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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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8005 スクロール

東証P
1,046円
前日比
-4
-0.38%
PTS
1,041.8円
21:23 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.6 1.02 4.59 9.66
時価総額 367億円
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上昇ベル鳴り響く! 駆け込み買い「激騰・高配当株」10連弾 <株探トップ特集>


―走り出したら止まらない、低PBR是正の流れも株主還元テーマに大活力―

 週末3日の東京株式市場は久々にリスクオンの潮流に乗る形となった。日経平均株価は寄り後も買いが続き、前場中ごろから次第高の展開で400円を超える上昇を示し、フシ目の2万8000円台にあと一歩と迫った。上げ潮に乗る今の相場において、ここから下値抵抗力を担保しながらハイパフォーマンスが期待されるのは、ずばり高配当利回り銘柄の一群といってよい。

●様子見ムード一変、いきなり覚醒した日経平均

 米国では粘着性の高いインフレへの警戒感が拭えず、長期金利上昇が再び顕著となるなど株式市場にとって決して追い風環境とはいえないはずだが、NYダウナスダック総合株価指数ともに思いのほか下値抵抗力を発揮している。その米国株市場を横目に東京市場も崩れそうで崩れない頑強な地合いを続けてきた。だが、同時に上値の重さも強く意識されていたことは確かだ。日経平均は1月後半に急速に戻り足をみせたものの、2月以降は2万7000円台半ばを中心にボックス圏でのもみ合いに終始しており、市場関係者の間でも「煮詰まり感から早晩上下どちらかに放れる可能性が高い」(中堅証券ストラテジスト)という見方が示されていた。

 外部環境的には各国中央銀行の金融引き締めが継続し、企業業績にも停滞感が出るなか風向きは悪そうにみえた。実際のところ、「個人投資家はこのもみ合いを悲観的に見る向きが多く、ショートポジション(空売り)を高める動きが目立った」(ネット証券アナリスト)という声が聞かれる。しかし、得てして相場は大方の思惑を裏切るケースが多い。来週末はメジャーSQ算出、日銀の金融政策決定会合の結果発表と黒田総裁最後の記者会見、そして同日に米国では2月の雇用統計発表が控えている。この動きづらいタイミングで日経平均が急に覚醒したかのように大立ち回りを演じたのは、売りから入っていた向きにすれば大いに焦らされる場面だ。

●ターゲットは高配当銘柄の一群にあり

 今は強気筋に南風が吹いている。としても個別株戦略は大切であり、急所を外した投資では結果がついてこない。ここから何を投資対象として注目すべきか。3月相場特有の期待値の高い投資手法として有力視されるのは、高配当銘柄をターゲットとすることである。

 東京市場ではこの時期、3月期末に向けて配当権利取りの動きが活発化する。3月期決算企業はプライム・スタンダード・グロースの3市場合計で2300社程度あり、これは全体の半分以上を占めている。そして、ここ最近は企業の株主還元志向が強まっていることで配当権利落ちも金額ベースで拡大が顕著となっている。とりわけ、今年1月末に東証がPBR(株価純資産倍率)1倍を継続的に下回る企業に対し、その改善策を求める方針を明示したことが大きな話題となった。低PBRを解消するためには株主還元を強化することが有効策となるため、東証の“大号令”は結果的に、自社株買いの実施や増配といった手段を当該企業に促すことにもつながる。

●PBR1倍割れ脱出は株主還元が魔法の杖に

 PBRが1倍を下回るということは、その会社が有する純資産以下、つまり会社解散価値を下回るほど株価が低い評価を受けているということになる。であれば、そうした低PBR株は割安に放置されているということで投資対象として有力という判断も成り立つが、実際はそれほど単純な話ではない。

 当該企業が自己資本(純資産)を有効に活用せず、眠らせたままにしていることを、1倍を下回る低いPBRが炙り出しているのだが、その改善がなされなければ、その企業に対する評価は変わらない。実際、現在でもプライム市場上場企業のほぼ半分が1倍を下回った状態にあり、イレギュラーで一時的に解散価値以下に甘んじているということでないことを示唆している。PBRと相関関係の強い指標にROE(自己資本利益率)があるが、両指標ともに分母に自己資本を置くため、資金を内部留保で眠らせず株主還元姿勢を強めることで数値を高めることができる。ROEは株価とリンクはされていないが、株主資本と対比した利益の極大化が第一義であり、PBRを補足するものとしては重要だ。本来であれば企業にとってPBRの水準が切り上がる過程で、ROEも高まるのが理想の形となる。

