貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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6730 アクセル

東証S
1,292円
前日比
+59
+4.79%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.3 1.11 2.71 29.97
時価総額 145億円
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アクセル Research Memo(3):パチンコ・パチスロ機向けファブレス半導体企業から先端テクノロジー企業へ(2)


■事業概要

(2) 新規事業関連
「新規事業関連」セグメントとして、機械学習/AI、ミドルウェア製品、セキュリティ製品、ブロックチェーン領域等をターゲットにした各種ソリューションの提供やコンサルティング、IPの販売等を行っている。アクセル<6730>がLSI開発販売関連で培ってきたアルゴリズムやハードウェア・ソフトウェア開発といった様々なレイヤーの技術・ノウハウを活用し、顧客の多様なニーズに対応することで、新規事業を拡大していく戦略である。まだ、いずれの領域も売上規模は小さく、先行投資段階の位置付けとなっている。

a) 機械学習/AI領域
機械学習/AI領域では、独自開発したエッジ推論向けディープラーニング・フレームワーク「ailia SDK」を中核に展開している。「ailia」の特徴はクロスプラットフォームに対応していることに加え、GPUの積極活用により推論処理スピードで世界最高水準の性能を実現していることにある。AIシステムの構築には、「学習(ディープラーニング)」と「推論」の両プロセスが必要となるが、国内では推論フレームワークを持つAI事業者が少なく、GoogleやMicrosoftなど海外大手プラットフォーマーのエンジンを利用して、自社のディープラーニング・フレームワークと組み合わせて開発しているケースが多い。同社の推論フレームワークは、海外大手と同水準かそれ以上の高速処理性能を持っており、他のAI開発事業者との差別化要因となる。フレームワークを自社で持つことにより、あらゆる顧客の要望に対して柔軟に設計変更を行えることも強みである。特に、推論に特化したディープラーニング・フレームワーク「ailia SDK」を活用することは、AI開発における工数削減にも寄与することから、引き合いが増えている。

ビジネスモデルとしては、ディープラーニング・フレームワークの販売やAI実装のためのコンサルティング及び受託開発サービス、「ailia SDK」をベースにしたソリューションパッケージの提供、「ailia SDK」のロイヤリティ収入の獲得、がある。現在は、AI実装のためのコンサルティング及び受託開発サービスが中心で、これに「ailia SDK」のロイヤリティ収入が2022年3月期から徐々に増え始めている。

b) ミドルウェア製品(AXIP)
ミドルウェア製品では、主にゲーミング市場向けに画像及び音声圧縮技術を中心としたミドルウェア「AXIP」シリーズの開発販売を行っている。製品としては、ムービーミドルウェアの「H2MD」※1や超解像「GRADIA(グラディア)」※2、低負荷・低遅延を実現したサウンドミドルウェア「C-FA(シーファ)」、HDR対応超高圧縮ムービーミドルウェア「LESIA(リーシャ)」、ファイルパッキングミドルウェア「VUCKET(バケット)」※3、カジノ・アーケードゲーム向けムービーミドルウェア「AXVC」などを揃えており、業界最高水準のミドルウェアを多機能パッケージとして販売することで付加価値を高めている。企業・アプリごとに固定または売上連動型のロイヤリティ収入を得るビジネスモデルとなる。

※1 ブラウザで動画を再生できる動画コーデックライブラリで、複数動画の同時再生や透過レイヤー(動画の重ね合わせ)制御が可能なこと、CPUの負荷が少ないことなどが特徴となっている。
※2 超解像とは、ディスプレイに表示される文字や絵などを拡大した時に、通常はジャギー状(ギザギザ状)になってしまう輪郭部分を滑らかで自然な状態に補正する技術
※3 自動実行型の圧縮ファイル・ソフトウェア、VUCKETは画像・音声等の大容量ファイルを一つにまとめる機能だけでなく、ファイルの破損チェックや暗号化等にも対応している。


c) セキュリティ製品
セキュリティ製品では、暗号技術を用いたソリューション「SHALO」をUSBドングルに搭載して2020年9月より販売を開始している。アプリケーションライセンスやログイン認証機能をセキュアな状態で管理でき、Windows等のアプリケーション起動時の認証用、GoogleやMicrosoft等のログイン用、PDFの暗号化等で需要を見込んでいる。現在、同様のセキュリティ製品は外資系製品が多く、同社は高い安定性や利便性、国内生産による信頼性などを差別化ポイントとして販売していく戦略をとっている。

d) ブロックチェーン領域
ブロックチェーン領域では、同社はブロックチェーン構築に関するコア技術や取引基盤を支えるハードウェア技術を有しており、同領域の事業開発においてノウハウを持つCryptoLabや、システム開発力及び営業力を持つ日本エンタープライズと協業していくことで、ブロックチェーン技術を基盤とした各種ソリューション及びNFT関連サービスの開発を推進し、事業展開を加速する戦略となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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