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5133 テリロジHD

東証S
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前日比
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時価総額 48.6億円
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テリロジーHD Research Memo(10):2023年3月期通期減益予想だが下期改善基調


■今後の見通し

1. 2023年3月期通期減益予想だが下期改善基調
テリロジーホールディングス<5133>の2023年3月期通期の連結業績予想(持株会社としての予想を2022年11月1日付で公表、従来のテリロジーとしての公表数値と同じため実質据え置き、2022年3月期比増減率はテリロジーの2022年3月期実績との比較)は、売上高を前期比18.7%増の6,200百万円、営業利益を同16.2%減の370百万円、経常利益を同15.8%減の370百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同8.6%減の250百万円としている。想定為替レートは1米ドル=130.00円(2022年3月期は1米ドル=112.38円)としている。配当予想は2022年3月期比2.00円減配の5.00円(期末一括)としている。2022年3月期の配当7.00円には特別配当2.00円が含まれているため、普通配当ベースでは2022年3月期と同額となる。

この数値は、2021年5月に公表された新中計における2ヵ年目の数値目標と一致している。同社グループはドル建て価格で仕入れ、円建て価格で販売する輸入商材を多く取り扱っているため、円安局面では粗利率低下影響が先行するわけだが、ロシアによるウクライナ侵攻により国際情勢が緊迫化するなかにあっても新中計で掲げた数値目標は最低限達成するとの同社の思いが読み取れよう。

売上面は、ネットワーク部門においてサブスクリプション型ビジネスモデルへのシフトに伴ってイニシャル収入が減少し、IPアドレス管理サーバー「Infoblox」製品の新モデルへのリプレース需要が一巡したが、「Radware」製品や「Extreme Networks(旧Aerohive)」製品等の受注が堅調に推移する見込みだ。セキュリティ部門は好調が継続する見込みとしている。モニタリング部門は保守サービスの売上減少が影響するが、テリロジーワークスのパケットキャプチャ新モデル「THXシリーズ」の受注獲得を推進するとしている。なおモニタリング部門は全社売上に占める割合(2023年3月期第2四半期累計実績5.1%)が比較的小さいため、全社売上に与える影響も小さい。ソリューション部門では、主力プロダクトである「みえる通訳」がインバウンド需要再開本格化に伴って伸長が見込まれ、テリロジー開発のRPAツール「EzAvater」も契約件数拡大を推進するとしている。

利益面は第2四半期累計と同様に、サブスクリプション型ビジネスモデルへのシフトに伴うイニシャル収入の減少、急速な円安進行による海外製品仕入価格の上昇、事業拡大に向けた人的資本の増強、資本業務提携や組織再編に伴う一過性諸費用の計上などで減益予想としている。

第2四半期累計が赤字となり、通期会社予想に対する進捗率は低水準である。ただし、IT産業は一般的に検収・売上時期の関係で下期の構成比が高い傾向があること、為替の円安進行がピークアウトして下期は仕入価格上昇の影響が和らぐ可能性があること、仕入価格上昇に伴う販売価格改定が浸透する可能性があること、第2四半期累計に発生した資本業務提携や組織再編に伴う一過性諸費用の計上が下期には一巡すること、などを勘案すれば下期は収益改善基調であり、通期会社予想の達成は可能だろうと弊社では判断している。

2. 持株会社体制への移行で期待される「グループ全体最適化力の強化」と「強みの磨き上げ」
同社はグループ事業展開の加速化及びガバナンスの強化を通した企業価値向上の実現を目的として、2022年11月1日付で持株会社に移行した。新体制では、持株会社がグループ経営機能、投資機能及び新規事業開発機能に特化する一方で、各事業会社は担当事業領域において独自に成長戦略を描き環境変化に応じて迅速かつ柔軟に意思決定・事業推進を行っていくことになる。つまり、同社グループの強みである「目利き力と市場対応力」のうち、一段高い視座に立った「目利き力」を持株会社が、より顧客に寄り添った「市場対応力」を各事業会社が権限と責任をもって磨き上げ、発揮することを目指した体制への移行と言える。また、M&A戦略等により多角化や事業領域拡大を目指すなかでグループ全体の最適化はこれまで以上に重要性が増すことになり、今回の持株会社体制への移行は中長期的な企業価値向上に資するものと評価したい。

3. 売上高100億円実現に向けての道筋を示す新中期経営計画
2021年5月に公表された同社グループの新中計(2022年3月期を初年度とする3ヵ年計画)には「オーガニック成長の数値目標」「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」「M&A・事業アライアンス戦略実行に関する基本的な考え方」が掲げられている。

まず、最終年度(2024年3月期)の数値目標(売上高74億円、営業利益5.6億円)からは、オーガニックベースで「売上高成長率20%と営業利益率8%の実現」を目指していることが読み取れる。加えて、M&A戦略では約10~20億円規模の投資枠をイメージしつつ、1案件の投資予算規模(3~5億円)と獲得年商規模(5~10億円)が明確に示されており、新中計の内容は売上高100億円実現に向けての道筋を示す意欲的なものと評価して良い。

また、「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」におけるキーメッセージは、1)ストック型事業モデルの強化、2)ダイナミックなグループ事業の拡大、3)グローバルな事業展開である。いずれの項目も、M&Aを含むアライアンス戦略が鍵を握るだけに、持株会社に投資及び新規事業開発機能を集中することはポジティブに受け止められる。また、各事業会社が責任と権限を持って迅速かつ柔軟に意思決定・事業推進を行っていく体制への移行は、新中計で示されている「グループ会社ごとの目標達成に向けたアクションプラン」を後押しすることになると言えるだろう。なお、持株会社体制への移行に伴って新たな中期経営計画を策定する可能性があるとしている。新たな成長戦略にも注目していきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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