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8275 フォーバル

東証S
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時価総額 380億円
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フォーバル Research Memo(8):中小企業のGDX化の伴走型アドバイザーとして確固たる地位の確立を目指す


■成長戦略・トピック

1. 中小企業のGDX化の伴走型アドバイザーとして確固たる地位の確立を目指す
フォーバル<8275>は、これまで行ってきた中小企業に対するDX及びGXの支援を融合・進化させ、“GDX戦略”を推進している。この戦略は、政府が推進する「経済財政運営と改革の基本方針2021 日本の未来を拓く4つの原動力~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~」(骨太方針2021、2021年6月に閣議決定)に沿った内容であるが、中小企業においては課題が大きい。取り組む必要性の認識が不足していたり、情報・人材・資金力・時間なども不足しているのである。そこで、長年、中小企業の経営改善に取り組んできた同社では、新たに今後2030年を見据えたテーマとして「中小企業のGDX化の伴走型アドバイザーとして確固たる地位の確立」を掲げ、全国的に、地域の自治体や関係企業、団体、個人を巻き込みながら推進することを宣言した。同社の主な施策としては、1)GDXアドバイザーの創造、2)新たな貸出ビジネスの創造、3)「きづなPARK」の質的・量的拡充、4)中小企業のスコアリング開始、の4点である。同社が描く成長のスパイラルとしては、GDXアドバイザーの増加⇒スコアリング企業の増加⇒「きづなPARK」の質的・量的拡充⇒コンサルティング能力の向上⇒信用の獲得⇒GDXアドバイザーとして確固たる地位を確立⇒売上・利益の成長加速、という連鎖である。

2. 地方M&Aを活用したDX人材及び顧客基盤を補強
同社では、これまで“中小企業向けのDXアドバイザーの第一人者”として、アイコンサービスをはじめIT人材教育など多面的な活動を行ってきた。しかし、アイコンサービスの契約先は4万社強であり、全国300万社以上の中小企業のDX化には、より大きな組織が必要となる。また、IT人材だけでも全国で数十万人不足していると言われており、同社とOEM企業だけでは、マンパワー不足である。“GDXアドバイザー”構想では、産学官の協力により全国で向こう3年間で1万人のGDXアドバイザーを選定・育成する目論見である。

同社では、GDX化人材の補強の一環として、地方のGDX推進役としてのポテンシャルを持つ企業のグループ化も進める。本構想ではその地域のGDX人材がその地域の企業のGDX化を担うことを基本とする。同社では、同社の拠点がない地方の、GDX人材を保有または育成できる企業を優先してグループ化したいと考えている。2022年12月、同社は、奈良県で事務機器、文具、オフィス家具等の仕入販売などを行う奈良事務機(本社:奈良県奈良市)の全株式を取得し、完全子会社化した。同社の拠点がない奈良県において、中小企業のDX化推進支援をするうえでの、顧客基盤の拡大とアイコン事業の拡大を目的としている。特に、奈良事務機は官公庁や民間企業の顧客を多数持っており、産官学連携で進めるGDX支援の地域における中核となる役割が期待できる。

3. 地方での中小企業DX支援が加速
GDXアドバイザーによる活動はDX人材の不足する地方から実践が始まり、実績が積み重なってきた。2022年4月以降のプレスリリース事例だけでも、長崎県西海市、鹿児島県さつま町、愛媛県、福岡市、札幌市、函館市など多数の自治体との協業実績が挙げられる。同社の役割としては、生産性向上を目指したDXの研修、DX化専門家によるオーダーメイド型の伴走支援、DXやAI・IoT等の先端技術の体験の場の運営、相談業務や相談内容に応じたIT企業とのマッチング、メディア等を用いたDX普及・啓発活動(Webサイト・SNSの運用)など支援業務の幅も拡がっている。

成果も伴ってきており、2年目に入る自治体との取り組みも出てきた。特に同社の差別性として、伴走型支援により現場で成果を出せる点、効果測定がきちんと伴っている点、人材育成や組織づくりまで落とし込める点などがあり、高く評価されている。同社では、よりアドバイザー人材が不足する地方で成功モデルを作り、GDX人材の育成と中小企業とのマッチングを全国的に普及させる構想である。

4. 「きづなPARK」の進捗
2021年10月にオープンした、中小企業経営のための情報分析プラットフォーム「きづなPARK」の活用が進んでいる。「きづなPARK」は、中小企業の大切な経営情報を「つなぎ」、企業と企業を「つなぐ」次世代に継承され続けるような、様々なコンテンツが集う場所というコンセプトで構築されたビッグデータで、中小企業は経営情報を収集・蓄積・分析活用でき、“見える化ツール”として企業経営に役立てることができる。例えば、多くの中小企業の経営情報が集まることで自社と同規模の企業群の統計情報と比較できる(ベンチマーク)。財務データだけでなく、DXやGX、知的財産やESGに関連する情報などの非財務データも含めたビッグデータが集まる点で、唯一無二の構想である。また「きづなPARK」は、GDXアドバイザーが対象企業を効率的に分析し、モニターしていくうえでも重要な武器となる。中小企業のなかには、月次で財務データを管理できていない企業も多いが、2022年6月にオープンした「きづなPARK」クローズエリア(マイページにて自社のデータ管理や可視化等が可能)を通じて月次決算を行う企業が数百社単位で増加した。蓄積されたビッグデータによる傾向分析では、「現預金などの流動資産は豊富だが、コロナ禍での赤字決算が続いたため、債務超過に陥っている企業が増えている」ことなどが判明し、早期発見によりその後の支援にデータが生かされている。また、2022年10月には「共創エリア」がオープンし、会員同士や支援企業が集まって連携した取り組みが行えるようになった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

 提供:フィスコ

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