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2810 ハウス食品グループ本社

東証P
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値上げラッシュで存在感、「食品商社」株は好業績目立ち投資妙味増す <株探トップ特集>


―ウィズコロナで外食産業も本格的復調へ、事業環境良化で更なる取引拡大に期待―

 2020年から続く値上げラッシュが止まらない。食品業界だけをみても今月14日にハウス食品グループ本社 <2810> [東証P]が、6月1日納品分から家庭用製品205品を値上げすると発表した。「バーモントカレー」や「ククレカレー」、「マロニーちゃん」などの希望小売価格を約6~15%値上げする。

 カレールウの値上げは昨年8月にも行われたが、原材料価格やエネルギー費、物流費の上昇が続いていることから再値上げを判断したという。同社に限らず食品の値上げは続いており、帝国データバンク(東京都港区)によると、23年の食品値上げは4月までに1万5000品目を突破する見込みで、値上げの動きが早期に収束する気配は全く見られないという。

 こうしたなか、 食品商社に好業績が相次いでいる。株式市場でも脚光が当たる機会が少ない業種だが、改めて注目したい。

●「卸不要論」乗り越え販売額は増加基調

 国内の食料・飲料の卸売販売額は12年をボトムにほぼ増加基調にある。経済産業省の「商業動態統計」によると、22年の食料・飲料卸売業の販売額は前年比7.0%増の57兆1850億円で、小売業販売額の45兆5210億円を大きく上回った。

 10年代前半には小売業の販売額が卸売業を上回る年もあり、一時は「卸不要論」がささやかれたこともある。しかしその後、小売業販売額が45兆円を挟んで横ばいで推移しているのに対して、卸売業販売額は拡大している。

 小売業者が卸売業者を介さず、製造業者から直接仕入れるようになったことで、卸売業者の関与が減ったことが小売業と卸売業の販売額逆転の要因の一つとみられている。ただ、卸売業者のサービスが低温物流など高付加価値化へ進化したことが、その後の販売額の増加につながったようだ。

●外食産業の復調も事業環境良化に寄与

 新型コロナウイルスの感染が拡大した20年は、小売業は巣ごもり消費で食品スーパーなどに恩恵があった一方、コンビニエンスストアなどは外出控えの影響を大きく受け、業態によって業績は明暗が分かれた。小売業の20年の販売額は前年比0.5%減となったが、一方で卸売業は20年に同7.3%増と増加した。その後、小売業販売額は21年に同0.4%増、22年に同0.4%増と小幅な伸びにとどまったが、卸売業販売額は21年に同1.0%増、22年は前述のように同7.0%増と大きく伸長した。この間、卸売業の得意先にはコロナ禍の影響を受けた外食産業もあるが、順調に販売額は伸びたことになる。

 足もとではマスクの着脱が個人の判断に委ねられるようになるなど、人々の生活は本格的なウィズコロナへ向かい始めており、これに伴い外食産業も本格的に復調へ向かうとみられる。業務用食品卸を手掛ける企業にとっては事業環境の更なる良化につながろう。

 また、値上げラッシュが生活に重くのしかかるようになっているが、ここでも食品商社は存在感を増している。食品メーカーは値上げを打ち出しているが、店頭価格の上昇は消費者離れを招きかねず、卸業者が値上げ前の商品を積み増し駆け込み需要などに対応しているケースが多い。これらは在庫リスクにつながる懸念もあるが、売り上げ拡大に結び付けば、食品商社各社の業績に更なる好影響を与えよう。

●業績好調が目立つ食品卸各社

 年明け以降に発表された決算でも、食品商社には好業績が目立った。

 三菱食品 <7451> [東証S]は食品卸トップ。2月6日に第3四半期累計(22年4-12月)決算を発表したが、同時に23年3月期の業績予想を上方修正し、連結営業利益を199億円から230億円(前期比20.8%増)に引き上げ、期末配当予想を45円から65円(年110円)に増額した。採算管理強化による利益率の改善に加えて、業務用取引の復調、食品配送センターのケー・シー・エスの新規連結化などが要因という。

 加藤産業 <9869> [東証P]は、食品卸4位。2月8日に発表した第1四半期(22年10-12月)連結営業利益は45億3100万円(前年同期比35.0%増)で、上期計画に対する進捗率は63%に及ぶ。既存得意先を中心とした取引の増大に加えて、外食関連需要の回復による取引の増加もあり、酒類流通が堅調。低温流通の高付加価値商品も伸長した。

 伊藤忠食品 <2692> [東証P]は食品卸大手の一角。1月31日に第3四半期累計(22年4-12月)決算を発表し、連結営業利益は73億1000万円(前年同期比27.9%増)と通期計画の61億円を上回って着地した。外食・業務用取引が増加。また、一部の総合スーパーやスーパーマーケットとの取引拡大も寄与した。

 ヤマエグループホールディングス <7130> [東証P]は九州を地盤とする食品卸大手。2月10日に第3四半期累計(22年4-12月)決算を発表したが、同時に23年3月期の業績予想を上方修正し、連結営業利益を82億円から105億円(前期比52.7%増)へ引き上げ、期末一括配当予想を40円から50円に増額した。業務用食材や酒類販売が順調に回復に向かっていることに加えて、今期に入り買収した子会社の寄与もあった。

 トーホー <8142> [東証P]は業務用食品卸の最大手。3月10日に発表した23年1月期決算では、連結営業利益が36億4900万円(前の期4億4600万円の赤字)と大幅に黒字転換。また、24年1月期は営業利益38億円(前期比4.1%増)と最高益更新を見込み、年間配当予想60円と前期比25円の増配を予定している。食品スーパー事業譲渡の影響はあるものの、外食産業の経営環境改善が業績に貢献する。

 サトー商会 <9996> [東証S]は業務用食品卸の大手。2月10日に第3四半期累計(22年4-12月)決算を発表したが、同時に23年3月期の業績予想を上方修正し、連結営業利益を9億6000万円から11億7500万円(前期比37.3%増)へ引き上げ、期末配当予想を15円から16円(年31円)に増額した。行動制限がなくなり人流が回復していることで製菓、外食、弁当及び総菜向けが大きく伸長。第3四半期累計決算が計画を上回ったことが要因としている。

 このほか、第3四半期累計(22年4-12月)単独営業利益が13億600万円(前年同期比56.6%増)となり、通期計画に対する進捗率が97%に達した大冷 <2883> [東証S]や、食品商社を中核に食品に関するさまざまな製造・販売会社をグループ化し、第3四半期累計(22年3-11月)連結営業利益が5億9300万円(前年同期比10.7%増)と2ケタ増益だったヨシムラ・フード・ホールディングス <2884> [東証P]などにも注目したい。


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