アクアライン Research Memo(1):繁忙期を迎え、またM&Aにより業績の黒字転換が見えてきた
■要約
1. 2023年2月期第3四半期業績は増収に転じ、営業損失は大幅に縮小
アクアライン<6173>の2023年2月期第3四半期業績は、9月~11月の3ヶ月業績は売上高1,088百万円、営業損失95百万円となった(前年同期は売上高1,029百万円、営業損失288百万円)。また3月~11月の9ヶ月累計業績は、売上高3,287百万円、営業損失304百万円(前年同期は売上高4,110百万円、営業損失399百万円)となった。9月~11月の3ヶ月業績では売上高は前年同期比5.7%の増収に転じ、営業損失は大幅に縮小した。9ヶ月累計業績では、売上高は減収となったが、これは2021年8月31日から9ヶ月間、訪問販売に関する業務の一部(勧誘、申込受付、契約締結)について停止命令の行政処分を受けていた(訪問販売形態以外の方式による業務は継続可能であった)ことによる。
2. 2023年2月期第4四半期は繁忙期。黒字化が期待される
例年、第4四半期は水まわり工事の需要が大きく膨らむ。年末に向けて大掃除の機会が増え、「故障したものは年内に修理しておこう」という心理がはたらき、また水道管の破裂は冬場の凍結が原因で発生することが多いからである。増収により第4四半期の営業利益は黒字計上が期待される。また「水まわり駆けつけサービス」の加盟店ビジネス拡大に向けて、ジャパンベストレスキューシステム<2453>の完全子会社である(株)生活救急車の株式51%を2022年11月30日に取得して子会社化しており、このM&Aによる上乗せ効果も第4四半期には期待される。
3. 法令違反が発生しにくいビジネスモデルに転換
水まわりの修繕を依頼した消費者に対して、不必要な工事を必要かのように言って勧誘したり、本来はクーリング・オフができるのにできないかのような説明をするなどの違反行為をしていたとして、同社は2021年8月31日から9ヶ月間、訪問販売に関する業務の一部(勧誘、申込受付、契約締結)について停止命令の行政処分を受けていた(訪問販売形態以外の方式による業務は継続可能であった)。
この行政処分を重く受け止め、同社では特定商取引法を中心としたコンプライアンスに関する取引状況の分析・検討をするための外部弁護士等による調査を実施し、また主力の水道工事・修理のビジネスモデルを変革し再生を図っている。具体的には、行政処分前までは同社正社員スタッフが工事・修理等のサービスを提供していたが、現在は加盟店スタッフが通信販売形式によりサービスを提供し、同社はコールセンター業務などの加盟店支援業務を行う加盟店ビジネスモデルに事業内容を変更している。
つまり、以前は同社正社員スタッフが水まわり工事のために消費者の家を訪ね、工事・修理等のサービスを提供していた。しかし現在は、家を訪ね水まわり工事サービスを提供するのは加盟店のスタッフとなっており(もちろん、加盟店スタッフの場合でも、不必要な工事の勧誘やクーリング・オフができないような説明はあってはならず、同社によるコンプライアンス指導を行っている)、同様の問題が発生するリスクは低いビジネスモデルに転換している。
4. 今後の見通し
2023年2月期の営業損益については、187百万円損失の見通しとなっている。しかし2024年2月期については、生活救急車を子会社化したことなどにより加盟店の大幅増加が期待でき、またミネラルウォーター事業についてもヒトの移動活発化などで需要増加が期待され、営業利益の黒字化を見込んでいる。
また2022年8月末時点では154百万円の債務超過となっていたが、利益計上及び資本調達により、2023年2月期末には債務超過解消も期待される。
債務超過を解消し、2024年2月期以降各利益項目が黒字となってくれば復配も期待できる。2020年2月期以降無配となっているが、それ以前は各利益項目が黒字で、配当は10円(2016年2月期)、15円(2017年2月期)、20円(2018年2月期及び2019年2月期)と推移していた。
(執筆:フィスコアナリスト)
《SI》
提供:フィスコ