 いずれにしても、低PBR放置改善に向けた東証の動きが株式市場でも一つの投資テーマとして浸透しているが、これは企業側の株主還元姿勢を一段と強めることへの呼び水となる可能性がある。元来、高配当利回り銘柄は業績面で好調であること、もしくは財務面で資金潤沢であることを証明しているため、今後は更なる還元強化の動きも期待できる。

●「配当権利取りプレー」で優位に立つ

 そして今の時期は、そうした企業に投資して株主還元を享受する、本音の部分で言えばごく短期で配当を獲得しようとする“配当権利取り”の動きが加速する傾向が強い。ただし、投資する側にとって、この駆け込み式に配当権利を取りにいく手法はそれほど都合のいい話ではない。

 なぜなら、配当権利落ち日に、配当で手にする金額の分だけ株価に下落圧力が働くためだ。そのため、その1回のトレードに関して言えば机上の計算では利益が生まれない理屈となる。更に、つなぎ売り(保有している現物株の分だけ空売りする)で株価下落リスクを解消するという考え方もあるが、これは空売りをしている側が、信用で買い建てている投資家に対して配当落調整金を支払う立場となることで、結局、配当分の利益は相殺される仕組みとなっている。

 しかし、それでもこの時期は配当権利を取るための駆け込み買いという動きが株式市場に大きなウネリを生じさせているのは事実だ。これが相場の深いところであり、企業の決算発表時にみられる「決算プレー」にも近い「配当権利取りプレー」というコンセプトで、相場を俯瞰するとまた趣の違った景色が見えてくる。要諦となるのは、3月30日の権利落ち日より前にキャピタルゲインを確定させることを第一目標とすること。つまり配当以上の値上がり益を獲得したら、権利取り最終日を跨(また)がず、そこでいったん手仕舞うというスタンスで臨むことだ。

 もちろん、配当利回りだけに目を奪われて企業の実態を度外視した投資は本末転倒となるので注意が必要だ。今回のトップ特集では、中期保有でも十分に魅力を内包した高配当利回り株で「配当権利取りプレー」の潮流にも乗りやすい10銘柄を厳選エントリーした。

●この10銘柄が3月相場を駆ける!

◎山一電機 <6941> [東証P]

 検査用やコネクター・実装用として使うICソケットを主力に展開し、半導体関連装置向けなどで需要を取り込んでいる。また、光学フィルターなど光関連製品を手掛けていることもポイント。海外売上比率が高く売り上げの8割以上を占めており、為替のドル高・円安による恩恵も享受している。22年4-12月期の営業利益は前年同期比31%増の78億5400万円と大幅な伸びを確保した。23年3月期通期は上方修正を経て前期比微減の82億5000万円を予想するが、第3四半期時点の対通期進捗率は95%に達している。配当利回りは4.6%台で、PERも6倍台と評価不足は歴然で上値期待が大きい。

◎ソーダニッカ <8158> [東証P]

 独立系の化学商社で主力の苛性ソーダ の取り扱い高は業界首位に位置する。攻めの経営を主眼に置き、化学品・機能製品の総合商社を目指す。苛性ソーダは食品業界向けやエレクトロニクス業界向けに需要が旺盛で、製品価格の値上げも利益押し上げに寄与している。機能材では複合フィルムが好調に推移、環境配慮型の付加価値商品が伸びて業績に貢献している。23年3月期は営業33%増益予想と好調で、配当は従来計画から大幅増額し40円(前期実績は24円)とし、配当利回りは4.5%前後に達する。株価は2月21日にマドを開けて急騰した後も目先筋の売り物を吸収しており、この踊り場は買い好機となる。

◎スクロール <8005> [東証P]

 カタログ通販の草分け的な企業で安定したビジネス基盤を有するが、近年は複合通販企業戦略に舵を切り、M&Aなどを駆使してネット通販分野でも顧客獲得を進めている。22年度からスタートさせた中期経営計画「Next Evolution 2024」では売上高成長と収益性向上の両立を第一義とした取り組みを進めている。23年3月期営業利益は従来予想の45億円から55億円に上方修正した。これでも前期比21%減益見通しではあるが、来期以降は再び増収増益路線に復帰する公算が大きい。PER7倍台は割安で5.4%前後の配当利回りは株価の上値余地を暗示。4ケタ大台を視野に置く展開に。

◎フージャースホールディングス <3284> [東証P]

 新築分譲マンションを主力展開し、郊外を中心に大規模・高品質マンション開発で強みを発揮する。不動産管理や不動産投資分野にもビジネス領域を広げ、継続性の担保されたストックビジネスによる収益基盤の確立に余念がない。23年3月期業績は分譲マンションが好調で収益拡大トレンドは不変、営業利益は前期比9%増の73億円を予想するが、続く24年3月期も2ケタ成長が視野に入っている。株主還元に前向きで22年3月期配当は前の期比12円増配の36円を実施したが、23年3月期も同じく前期実績に12円上乗せし、48円を計画している。配当利回りに換算して5.6%弱でかなり魅力的といえる。

