DDHD Research Memo(9):事業基盤・財務基盤の安定化に目途。新規サービス・マーケットの創出にも取り組む
■今後の方向性と注目点
1. 今後の事業展開の方向性
DDホールディングス<3073>は、外食業界を取り巻く環境変化等を踏まえ、2020年2月期より3ヶ年の中期経営計画「SUPER 7 PROJECT」をスタートした。既存事業の強化・拡大に加え、ブランドポートフォリオの拡充、スケールメリットの追求等により、高収益体質への転換や将来利益の創造などに取り組んでいる。直近2期はコロナ禍の影響を受け、事業基盤及び財務基盤の安定化に専念してきたが、業界の枠を超えたイノベーション(新たな価値の創出)の推進により、環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現していく方向性に大きな修正はない。特に、ウィズコロナ及びアフターコロナにおける外部環境や消費者の消費マインド等の変化に対応するため、コア事業の早期回復に取り組むとともに、新規サービス・マーケットの創出によりポートフォリオの拡充を推進する方針である。具体的には、コロナ禍に伴う「新たな生活様式」の定着に鑑み、「食」を起点とする店舗運営以外のマーケット開拓(ECやホテル運営等を含む)や、既存の経営資源(店舗資源や空間活用ノウハウ等)を活用した新規サービスの創出に取り組むとともに、将来的には付加価値の創出によるLTV(顧客生涯価値)の最大化へとつなげる構想を描いている。
2. SDGsへの対応
同社グループは、企業価値向上の観点から、サステナビリティをめぐる課題対応を経営戦略の重要な要素として推進することを基本方針に掲げている。既にESG(環境、社会、ガバナンス)に関わる重要課題や関連するSDGsを特定するとともに、具体的な取り組みを実行している。
3. 今後の注目点
そもそも外食業界は、市場の伸びが期待できないうえ、競争の激化や消費者嗜好の変化などに直面し、将来に向けた変革をどう進めていくのかが重要なテーマになってきたが、そこにコロナ禍の影響が重なり、まさに正念場を迎えている。したがって、この難局を乗り越えることこそが、今後の持続的成長に向けて最大のアドバンテージになるものと見ることができる。中長期的な視点からは、同社ならではのイノベーションを生み出し、コロナ禍の影響を含む環境変化をいかにプラスに転じていくのか、その道筋が同社の将来を見据えるうえで重要なポイントになると考えている。その意味では、他社保有IPコンテンツの活用にノウハウを有するエスエルディーや、湘南エリアで独自のホテル・不動産サービスを展開する湘南レーベルといった、特徴的な連結子会社との連携を含めた、新たな空間価値、付加価値の創出に期待したい。また、プラットフォームビジネス※についても、リスクを抑えながらスケールメリットを享受する新たな戦略の軸として、今後の動向に注目すべきであろう。
※同社グループの購買力を活用した仕入プラットフォームビジネスの展開に取り組んでおり、販売プラットフォームへの機能拡張も随時行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《NS》
提供:フィスコ