明日の株式相場に向けて=体感は全面高、改善する投資マインド
週明け23日の東京株式市場はリスク選好の地合いとなり、日経平均株価が前営業日比352円高の2万6906円と大幅続伸。2万7000円台にあと一歩と迫る強調展開となった。前週末の米国株市場はNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに大きく反発したが、これに先立って、東京市場では米株価指数先物を睨みながらの株高で先食いしていた面もあるため、きょうは上値が大して期待できないとの見方もあった。ところが、実際は後場に入ってから株価は力強く、むしろ一段と浮揚力が働いた。外国為替市場ではドル・円相場が上下に荒れた値動きながら後場取引時間中に急速に円安方向に振れ、これにリンクした日経平均先物を絡めたインデックス買いが全体を押し上げた。
日米で個別企業の決算発表シーズンを迎えているが、米国の方がひと足早い。前週末の米国株市場ではネットフリックス<NFLX>が決算発表を受け急伸をみせたことが発端となり、ハイテク株全般へ買いが燎原の火のごとく広がった。ネットフリックスの10~12月期の一株利益は市場予想に届かなかった一方、同期間の有料契約者数の増勢が予想以上だったことでこれを好感する形で投資資金が攻勢をかけた。
ショートポジションを取っている側にすれば同社の直近四半期の利益の伸び鈍化が確認され一瞬喜んだかもしれないが、何よりも業績に対する警戒感は前もって株価に織り込まれていた。他方、想定外の契約者数増加は今後の伸びしろを期待させる材料ということもあり、投資マインドを強気に傾けたようだ。日米ともに今回の決算シーズンは鬼門となりやすいと以前にも述べた。しかし、それだけに空売り(貸株調達を含む)を事前に呼び込んでいたフシがあり、その効果が今回派手な値上がりをみせたネットフリックスの株価動向にも反映されている。相場の焦点はインフレ懸念(金融引き締め懸念)からマクロやミクロの実態悪へと移行しつつあるが、逆業績相場を先取りするような個別株への空売りが踏み上げを誘発するのは、金融引き締め加速を悪材料に囃(はや)していた時と同じ原理だ。
一方、日本固有の大きな注目点としては端境期の日銀政策に対する思惑。きょう朝方取引開始前に日銀の金融政策決定会合の議事要旨(12月開催分)が開示されたが、それによるとイールドカーブ・コントロール(YCC)の許容変動幅引き上げに際し、ひと悶着とまではいかないが政府出席者に少なからぬ周章がみられた。政府側の要請で会合を一時中断し再開後に決定した経緯があり、政策修正にあたり内部的にもその反響は大きかったことをうかがわせる。そう考えると今月の決定会合でYCCの変動幅の更なる引き上げは状況を把握してからというのが自然であり、現状維持はやはり既定路線だったことが分かる。
ともあれ、きょうは個別株の物色意欲が旺盛だった。プライム市場では85%の銘柄が上昇し、体感的には全面高といってよい。マーケットは下げる時も嵐なら上がる時も嵐である。逆張りに主眼を置く個人投資家にとって、きょうのような全面高の地合いでは下手に動かず、相場の動向をぼんやり眺めておくぐらいの方が成功しやすいのだが、強い株や底入れ気配の株はチェックしておいて損はない。それらの値動きを追うだけでも経験値が上がる。
個人投資家の懐事情もひと頃よりは改善しており、それはグロース市場(旧マザーズ市場)の指数の動きにも反映されている。新興系銘柄ではバイオ関連株の値動きの良さが目立ってきた。目先的にはオンコリスバイオファーマ<4588>、キッズウェル・バイオ<4584>、免疫生物研究所<4570>などの押し目を割り切りで拾っておくのも手だ。
また、米国発のグロース株復活の流れに乗る業績変貌銘柄では、心身の健康管理をクラウドサービスで提供するメンタルヘルステクノロジーズ<9218>、ベトナム のIT人材活用で先駆するソフトウェア開発企業であるハイブリッドテクノロジーズ<4260>などに上値余地の大きさがイメージされる。このほか、来期業績の急拡大が期待される高配当利回り株としてパンチ工業<6165>もマークしたい。
