ワコム Research Memo(12):2023年3月期は前期同額の1株当たり20円配を予定
■株主還元
ワコム<6727>の株主還元策については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当の継続と機動的な自己株式取得の実施を基本方針としている。特に配当については、適正な財務の健全性を確保することを念頭に、連結ベースの配当性向の目安を30%程度としたうえで、1 株当たり配当金の中長期的な増加を通じた利益還元に努めていく考えだ。また、事務コストを考慮し、配当金の支払い回数は期末の年1 回としている。一方、自己株式の取得については、投資機会や財務状況などを考慮のうえ、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策として遂行する方針である。「Wacom Chapter 3」においては総額100 億円を上限とする自己株式の取得方針を策定している。
2023 年3 月期の配当については、前期と同額の1 株当たり20.0 円を予想している(2022年10月に公表した通期業績予想修正を反映した計算上の配当性向予想は53.7%)。自己株式については、2022 年5 月12 日付発表の自己株式取得方針※に基づき、2022年10月までに約9.3億円(1,156,400株)を取得済みである。また、保有する自己株式のうち、200 万株を2022 年5 月26 日に消却した。
※2023年3月期は20億円を上限(400万株上限)とする自己株式の取得を予定している。
パートナーとの協業を含めた研究開発関連投資と、配当性向、自己株式取得を通じた株主還元のバランスを取っていくにあたり、資本活用の効率性(ROE)、事業運営の効率性(ROIC)に目配せしながら、キャッシュ・フローを有効に活用していく考えのようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《NS》
提供:フィスコ