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3179 シュッピン

東証P
1,016円
前日比
+3
+0.30%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.4 2.33 3.94 52.25
時価総額 236億円
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シュッピン Research Memo(1):上期は計画を上回る増収増益。期初予想を据え置き、通期でも増収増益を見込む


■要約

シュッピン<3179>はカメラや高級腕時計など「価値あるもの」に特化したEC(eコマース)企業。中古品と新品のそれぞれのニーズの違いや商品特性の違いを活かし、中古品と新品が相互に作用し合いながら会員基盤の拡大や業績の伸びを実現してきた。最近では、独自のEC買取やOne to Oneマーケティング、CGMの活用などにも取り組み、プラットフォーム型事業モデルとして進化を続けている。この2年間は、新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ禍)により、店舗売上に影響がでているものの、主軸であるEC売上はこれまでの施策の効果やAI活用による新たな機能の導入※などにより順調に伸びているほか、越境ECを通じたグローバル展開も着実な進展を見せており、明らかに一段上のステージに入ってきたと言える。

※AIMD(AI技術を用いたマーチャンダイジングシステム)や、AIコンテンツレコメンド(同社が作成し保有している大量のコンテンツ記事をAIが顧客の嗜好性分析して配信)など。


1. 2023年3月期上期の業績
2023年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比15.4%増の21,885百万円、営業利益が同23.8%増の1,628百万円と計画を上回る増収増益となり、過去最高業績(上期ベース)を更新した。「時計事業」で中国のロックダウンなど国際情勢の影響を受けて免税売上が低調に推移したものの、各EC施策の効果発現(AIを活用したOne to Oneマーケティング等)や活況な市場環境も手伝って「カメラ事業」が大きく拡大し、業績全体の伸びに寄与した。また、免税売上が苦戦する一方、円安を追い風として越境ECが順調に伸びてきたところは特筆すべきポイントである。利益面でも、増収による収益の押し上げに加え、AIMDの安定稼働によるカメラ中古品の売上総利益率の改善や販管費のコントロールにより大幅な営業増益を実現し、営業利益率も7.4%(前年同期は6.9%)に改善した。

2. 主な活動実績
活動面では、2022年3月期期より開始したOne to OneマーケティングとAIMDの掛け合わせに、AIコンテンツレコメンドを加えた仕組み※の導入や、「LINE」でのお知らせ機能の開始によりプッシュ配信がさらに拡大し、情報発信力や顧客接点の強化を図ることができた。また、注力するグローバル戦略においては、世界最大級のオンラインマーケットプレイス「eBay」及び高級腕時計マーケットプレイス「Chorono24」への出店に続き、新たに「Buyee Connect」(海外向け購入サポートサービス)の導入を開始した。本件により、自社サイトを通じて、筆記具、ロードバイクを含むすべての取扱い商材が世界118の国/エリア(約330万人の会員)において購入可能となった。さらには、レディースブランドサロン「BRILLER(ブリエ)」をリニューアルオープンし、ブランドバッグのフロアを大幅に広げるとともに、ブランドジュエリーの取扱いも開始した。このように、ECと店舗のハイブリッドな展開を図っていく方針である。

※タイムリーな価格情報だけでなく、顧客の機能や性能、嗜好などに見合った対価であるかどうかを判断する情報を得ることができるようになった。


3. 2023年3月期の業績予想
2023年3月期の連結業績について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比11.1%増の48,260百万円、営業利益を同11.6%増の3,507百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。売上高は、好調に推移している「カメラ事業」が期を通じて増収に大きく寄与する想定である。一方、「時計事業」については、免税売上の低迷が続いているものの、「カメラ事業」の伸びでカバーし、売上高全体ではほぼコロナ禍前(2020年3月期)の水準にまで回復する見通しである。利益面では、AIMDの導入効果により売上総利益率は0.5pt改善する想定である。一方、販管費については、今後の事業拡大に向けたスタッフの増員などにより一旦増加するものの、売上総利益の伸びで吸収することにより営業増益を実現する見通しとなっている。

4. 今後の成長戦略
同社は、毎年、向こう3ヶ年の中期経営計画を更新(ローリング)している。主軸となるカメラ・時計のさらなる成長と、越境ECによるグローバル展開の活性化に取り組む方向性であり、シェア拡大に伴うEC売上の持続的成長をドライバーとして位置付けている。また、引き続きAI活用による利益率の改善、スリムな経営による販管費率の低減により、売上高の成長以上に利益成長を重視する方針としており、最終年度となる2025年3月期の目標として、売上高60,385百万円(3年間の年平均成長率11.6%)、営業利益5,091百万円(営業利益率8.4%)を目指している。特に初年度となる2023年3月期は、中長期目標の達成に向けて、One to OneマーケティングやAIMDに加え、AIコンテンツレコメンドの開始やLINEによる情報提供機能の強化などにより、購入前、購入時、購入後のどのシーンにおいても、楽しさや利便性を感じてもらう3つのサイクルの輪をさらに大きくしていく考えだ。

■Key Points
・2023年3月期上期は計画を上回る増収増益で着地
・「時計事業」が免税売上の減少により落ち込むも、「カメラ事業」がEC売上を中心として順調に拡大
・2023年3月期の業績予想を据え置き、通期でも増収増益を見込む
・中期経営計画では、カメラ・時計のさらなる成長と越境ECによるグローバル展開の活性化にも取り組み、EC売上の持続的成長とAI活用による利益率の改善を実現していく方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《NS》

 提供:フィスコ

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