【村瀬智一が斬る!深層マーケット】ポジション圧縮のファンドによる買い戻しを意識
「ポジション圧縮のファンドによる買い戻しを意識」
●日経平均は約1カ月間続いたレンジを突破
日経平均株価は2万7500円を挟んでこう着感の強い相場が続いていたが、週末3日の大幅高によってレンジを上放れてきた。これにより昨年12月半ばの下落局面で空けた窓を埋めつつある。約1カ月続いたレンジを突破したことで、リスク回避でポジションを圧縮していたファンドによる買い戻しが意識されてきそうだ。
米国では依然として利上げが長期化するとの懸念が根強く、経済指標の結果次第で上下に振れやすい状況は変わらない。ただし、米長期金利が4%を超える局面でも、これまでのような混乱は生じておらず、市場は冷静な動きを見せている。
そのため、相対的に出遅れている銘柄を見直す動きが次第に強まってきそうだ。物色の流れは、期末要因からバリュー株に向かいやすいものの、目先的にはリバランスの動きが強まる可能性により、グロース株の修正リバウンドが意識されてこよう。
●今後、活躍が期待される「注目5銘柄」
◆コメダホールディングス <3543> [東証P]
喫茶店チェーン「コメダ珈琲店」を運営。1月13日に発表した2023年2月期第3四半期累計(3-11月)の連結経常利益は前年同期比0.6%増の58億円で着地した。原材料価格やエネルギーコスト高騰の影響を受けたが、対策としてメニュー価格の値上げを実施。モーニングサービスに付加価値を加えるなどの施策により集客力を強化し、コロナ禍前の卸売売上の水準を上回った。株価は200日移動平均線水準での底固めを経て、上値抵抗の25日線を突破。直近の信用倍率は0.09倍と売り長の需給状況であり、買い戻しが期待されそうだ。
◆日本電気硝子 <5214> [東証P]
3月2日に有機系電解液を超えるナトリウムイオン伝導性と広い作動温度域を持つ結晶化ガラス製の固体電解質を開発したと発表した。現行のβアルミナから置き換えることで、電池の主要部材のすべてに結晶化ガラスを用いたオール結晶化ガラスの酸化物全固体ナトリウムイオン二次電池を世界で初めて実現した。株価は切り下がる13週、26週線に上値を抑えられる調整トレンドを形成していたが、足もとのリバウンドで両抵抗線を突破し、52週線水準を捉えてきた。52週線を明確に上放れてくるようだと、中期トレンドが好転する。
◆SUMCO <3436> [東証P]
半導体用 シリコンウエハーの製造・販売を手掛ける。今後の市場環境は、メモリー向けの300mm半導体用ウエハーは調整局面がしばらく続くが、車載・産業向けの需要は底堅いと見られる。また、200mmも車載・産業向けを中心に堅調な需要が継続する、と会社側では見込んでいる。ハイテクセクターを見直す動きが目立つなか、株価は足もとでリバウンドを見せ、200日線処での攻防を繰り広げている。同線突破から間隔を急速に狭めてきた25日、75日線をさらに上放れてくるようだと、トレンド転換からの一段の上昇が期待される。
◆OBARA GROUP <6877> [東証S]
自動車業界向け抵抗溶接機器の大手。シリコンウエハー向け平面研磨装置なども展開。2023年9月期第1四半期(10-12月)は、連結営業利益が前年同期比2.4倍の29億円に急拡大した。平面研磨装置関連事業は、高度半導体デバイスの用途多様化などを背景に、取引先であるエレクトロニクス関連素材で安定的な生産活動や設備投資が続いた。アジアを中心に自動車業界で設備投資や生産活動が回復し、溶接機器関連事業も順調だった。株価は切り上がる25日、75日線にサポートされて強いトレンドを継続しており、21年9月以来の水準を回復。21年の高値4300円が意識されてきた。
◆コナミグループ <9766> [東証P]
ゲームソフトやアミューズメント機器の製造・販売とスポーツクラブの運営などを手掛ける。株価は昨年6月高値9040円をピークに、調整トレンドを継続している。ただし、足もとでは5850円~6500円のレンジで推移するなか底堅さが見られてきた。3月1日には国際オリンピック委員会(IOC)主催の「オリンピックeスポーツシリーズ2023」の競技タイトルとして、同社の『WBSC eBASEBALL パワフルプロ野球』が採用されたと発表。また、「タイで カジノ合法化機運が高まっている」「ラスベガス・サンズや米MGMリゾーツ・インターナショナルが進出を検討している」(2月22日付日本経済新聞)と報じられるなか、今年にも国内でIR(統合型リゾート)の候補地が決定する可能性があり、カジノ用機器を販売している同社は関連銘柄としても注目が高まるか。
(2023年3月3日 記)
株探ニュース