明日の株式相場に向けて=インフレの呪縛は解かれたか
きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比199円安の2万7686円と3日ぶり反落。きょうはいわゆるSQ前の「魔の水曜日」ではあったが、安いとはいえ下げ幅は200円未満に収まりなんとか踏ん張った感が強い。前日の米国株市場では、NYダウやナスダック指数が取引開始後ひたすら下値を切り下げる展開で、NYダウは一時500ドルを超える急落となった。これに“リスクオフの円高”が加わったりすると、日本株も厳しい地合いを余儀なくされるところだったが、実際は米長期金利の低下にもかかわらずドル円相場はドルの買い戻しが進み、1ドル=137円台まで円安方向に傾いた。
半導体の値がさ株が下げの主役であり、「足もとで進む円安を好感して」と言うのもはばかられるが、ハイテク株はともかく為替感応度の高い自動車株やインバウンド関連の一角などがセオリー通りに強調展開を維持し、全体相場を下支えする格好となった。また、前週後半から一様に調整を強いられていた中小型材料株が目先売り一巡感から出直る動きをみせ、個人投資家にとっては、今週に入ってからはきょうが一番模様の良い地合いだったのではないかと思われる。レーザーテック<6920>や東京エレクトロン<8035>など半導体の主力株を信用で買い建てている人は慌てたかもしれないが、材料株全般については風向きが向かい風から追い風に変わったという印象を受けた。
前日と前々日はともに値上がり銘柄数を値下がり銘柄数が大幅に上回る弱い地合いであったのに、日経平均はプラス圏で着地した。先物主導でインデックス買いを誘導して指数を支えた感が強く、これについては「メジャーSQで2万8000円ラインを意識した攻防にもっていきたい勢力がいる」という声も聞かれた。ところがきょうは、日経平均が安いにもかかわらず、値上がり銘柄数が1000を超え、値下がり銘柄数を360以上も上回る強調地合いで、前日までの2日間とは逆の意味で実態と日経平均がカイ離した1日となった。
今月13~14日の日程で行われるFOMCでは0.5%利上げの線は固いとみられているが、今は最終的な金利の着地点、いわゆるターミナルレートに論点が移っている。現在の市場コンセンサスよりも上振れるとの見方を、FRBはマーケットに分からせようと腐心している雰囲気が感じ取れる。ブラックアウト期間に入ると、古典的ながらFedウォッチャーであるウォール・ストリート・ジャーナルのニック・ティミラオス記者にリークして、アドバルーンを上げさせるのがFRBの手法だが、果たして直近は分かりやすく警鐘を鳴らす記事を上げてきた。パウエルFRB議長にすれば「株式市場には静かにしていてほしい」というのが本音であると思われる。「来年になればCPIをはじめインフレに絡む数値は前年同月比で軒並み低下するはずだが、これでインフレは終わったというムードが蔓延することを当局は恐れている」(ネット証券マーケットアナリスト)とする指摘もある。
であるとしても、米株市場はインフレの呪縛から逃れるという解放感からしばらくは下値を切り上げる動きが続く可能性が高い。東京市場も基本はそれに追随するであろう。したがって、「高値に買いつくのはできる限り我慢して、当局サイドからのアナウンス効果で突発的に下押す場面があればそこは買いのチャンス」(同)という見方でよさそうだ。いずれにしても戻り売りに神経をすり減らす相場ではなく、押し目買いを楽しみに待つ相場が年末年始のセオリーとなりそうだ。
個別ではパチンコ関連株に再注目しておくのも一法。メダルを使わないスマートパチスロ(スマスロ)が11月21日から導入開始となったことで、同関連株に思惑買いが入っているが、このテーマの本丸は市場の大きいパチンコの方で、来年3月には出玉に触ることがなくなるスマートパチンコ(スマパチ)が導入される見通しにあった。ところが、来年1月中に業界向け試験機を納入する動きが出ている。同関連では好業績のダイコク電機<6430>や、円谷フィールズホールディングス<2767>は注目度が高いが、これ以外に藤商事<6257>、ミタチ産業<3321>、マミヤ・オーピー<7991>などをマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、10月の国際収支、7~9月期GDP改定値、11月の貸出・預金動向、11月の景気ウォッチャー調査、11月のオフィス空室率など。また、6カ月物国庫短期証券の入札と5年物国債の入札も予定されている。海外では10月の豪貿易収支、週間の米新規失業保険申請件数などがある。なお、フィリピン市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2022年12月07日 18時09分