あすのスケジュールでは、午前の取引時間中に12月の白物家電出荷額、午後には12月の全国百貨店売上高が開示される見通し。また、日本電産<6594>の決算発表に注目度が高い。海外では1月の独製造業購買担当者景気指数(PMI)、1月のユーロ圏製造業PMI、1月の米製造業PMI(いずれも速報値)が発表される。なお、中国、香港、韓国、台湾、シンガポール、マレーシア、ベトナム市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年01月23日 18時01分
日米で個別企業の決算発表シーズンを迎えているが、米国の方がひと足早い。前週末の米国株市場ではネットフリックス<NFLX>が決算発表を受け急伸をみせたことが発端となり、ハイテク株全般へ買いが燎原の火のごとく広がった。ネットフリックスの10~12月期の一株利益は市場予想に届かなかった一方、同期間の有料契約者数の増勢が予想以上だったことでこれを好感する形で投資資金が攻勢をかけた。
ショートポジションを取っている側にすれば同社の直近四半期の利益の伸び鈍化が確認され一瞬喜んだかもしれないが、何よりも業績に対する警戒感は前もって株価に織り込まれていた。他方、想定外の契約者数増加は今後の伸びしろを期待させる材料ということもあり、投資マインドを強気に傾けたようだ。日米ともに今回の決算シーズンは鬼門となりやすいと以前にも述べた。しかし、それだけに空売り(貸株調達を含む)を事前に呼び込んでいたフシがあり、その効果が今回派手な値上がりをみせたネットフリックスの株価動向にも反映されている。相場の焦点はインフレ懸念(金融引き締め懸念)からマクロやミクロの実態悪へと移行しつつあるが、逆業績相場を先取りするような個別株への空売りが踏み上げを誘発するのは、金融引き締め加速を悪材料に囃(はや)していた時と同じ原理だ。
一方、日本固有の大きな注目点としては端境期の日銀政策に対する思惑。きょう朝方取引開始前に日銀の金融政策決定会合の議事要旨(12月開催分)が開示されたが、それによるとイールドカーブ・コントロール(YCC)の許容変動幅引き上げに際し、ひと悶着とまではいかないが政府出席者に少なからぬ周章がみられた。政府側の要請で会合を一時中断し再開後に決定した経緯があり、政策修正にあたり内部的にもその反響は大きかったことをうかがわせる。そう考えると今月の決定会合でYCCの変動幅の更なる引き上げは状況を把握してからというのが自然であり、現状維持はやはり既定路線だったことが分かる。
ともあれ、きょうは個別株の物色意欲が旺盛だった。プライム市場では85%の銘柄が上昇し、体感的には全面高といってよい。マーケットは下げる時も嵐なら上がる時も嵐である。逆張りに主眼を置く個人投資家にとって、きょうのような全面高の地合いでは下手に動かず、相場の動向をぼんやり眺めておくぐらいの方が成功しやすいのだが、強い株や底入れ気配の株はチェックしておいて損はない。それらの値動きを追うだけでも経験値が上がる。
個人投資家の懐事情もひと頃よりは改善しており、それはグロース市場(旧マザーズ市場)の指数の動きにも反映されている。新興系銘柄ではバイオ関連株の値動きの良さが目立ってきた。目先的にはオンコリスバイオファーマ<4588>、キッズウェル・バイオ<4584>、免疫生物研究所<4570>などの押し目を割り切りで拾っておくのも手だ。
また、米国発のグロース株復活の流れに乗る業績変貌銘柄では、心身の健康管理をクラウドサービスで提供するメンタルヘルステクノロジーズ<9218>、ベトナム のIT人材活用で先駆するソフトウェア開発企業であるハイブリッドテクノロジーズ<4260>などに上値余地の大きさがイメージされる。このほか、来期業績の急拡大が期待される高配当利回り株としてパンチ工業<6165>もマークしたい。
あすのスケジュールでは、午前の取引時間中に12月の白物家電出荷額、午後には12月の全国百貨店売上高が開示される見通し。また、日本電産<6594>の決算発表に注目度が高い。海外では1月の独製造業購買担当者景気指数(PMI)、1月のユーロ圏製造業PMI、1月の米製造業PMI(いずれも速報値)が発表される。なお、中国、香港、韓国、台湾、シンガポール、マレーシア、ベトナム市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年01月23日 18時01分