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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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1814 大末建設

東証P
1,583円
前日比
-14
-0.88%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.7 0.72 5.62 50.52
時価総額 168億円
比較される銘柄
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崖っぷち状態のプライム30銘柄で、市場平均に大勝ち

目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技 ゆうとさんの場合-第3回

文・イラスト/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

登場する銘柄
大末建<1814>、高千穂交易<2676>、フコク<5185>、サンコール<5985>、酒井重<6358>、高島<8007>、極東貿易<8093>、ニチモウ<8091>、三信電<8150>

【タイトル】■ゆうとさん(ハンドルネーム・20代・男性)のプロフィール:
大学生のころから投資を始め、投資歴10年になる20代後半の若手投資家。40万円の元手に追加資金を加えた運用資産を10倍程度まで膨らませた実力から、交流するすご腕投資家たちからも「ネクスト億り人」として期待がかけられている。投資スタイルは、カタリストのあるバリュー株への投資。増配など株主還元策の強化による株価上昇を狙う。「起きている時間のほとんどは投資のことで頭がいっぱい」という自称株オタクで、会社員になるも投資に専念するため、数年前に専業投資家に転身している。

第1回「狙うは『物言う株主×PBR1倍割れ』で、"資産テンバガー"の技」を読む
第2回「『TOBには続きがある』との気づきが、運用成績を引き上げる」を読む

過去2回の記事で紹介したように、ゆうとさんが主力とする投資法は「アクティビスト・カタリスト」があると思える銘柄への集中投資だ。

だが、そうした"獲物"が、都合よく常に見つかるとは限らない。そんなときは、潔く作戦変更する。最近、行ったのが「東証プライム市場に何としても残りたい」というバリュー銘柄群に着目し、30銘柄に分散投資するやり方だ。

集中投資しなかったのは、上昇の可能性がある銘柄が多数ある一方で、アクティビスト・カタリストのある銘柄よりも出口が明確でないと考えたから。リスク分散も含めて投資対象を増やした。

3回目は、パフォーマンスの向上を支えた戦略で、主に21年秋から22年前半に仕込んだ、東京証券取引所の制度変更に着目した投資法について見ていこう。

プライムに何としても残りたい"崖っぷち銘柄"に注目

この30銘柄は、東証プライム市場に暫定措置で上場している、いわば「崖っぷち銘柄」だ。

上場基準が厳しいプライム市場に居残れるか瀬戸際の状況にある中、特に、流通時価総額の基準を満たすべく、増配などの株主還元強化などの対策により株価上昇に向けた取り組みを行う可能性が高いと見られる企業を中心とした。その結果、PBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業が多く集まった格好だ

その対象の一角は、関西エリアをカバーする中堅の大末建設<1814>、エレクトロニクス商社の高千穂交易<2676>、工業用ゴム製品大手のフコク<5185>、精密部品メーカーのサンコール<5985>、道路舗装機械専業大手の酒井重工業<6358>、水産物商社のニチモウ<8091>など、幅広い業種にわたる。

結果、このゆうとポートフォリオの中からは、先の流通時価総額などのプライム上場維持基準をクリアするため、増配を実施する企業が続出することに。多くのケースで、株価上昇につながった。

それを見越して先回り投資したのが奏功し、これらの銘柄群からゆうとさんは約30%~40%のリターンを獲得中だ。ポートフォリオ組成は、およそ21年11月から22年3月までになる。以降、22年7月ごろから段階的に行った利益確定分と、現在も保有中の含み益を合わせた成績となる。

この間の日経平均株価のパフォーマンスは約▲3%と振るわなかったことを考えると、大きく上回ったゆうとさんの快調ぶりがわかる。

■ゆうとさんの2022年前半ポートフォリオの代表銘柄名
銘柄名<コード>業種PBR
大末建設<1814>関西から首都圏が中心の建築中堅0.58倍
高千穂交易<2676>エレクトロニクス商社老舗1.38倍
フコク<5185>工業用ゴム製品大手0.46倍
サンコール<5985>精密部品メーカー0.45倍
酒井重工業<6358>道路舗装機械専業大手0.68倍
高島<8007>建材や物流資材・電子部品などの卸売り0.68倍
極東貿易<8093>機械商社中堅0.77倍
ニチモウ<8091>漁網、漁具、水産物商社0.53倍
三信電気<8150>半導体商社大手0.85倍
注: PBRは4月4日終値時点

