ドーン Research Memo(5):2023年5月期は8期連続の増収増益予想。自治体向けサービスは順調に成長
■今後の見通し
ドーン<2303>の2023年5月期の業績は、売上高で前期比8.0%増の1,320百万円、営業利益で同8.8%増の435百万円、経常利益で同8.9%増の440百万円、当期純利益で同6.4%増の301百万円と、8期連続の増収増益を予想する(期初予想を据え置き)。
2023年5月期は、新中期経営計画の初年度であり、「Gov-tech市場の深耕」を中心テーマとして既存事業の安定的な拡大を図りつつ、新たな成長分野への挑戦も本格的にスタートさせる。主力の「NET119緊急通報システム」は、人口カバー率トップシェアの実績を基に全国への普及を進める計画である。2022年5月には、同種サービスを提供する両備システムズから顧客(消防本部等)の引き継ぎを合意しており、人口カバー率で70%前後まで高める目途が立った(2023年5月期以降に実現予定)。次期主力サービスと位置付ける映像通報システム「Live119」は、2020年7月のサービス開始以来、各地の消防本部で順調に導入されている。2022年7月からは東京消防庁で、2022年9月からは福岡市消防局(福岡都市圏消防共同指令センター)での運用が開始され、全国他地域への横展開に弾みがついている。また、同じ映像通報技術を応用した映像通話システム「Live-X」についても、新型コロナウイルス感染症蔓延下(ウィズコロナ)の様々な公的業務の遠隔対応において、情報伝達の即時性に効果を発揮することが実証されており、用途の拡大が期待される。事業セグメント別では、クラウド利用料の増加が全社の増収をけん引する予想である。営業利益に関しては、前期比8.8%増(前期は17.9%増)と堅実な利益成長を予想する。不足している開発人員の採用活動費と人件費等の増加により、販管費の増加を織り込んでいる。
同社の業績は、年度末に納期を迎える受託開発プロジェクトが多いため下期偏重となる。第2四半期を終えての進捗は、売上高の2Q進捗率で39.2%(前年同期は43.0%)、営業利益の2Q進捗率で31.0%(同44.1%)であり、前年同期を下回るものの、社内計画どおり順調に推移している。同社では、ストック型収入(定常収入)が5割を超えている点や、自治体の防災・防犯予算は安定しており十分な受託開発の受注がある点から、業績予想の下振れリスクは低いと考えている。同社のこれまでの実績からすると、期初予想から若干上振れて着地する可能性が高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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提供:フィスコ