を図る方針だ。このため、アセアン地域における既存特定顧客向け体制の強化、海外パートナーとのアライアンス強化、グローバルプロダクト販売拡大に向けた営業・開発・サービス体制の強化などを推進している。


流通小売企業のDX投資加速で事業環境良好
8. リスク要因・収益特性・対策
情報関連サービス業界において収益に影響を与える一般的なリスク要因としては、景気低迷による企業のIT投資抑制、競合激化による受注条件の悪化、個別プロジェクトの不採算化、技術革新への対応遅れ、情報セキュリティ管理・システム障害、人材確保・育成、外注費の高騰、法的規制などがある。

企業のIT投資に関してはDXの流れも背景として高水準に推移することが予想されている。同社が主ターゲットとする流通小売業においても、ネットとリアルの融合による業態変革やスマートストア化など、1980年代のPOS普及以来の大きな変革期を迎えている。そして、ニューリテールと呼ばれる新技術を活用した店舗運営を実現するために、POSシステム関連・CRM関連・MD関連などのDX投資を加速する動きが見られる。したがって事業環境は良好と言えるだろう。

競合の面では、流通小売業を熟知したうえでシステム開発や機器調達などに対応できる競合企業が少なく、同社にはメーカーに対する中立性で世界中のメーカーの機器を選定・提案できる優位性もある。品質面でも過去の実績に対する信頼度が高い。

なお(株)寺岡精工と東芝テック<6588>の間で争われていたセミセルフレジに関わる特許権侵害訴訟は2022年11月に和解が成立し、東芝テックは2024年5月以降、セミセルフPOSシステムの販売を終了することになった。このためPOSシステムメーカーの業界地図の変動も予想されているが、同社のソリューションは特定のメーカーのハードウェアに依存しないシステムであり、当該両社とも良好な関係を構築しているため、同社への影響はないと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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