半導体の値がさ株が下げの主役であり、「足もとで進む円安を好感して」と言うのもはばかられるが、ハイテク株はともかく為替感応度の高い自動車株やインバウンド関連の一角などがセオリー通りに強調展開を維持し、全体相場を下支えする格好となった。また、前週後半から一様に調整を強いられていた中小型材料株が目先売り一巡感から出直る動きをみせ、個人投資家にとっては、今週に入ってからはきょうが一番模様の良い地合いだったのではないかと思われる。レーザーテック<6920>や東京エレクトロン<8035>など半導体の主力株を信用で買い建てている人は慌てたかもしれないが、材料株全般については風向きが向かい風から追い風に変わったという印象を受けた。
前日と前々日はともに値上がり銘柄数を値下がり銘柄数が大幅に上回る弱い地合いであったのに、日経平均はプラス圏で着地した。先物主導でインデックス買いを誘導して指数を支えた感が強く、これについては「メジャーSQで2万8000円ラインを意識した攻防にもっていきたい勢力がいる」という声も聞かれた。ところがきょうは、日経平均が安いにもかかわらず、値上がり銘柄数が1000を超え、値下がり銘柄数を360以上も上回る強調地合いで、前日までの2日間とは逆の意味で実態と日経平均がカイ離した1日となった。
今月13~14日の日程で行われるFOMCでは0.5%利上げの線は固いとみられているが、今は最終的な金利の着地点、いわゆるターミナルレートに論点が移っている。現在の市場コンセンサスよりも上振れるとの見方を、FRBはマーケットに分からせようと腐心している雰囲気が感じ取れる。ブラックアウト期間に入ると、古典的ながらFedウォッチャーであるウォール・ストリート・ジャーナルのニック・ティミラオス記者にリークして、アドバルーンを上げさせるのがFRBの手法だが、果たして直近は分かりやすく警鐘を鳴らす記事を上げてきた。パウエルFRB議長にすれば「株式市場には静かにしていてほしい」というのが本音であると思われる。「来年になればCPIをはじめインフレに絡む数値は前年同月比で軒並み低下するはずだが、これでインフレは終わったというムードが蔓延することを当局は恐れている」(ネット証券マーケットアナリスト)とする指摘もある。
であるとしても、米株市場はインフレの呪縛から逃れるという解放感からしばらくは下値を切り上げる動きが続く可能性が高い。東京市場も基本はそれに追随するであろう。したがって、「高値に買いつくのはできる限り我慢して、当局サイドからのアナウンス効果で突発的に下押す場面があればそこは買いのチャンス」(同)という見方でよさそうだ。いずれにしても戻り売りに神経をすり減らす相場ではなく、押し目買いを楽しみに待つ相場が年末年始のセオリーとなりそうだ。
個別ではパチンコ関連株に再注目しておくのも一法。メダルを使わないスマートパチスロ(スマスロ)が11月21日から導入開始となったことで、同関連株に思惑買いが入っているが、このテーマの本丸は市場の大きいパチンコの方で、来年3月には出玉に触ることがなくなるスマートパチンコ(スマパチ)が導入される見通しにあった。ところが、来年1月中に業界向け試験機を納入する動きが出ている。同関連では好業績のダイコク電機<6430>や、円谷フィールズホールディングス<2767>は注目度が高いが、これ以外に藤商事<6257>、ミタチ産業<3321>、マミヤ・オーピー<7991>などをマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、10月の国際収支、7~9月期GDP改定値、11月の貸出・預金動向、11月の景気ウォッチャー調査、11月のオフィス空室率など。また、6カ月物国庫短期証券の入札と5年物国債の入札も予定されている。海外では10月の豪貿易収支、週間の米新規失業保険申請件数などがある。なお、フィリピン市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2022年12月07日 18時09分