増配効果と経営陣の姿勢を重視

このポートフォリオの銘柄を選ぶにあたり、ゆうとさんが特に注目した点は2つある。

1つは、増配のインパクトが大きいか
もう1つは、経営陣の姿勢に、株価を押し上げようという意欲が感じられるか

―― というものだ。

増配については、例えば、利回りが5%超の水準になれば、配当利回りランキングの上位に顔を出すこととなる。すると、特に高配当を好む投資家からの注目度が高まると考えた。

後者の経営陣の姿勢は、一例として、高千穂交易は、従業員持株会の奨励金を50%に引き上げたことに注目する。経営陣のみならず、従業員にも株価上昇へのモチベーションを高めさせる取り組みが感じられたことを評価した。

大末建設では、社長が夜の経済番組に登場した際の、東証市場再編に向けての前向きな発言に触れ、これを好感する。業績連動型株式報酬制度を導入して株価を上げようとする姿勢も、プラス材料とした。

これらを的確に見極めるために、ゆうとさんが没頭したのは、企業の開示情報をつぶさに読み込む作業だ。とりわけ21年の後半ごろから発表された中から、東証プライム市場への上場維持基準の適合計画書、ないしは中期経営計画を公表する企業に目を向け、より有望と思える銘柄を広く浅く抽出していった。

酒井重は安定的に配当性向50%、DOE4%などに注目

そうして選んだ銘柄の1つが、酒井重だ。同社は21年6月に中期経営計画を発表。この中で、

「安定的に配当性向50%を維持する」
「5億~20億円を規模とした自社株買いを機動的に検討」

―― などがKPI(重要業績評価指標)として明示された。次いで同年12月に、同様の株主還元策強化の姿勢を盛り込んだ適合計画書も発表される。

■酒井重工業の中期経営計画
【タイトル】
出典: 21年6月2日、酒井重工業「中期的な当社経営方針」

その後、22年11月に発表した23年3月期第2四半期決算では、業績予想の上方修正、および年間15円の増配が発表される結果に。翌営業日の株価は、取引時間中で一時7%ほど跳ね上がり、以降も高値圏での推移が続いている。

計画書発表後の22年1月ごろから買いを仕掛けていたゆうとさんは、この上昇の動きをさらう。今年3月に保有分を一部利益確定し、残りは現在も保有中だ。

ニチモウは配当性向30%への引き上げ、高千穂交易は配当性向100%へ

ニチモウも21年12月に計画書、および株主還元積極化の方針を盛り込んだ中計を公表。計画の中では、当時、同社の配当性向が10%台前半で当時の東証1部平均と比べて低いことに言及し、23年3月期から段階的に30%に引き上げ、株主還元策を積極化するとの目標が明示された。

ゆうとさんは、この公表を機会に買い出動へ。その後、22年の11月、23年3月期2Q決算で増配を発表し、これを起点に株価は上昇トレンドへと向かっていった。

高千穂交易は21年12月に計画書を公表、株主還元方針を「ROE(自己資本利益率)3期平均8%を達成するまでは配当性向100%を維持」を盛り込んだ。この計画書を評価して、ゆうとさんは同社をポートフォリオに組み入れた。

その後、22年2月に中計の発表を経て、同年5月の22年3月期通期決算発表のタイミングで増配発表の運びに。以降の株価は上昇トレンドに転換し、高値圏での売り抜けに成功している。

■高千穂交易の日足チャート(21年6月~)
【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同


PBR1倍割れ是正の動きに早くから乗る

株主還元策強化の期待が高まるPBR1倍割れ銘柄への注目は、今年1月、東証がPBR1倍割れ状態が続く上場企業に是正を促す方針を明らかにしたことで拍車がかかった格好だ。

ゆうとさんは、東証が22年4月に「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編される前から、プライムに上場するPBR1倍割れ企業に対する関心が高まると考えていた。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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