鈴木英之氏【戻り足強める日経平均、リスクオンは続くか】(1) <相場観特集>
―日銀イベント通過後の波紋の変化と物色の動向を探る―
23日の東京株式市場は前週末の米国株市場がハイテク株を中心に大きく上昇したことを受け、リスクオンの地合いが継続した。日経平均株価は2万7000円近辺ではヤレヤレ売りが出て上値の重さも意識されたものの、買い意欲は旺盛といってよい。日銀の金融政策決定会合後は下値に対する不安感はだいぶ後退したようにも見える。1月下旬から2月にかけて東京市場はどのような値動きを示すのか、先読みに定評がある市場関係者2人に今後の全体相場の展望と個別株物色の方向性について意見を聞いた。
●「決算発表に注目、ボックス圏の上方を試す展開も」
鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)
昨年12月20日の日銀金融政策決定会合で金融政策の修正が発表されたショックで株価が下落し、その後、日経平均株価は2万6500円を下回る水準が続いた。しかし、この2万6500円前後の水準を上回ってきたことで、とりあえず日銀の動きを警戒する一連の動きは一巡したようだ。日銀関連では、当面は金融政策より総裁人事などに関心が移っていきそうだ。
また、2月1日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表される。0.25%利上げが予想されているが、利上げ幅が小さくなる流れを確認できるかが注目されそうだ。
今後、国内外で決算発表が本格化する。これからは、この決算発表が焦点となりそうだ。日経平均株価の予想EPS(1株当たり利益)は横ばい基調を続けており、このEPSが増加するかがポイントだ。日経平均株価の予想PERは12倍台にあるが、EPSが横ばい基調にあるなかでは、必ずしも割安とは言えないだろう。
日経平均株価は、2万6000~2万8000円前後のレンジのなかにあるとみている。今後1ヵ月程度では、決算発表を確かめながら2月下旬にかけレンジの上方を試す展開を予想している。
個別銘柄では、日本製鉄 <5401> [東証P]など鉄鋼株、住友金属鉱山 <5713> [東証P]など非鉄株、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]など百貨店株などに注目している。また、ラウンドワン <4680> [東証P]やサンリオ <8136> [東証P]、第一興商 <7458> [東証P]などといったレジャー関連株にも再評価機運が膨らみそうだ。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。
株探ニュース