明日の株式相場に向けて=風光る「テーマ株繚乱の3月」
名実ともに3月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比70円高の2万7516円と続伸。きょうは月初で機関投資家のリバランスの買いが入りやすいという背景はあったが、前日の米国株市場でNYダウが後半下げ足を強め、ほぼ安値圏で引けたことを考慮すれば、想定以上に強い地合いだったともいえる。前日は方向感の定まらない“中空を漂うような”地合いと表現したが、きょうは趣きが異なった。日経平均の上げ幅こそ限定的だったものの、全体を俯瞰してダイナミズムが感じられる相場だった。
月替わりでにわかにテーマ買いの動きが活発化している。これまで通り低PBR株の水準訂正高に向けた思惑を底流に、材料性のある中小型株への投資資金流入が目立つ。きょうは日経平均株価が朝方安く始まったのだが、前場中ごろから戻り足を強め、後場もこの日の高値圏で頑強に売り物をこなした。先物絡みのインデックス買いはあまり観測されず、そのため全体指数の上げ幅こそ限られたのだが、個別株ベースでは上値を積極的に買い進む動きが顕在化した。
東京市場に上昇気流が発生したのが10時半ごろ。2月の中国製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)の発表を受け地合いが変わった。製造業、非製造業いずれも好不況の分水嶺となる50を超え、事前予想も大きく上回り中国景気の回復色を映した。特に注目されるのは非製造業PMIの方で、56.3と約2年ぶりの高水準となった。市場関係者によると「ゼロコロナ政策の解除がカンフル剤のように効いており、サービス価格の上昇が米国と同様に、中国でも顕著となっている。リベンジ消費でホテル需要など沸騰している状態」(ネット証券マーケットアナリスト)という。
中国では、来週5日に開幕する全国人民代表大会で新たな景気対策が打ち出される可能性も取り沙汰されている。きょうは東京市場でも、中国のインフラや設備投資に関連した銘柄群に買われるものが目立った。コマツ<6301>や日立建機<6305>などの建機株やオークマ<6103>やSMC<6273>、安川電機<6506>、ファナック<6954>といった機械株、このほか日本製鉄<5401>をはじめとする鉄鋼株などの上昇も中国景気を意識したものと思われる。当欄で1週間ほど前に低PBR銘柄の水準訂正候補として取り上げた建設用クレーンの加藤製作所<6390>も中国向け案件の収益貢献度が高く、この流れに乗る形で上げ足を加速させた。
一方、政府が中国訪日客に対する水際規制緩和を表明したことで、インバウンド 関連株に改めてエンジンがかかった。きょうは、エアトリ<6191>や旅工房<6548>など旅行関連株の一角が人気化したが、今後はその一歩先を見据えホテル関連株などにも着目しておきたい。ワシントンホテル<4691>や京都ホテル<9723>のほか、ツカダ・グローバルホールディング<2418>などが有力候補となる。更にインバウンドの裏テーマとして人手不足が課題となっている。アルバイトの採用代行を行うツナググループ・ホールディングス<6551>は押し目買い対象としてマークしておきたい。
このほか、きょうは半導体 関連にも物色の矛先が向いた。先端半導体分野をフィールドとする半導体新会社ラピダスの動向にマーケットの関心が高い。前日に半導体新工場を北海道千歳市に建設することを正式発表、5兆円規模の投資を行うとのことで関連企業は色めき立っている。半導体工場のシステム開発や保守を手掛けるティアンドエス<4055>はキオクシア関連の実績が豊富だが、今後ラピダス関連としても頭角を現す可能性を内包している。また、超高精度エックス線集光ミラーに加え、次世代半導体向け研磨装置の開発に成功したジェイテックコーポレーション<3446>も再び上値余地が意識されそうだ。
引き続き低PBR銘柄の循環物色も活発である。PBR0.4倍台のエムケー精工<5906>や、同0.5倍台のJMACS<5817>などは食指の動くチャートだ。
