三栄コーポ Research Memo(2):「くらしに、良いものを。」を世界で製造・販売する多機能商社
■会社概要
1. 会社概要と沿革
三栄コーポレーション<8119>は、戦後間もない1946年に装飾品の輸出業務を目的に大阪で創業し、75年以上の歴史を持つ。現在では生活用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売りまでのサプライチェーンを幅広く手掛けている。海外は17ヶ所の拠点、国内直営小売店は60店舗を持つ、多機能な商社に成長した。欧州の差別化されたブランドの日本導入や、良品計画に代表されるこだわりある商品のOEM供給など、「健康と環境」をテーマとする付加価値の高い商品を取り扱う点で個性が明確である。「くらしに、良いものを。」をコンセプトに国内外でモノづくりに携わり、日本市場のみならず海外市場にも販売展開するグローバルな企業である。
同社では、2022年1月より代表取締役社長に水越雅己(みずこしまさき)氏が昇格し、経営体制の刷新を行った。水越氏は住友商事<8053>出身で、卸売・小売・e コマース・通販等の豊富な経験と知見を生かし、次の10 年を見据えた事業展開を担っている。10年以上にわたり同社を率いてきた前社長の小林敬幸(こばやしのりゆき)氏は、代表取締役会長として経営に関わっている。2022年4月の東京証券取引所市場再編においては、スタンダード市場に移行した。
2. 事業構成
同社の事業セグメントは、「家具家庭用品事業」「服飾雑貨事業」「家電事業」「その他」に分類される。「家具家庭用品事業」は国内外の大手企業に対してOEM製品を調達する事業がメインで、家具のeコマースブランド「MINT(ミント)」もこのセグメントに含まれる(2023年3月期第2四半期の売上比は59.5%)。「服飾雑貨事業」は、サンダル・シューズの「BIRKENSTOCK」やバッグの「Kipling(キプリング)」など販売権を持つブランド商品の輸入販売及び国内外向けOEM事業を行っている(同売上比25.3%)。「家電事業」は、OEM製品調達とブランドビジネスの両方があり、ブランドとしては、調理家電の「Vitantonio(ビタントニオ)」や理美容家電の「mod’s hair(モッズヘア)」が主力である(同売上比10.7%)。「その他」の事業セグメントはペットショップなどを展開している(同売上比4.6%)。
また、ビジネスモデルの面では、ブランド事業とOEM事業に分類される。ブランド事業は、海外ブランドや自社ブランド商品の卸売・小売りを主に国内で展開している。歴史があり、日本で紹介されていないブランドを主に扱うほか、近年は誕生間もない環境ブランドも積極的に導入している。2023年3月第2四半期の売上比は32.0%となっているが、生活用品カテゴリーにおいて事業の幅を広げるため、ブランド事業の比率を高めることを目標としている。OEM事業は、顧客企業のニーズに合う商品の製品仕様検討、工場選定、価格交渉、生産管理、輸出入・物流など調達業務を行う。長年の海外展開で構築されたアジアにおける製造ネットワークと自社スタッフによる生産管理が強みである(同売上比68.0%)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《SI》
提供:フィスコ