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6485 前澤給装工業

東証S
1,319円
前日比
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.4 0.69 3.18 14.23
時価総額 284億円
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前澤給装 Research Memo(4):販売価格改定や業務効率化の効果により減益幅が縮小


■業績動向

1. 2023年3月期第2四半期の業績概要
前澤給装工業<6485>の2023年3月期第2四半期の連結業績については、売上高が15,401百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益が1,090百万円(同4.2%減)、経常利益が1,174百万円(同2.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が773百万円(同1.5%減)となった。回復する需要に応じた供給体制の確保や、材料価格高騰の影響を最小限に抑えるための販売価格交渉に注力した結果、売上高は順調に推移した。一方、製品の主要原材料である銅の価格高騰や円安の進行などの影響を受け、減益となった。ただし、営業利益の減益幅は前年同期比で4.2ポイント縮小しており、販売価格改定の効果は緩やかに現れていることが見て取れる。

主要原材料である銅の建値については、2022年4月の133.6万円/トンをピークに、10月には117.8万円/トンまで下がっているものの、2020年1月の70.6万円/トンと比較すると依然として高止まりしている。このため、原材料価格の上昇分を適切に販売価格へ反映する方針を継続している。

事業セグメント別の動向は以下のとおり。

(1) 給水装置事業
売上高は8,199百万円(前年同期比9.1%増)、セグメント利益は2,114百万円(同4.7%減)となった。底堅い配水管布設替工事の需要や住宅需要に下支えられたこともあり、水管布設替工事への納入を継続して確保したほか、耐震性や施工性に優れた製品の提案活動の推進、緩やかな価格改定の効果により増収となった。利益面では、生産活動の効率化などに努めたものの、銅の価格高騰により減益となった。売上高については新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)前(2020年3月期第2四半期の7,186百万円)を上回っており、今後も回復傾向が継続すると弊社では見ている。

(2) 住宅・建築設備事業
売上高は6,081百万円(前年同期比13.7%増)、セグメント利益は1,003百万円(同12.4%増)と好調に推移した。新設住宅着工戸数は2022年8月から2ヶ月連続で増加するなど底堅く推移しており、給水・給湯配管システム関連部材の販売が増加した。また、ハウスメーカーなど販売チャネルの拡大が順調に進捗した。利益面では、増収効果に加え、前澤リビング・ソリューションズとのグループ間の効率化が寄与した。

(3) 商品販売事業
鋳鉄商品の販売が減少したことから、売上高は1,120百万円(前年同期比4.4%減)、セグメント利益は114百万円(同8.9%減)となった。

2. 主な取り組み
同社は、収益基盤のさらなる拡大やコロナ禍に進めた業務効率化などを継続することにより、持続的な成長の実現とより一層の企業価値の向上を目指している。具体的には、前澤リビング・ソリューションズとのシナジーが挙げられる。全国展開している同社ネットワークを活かし、販売地域を拡大したほか、同社の製造技術と融合させることでコストダウンを実現した。なお、これまでの取り組みとしては、グループ内の営業効率化のほか、暖房設備店に対する給水・給湯部材の拡販、西日本地区ガス会社への温水マットの拡販、東北地区ヒートポンプメーカー向け温水マットの販売体制強化などがある。

また、(1) 給水装置事業の積極的展開及び(2) 住宅・建築設備事業の拡大を事業方針として推進した。

(1) 給水装置事業の積極的展開
同社は、低層アパート向け製品や配水ポリエチレン管用製品など、顧客ニーズに合わせた新製品の開発、製品化を推進している。このうち、低層アパート向け製品開発については、2階建ての低層階アパートの構成比が住宅着工数の10%で安定推移していることが背景にある。メータ廻りの省スペース化ニーズが高まっていることから、複数の水道メータ廻りのユニットを一体化した複式メータセット「まとメータ2連・3連」や「まとメータ4連」を製品化し、販売している。一方、配水ポリエチレン管用製品の開発については、止水栓関連製品の各事業体に応じた要望が高まっていることが背景にある。

(2) 住宅・建築設備事業の拡大
これまでの管材商社を通じた営業に加え、ハウスメーカー、パワービルダー、工事店向けの販売活動を強化している。また、同社及び子会社の技術を活かし、新たに進出した非住宅物件への販路拡大を目指し、空調設備向け製品やロードヒーティング向け製品の販売を強化している。

3. 財務状況と経営指標
2023年3月期第2四半期末の資産合計は前期末比476百万円減少し、45,143百万円となった。このうち流動資産は同380百万円減の31,426百万円となった。これは主に、受取手形及び売掛金が685百万円増加した一方、現金及び預金が1,886百万円減少したことによる。負債合計は同886百万円減少し、7,103百万円となった。このうち流動負債は、買掛金が851百万円減少したことなどにより、同802百万円減の6,319百万円となった。純資産合計は同410百万円増加し、38,040百万円となった。これは主に、その他有価証券評価差額金が152百万円減少した一方、利益剰余金が316百万円、為替換算調整勘定が218百万円それぞれ増加したことによる。これらの結果、自己資本比率は84.3%(前期末は82.5%)と引き続き高水準を維持している。また、流動比率は497.3%(同446.7%)、固定比率は36.1%(同36.7%)となった。

2023年3月期第2四半期のキャッシュ・フローについて、営業活動によるキャッシュ・フローは1,409百万円の支出となった。これは主に、未払消費税等が127百万円増加した一方、棚卸資産が978百万円増加、仕入債務が947百万円減少したことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは189百万円の支出となった。これは主に、有価証券の償還による収入が300百万円、保険積立金の解約による収入が415百万円となった一方、投資有価証券の取得による支出が300百万円、無形固定資産の取得による支出が275百万円となったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは446百万円の支出となったが、これは主に配当金の支払額443百万円による。これらの結果、2023年3月期第2四半期末の現金及び現金同等物は前期末比1,983百万円減少し11,562百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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