あすのスケジュールでは、22年10~12月期の法人企業統計、2月のマネタリーベース、2月の消費動向調査など。また、10年物国債の入札も予定されている。海外では1月の豪住宅着工許可件数、1月のユーロ圏失業率、2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値、22年10~12月期の米労働生産性指数(改定値)などが発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年03月01日 17時30分
月替わりでにわかにテーマ買いの動きが活発化している。これまで通り低PBR株の水準訂正高に向けた思惑を底流に、材料性のある中小型株への投資資金流入が目立つ。きょうは日経平均株価が朝方安く始まったのだが、前場中ごろから戻り足を強め、後場もこの日の高値圏で頑強に売り物をこなした。先物絡みのインデックス買いはあまり観測されず、そのため全体指数の上げ幅こそ限られたのだが、個別株ベースでは上値を積極的に買い進む動きが顕在化した。
東京市場に上昇気流が発生したのが10時半ごろ。2月の中国製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)の発表を受け地合いが変わった。製造業、非製造業いずれも好不況の分水嶺となる50を超え、事前予想も大きく上回り中国景気の回復色を映した。特に注目されるのは非製造業PMIの方で、56.3と約2年ぶりの高水準となった。市場関係者によると「ゼロコロナ政策の解除がカンフル剤のように効いており、サービス価格の上昇が米国と同様に、中国でも顕著となっている。リベンジ消費でホテル需要など沸騰している状態」(ネット証券マーケットアナリスト)という。
中国では、来週5日に開幕する全国人民代表大会で新たな景気対策が打ち出される可能性も取り沙汰されている。きょうは東京市場でも、中国のインフラや設備投資に関連した銘柄群に買われるものが目立った。コマツ<6301>や日立建機<6305>などの建機株やオークマ<6103>やSMC<6273>、安川電機<6506>、ファナック<6954>といった機械株、このほか日本製鉄<5401>をはじめとする鉄鋼株などの上昇も中国景気を意識したものと思われる。当欄で1週間ほど前に低PBR銘柄の水準訂正候補として取り上げた建設用クレーンの加藤製作所<6390>も中国向け案件の収益貢献度が高く、この流れに乗る形で上げ足を加速させた。
一方、政府が中国訪日客に対する水際規制緩和を表明したことで、インバウンド 関連株に改めてエンジンがかかった。きょうは、エアトリ<6191>や旅工房<6548>など旅行関連株の一角が人気化したが、今後はその一歩先を見据えホテル関連株などにも着目しておきたい。ワシントンホテル<4691>や京都ホテル<9723>のほか、ツカダ・グローバルホールディング<2418>などが有力候補となる。更にインバウンドの裏テーマとして人手不足が課題となっている。アルバイトの採用代行を行うツナググループ・ホールディングス<6551>は押し目買い対象としてマークしておきたい。
このほか、きょうは半導体 関連にも物色の矛先が向いた。先端半導体分野をフィールドとする半導体新会社ラピダスの動向にマーケットの関心が高い。前日に半導体新工場を北海道千歳市に建設することを正式発表、5兆円規模の投資を行うとのことで関連企業は色めき立っている。半導体工場のシステム開発や保守を手掛けるティアンドエス<4055>はキオクシア関連の実績が豊富だが、今後ラピダス関連としても頭角を現す可能性を内包している。また、超高精度エックス線集光ミラーに加え、次世代半導体向け研磨装置の開発に成功したジェイテックコーポレーション<3446>も再び上値余地が意識されそうだ。
引き続き低PBR銘柄の循環物色も活発である。PBR0.4倍台のエムケー精工<5906>や、同0.5倍台のJMACS<5817>などは食指の動くチャートだ。
あすのスケジュールでは、22年10~12月期の法人企業統計、2月のマネタリーベース、2月の消費動向調査など。また、10年物国債の入札も予定されている。海外では1月の豪住宅着工許可件数、1月のユーロ圏失業率、2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値、22年10~12月期の米労働生産性指数(改定値)などが発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年03月01日 17時30分