◎ピーエス三菱 <1871> [東証P]

 土木、建築部門を主力とし、高強度のPC(プレストレストコンクリート)を使用した工事で強みを持っている。豊富な受注残で収益基盤は安定しているものの、低採算案件の増加で23年3月期営業利益は前期比25%減の49億5000万円と大幅減益を見込む。しかし株価面では織り込みが進んでいるほか、進捗率を考慮すると通期見通しが上振れる可能性も想定される。PER10倍未満でPBRは0.6倍台と割安感があるうえ、23年3月期配当は前期実績と並びの30円を計画し、時価換算で配当利回りは4.5%前後をキープしている。しかも、期末一括であるだけに、駆け込み権利取り狙いの買いが入りやすい。

◎タチエス <7239> [東証P]

 自動車シートの大手で開発から生産まで一貫して手掛けている。国内ではホンダ <7267> [東証P]と日産自動車 <7201> [東証P]を主要顧客とし、海外でも強力なグローバルネットワークを駆使して北米や中南米、中国などに展開する。業績は21年3月期、22年3月期と大幅な営業赤字を余儀なくされたものの、23年3月期は黒字転換を見込む。自己資本比率はここ数年来低下傾向とはいえ、直近データで46%と財務面に不安はない。株主還元に前向きで、DOE(連結自己資本配当率)をベースに23年3月期は73円60銭の配当を行う計画。配当利回りは5.8%台と非常に高い。PBRも0.5倍台で見直し余地十分だ。

◎三菱製鋼 <5632> [東証P]

 自動車やトラック、建設機械、情報家電向けに特殊鋼 及び精密ばねなどを製造する。120年近い歴史を持つ老舗企業で創業時は紡績機械用のばね製造を手掛け、その後にばねの材料である特殊鋼生産に事業領域を広げた。素材から製品まで一気通貫で手掛ける強みはこうした歴史の中で培われた。23年3月期は輸入コスト改善や製品価格引き上げ効果などにより、営業利益は従来予想の55億円から65億円(前期比4%増)に増額。更に24年3月期は今期に発生したサプライチェーン問題の収束と値上げ効果浸透で営業大幅増益が見込まれる。株価は上昇波鮮明だが、配当利回り4%近辺でPBR0.4倍台は依然割安だ。

◎サンユウ <5697> [東証S]

 棒鋼やコイルなどを素材として加工したみがき棒鋼の大手。日本製鉄系の強みで自動車や機械向け中心に需要獲得が進んでいる。原料コスト上昇に対応した製品価格の値上げ効果により業績改善色が強まり、23年3月期は複数回の増額修正を経て、営業利益段階で前期比8%減の9億9000万円を予想する。減益見込みながら、前期は前の期比で営業利益が7.3倍と急拡大し、16期ぶりの過去最高を更新した後だけに、今期も高い利益水準を維持していることはむしろ評価される。配当は前期実績から減配するも配当利回りは4%前後あり、しかも期末一括配当だ。株価は直近急動意もPBR0.5倍強と依然割安感が顕著。

◎日本国土開発 <1887> [東証P]

 超高層建築で実績の高いゼネコンで、道路やトンネルなど重機を使った土工事で優位性を発揮する。23年5月期は完工増加でトップラインが前期比35%増の高い伸びを見込み、これを背景に営業利益も同13%増の90億円と2ケタ成長予想にある。売上高構成の約半分を占める建築事業は資材コストの上昇が逆風ながら、増収効果が利益面に反映される見通し。直近、三菱UFJ銀行と「ESG経営支援ローン」の契約を締結したことを発表している。PBR0.6倍台でPERも7倍台と見直し余地がある。同社は5月期決算企業で駆け込みでの買いニーズは期待できないものの、4.5%台の配当利回りは評価できる。

◎タマホーム <1419> [東証P]

 注文住宅会社で首都圏郊外や地方での展開に注力しており、コスト削減を徹底した低価格住宅の販売戦略を特長とする。業績は躍進が続いている。売上高、利益ともに過去最高更新基調を継続。23年5月期は土地などを厳選した仕入れが奏功し受注・引き渡しともに順調、営業利益段階で前期比14%増の135億円を見込む。株式需給面では空売り残高が高水準で直近信用倍率は0.09倍、日証金では株不足で逆日歩がつく状況にある。同社も5月期決算企業のため、目先は権利取りを急ぐタイミングではないが、期末一括配当で5%近い配当利回りと、17年5月期から毎期大幅増配を繰り返す還元意欲の強さは魅力となる。

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