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4177 i-plug

東証G
1,544円
前日比
+41
+2.73%
PTS
1,305.3円
21:04 06/14
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.0 7.80
時価総額 61.0億円
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iーplug Research Memo(7):新卒事業を軸に中途事業へと領域を拡大


■i-plug<4177>の中期経営計画

3. 事業別概要
中期経営計画は、成長ドライバー「OfferBox」を中心とする新卒事業、「PaceBox」β版のリリースで新たに立ち上がった中途事業、「eF-1G」の拡張を狙う適性検査事業の3つに分類されている。また、この3事業の補完、新規事業の創出へ向けてM&Aにも取り組んでいく方針である。

(1) 新卒事業
「OfferBox」では、企業と学生の魅力をさらに引き出す施策を打ち出し、企業と学生の出会いの機会が広がるプラットフォームへの進化を目指すことで、2026年卒で2万人という採用決定人数を生み出すことを目標に掲げている。そのため、Step1で企業と学生相互の魅力をさらに引き出す機能改善、Step2で企業と学生の出会いの機会を増加させる機能強化、Step3でデータ活用によるマッチング効率のさらなる向上??を事業戦略方針とする。具体的には、Step1で、学生が見られる企業の情報と企業が見られる学生の情報に、相互の新たな魅力が伝わる要素を導入する。Step2では、企業からのオファーをさらに促進させる機能強化を行い、イベント・セミナーといったリアルサービスの出会いの特徴を取り入れるなど「OfferBox」内での企業と学生との出会う機会を増やすことで、オファー送信数の増加を図る。Step3では、Step1や2の取り組みをベースに、「OfferBox」の特徴である学生や企業の“意志の込もった行動データ”ベースを質・量ともに拡充し、これを機械学習にかけることで、さらなるマッチング効率の向上を目指す。事業戦略Step1~Step3を推進することで、オファー送信量を増加させると共にオファー承認率を向上させることでオファー承認件数を引き上げ、その結果、採用決定に至る企業が増加することが予想される。これにより、利用企業の継続率の改善にもつながる見込みになっている。また、利用継続企業の平均取引額は継続期間が長くなるほど高まる傾向にあるため、収益性も向上する想定になっている。その結果、2025年3月期には新卒事業は、平均取引額の上昇に加え、営業の生産性向上や開発の内製化に伴う開発外注費の抑制、採用費用の抑制などにより、売上高7,570百万円(平均成長率39.6%)、営業利益1,450百万円を見込んでいる。

(2) 中途事業
日本では労働人口の減少や産業の構造変化に伴う職種構造の変化などにより、既に様々な形の転職が存在している。特に産業構造変化を背景に、今後、異なる産業や職業へのキャリアチェンジの必要性が高まると予想されている。しかし、キャリアチェンジは簡単にできることではなく、求職者が持つ職務経歴から異なるキャリアに生かせる要素を見出すことが不可欠となる。一方、転職市場は、コロナ禍の影響で一時的に市場規模が縮小したが、長期的に成長するトレンドに変わりなく、遠からずコロナ禍以前の市場規模を上回ると見られている。「PaceBox」がターゲットとする若手層(この場合は25歳~34歳)は転職に積極的で、転職希望者が200~230万人の間で増加傾向にあるが、転職者数は60万人台半ばで減少トレンドとなっている。気になるのは転職希望者数の増加に対して実際の転職者数の減少していることである。この点は、若手層においては初めての転職やキャリアチェンジでありながらキャリア形成支援が十分ではないという求職者側の課題と、低い認知度や少額の予算といった背景から採用成功に至っていないという企業側の課題があり、これらの課題を解決するには、求職者のキャリアをしっかり認識できるよう、求職者と企業のつながりを作ることが重要だと考えられている。同社は、「OfferBox」で培った技術・ノウハウをベースに、こうした課題の解決につながる定着保証という新たな料金形態で提供することにより、入社ではなく定着をゴールにした転職マッチングプラットフォームを「PaceBox」で実現する。これにより中途事業の業績は、競合の多い転職市場で事業の垂直立ち上げを図るための先行投資により2023年3月期は損失計上を見込むが、2025年3月期には売上高で1,700百万円(平均成長率239.1%)、営業利益で130百万円を見込んでいる。

(3) 適性検査事業
コロナ禍をきっかけにオンライン選考へのシフトが進み、Webテストである「eF-1G」へのニーズが拡大する見通しである。このため、課題を持った企業に、適切なタイミングで適切なソリューションを提供できる体制強化に取り組んでいく方針である。また、戦略的な取り組みとして、保有する豊富な実績や知見を課題解消のコンテンツとして生かしデジタルマーケティングを強化することで顧客に効果的に届けること、また、「OfferBox」のクライアント1万社に対して戦略的なアプローチを実施する一方、多様化、複雑化する顧客の課題に対し強みの測定範囲の広さをさらに強化するなど新たなプロダクト開発やサービスを進化させることにも注力していく考えである。

(4) M&A戦略ほか
Vision2030の実現及びエコシステムの構築を目指し、規律ある戦略的M&Aに取り組んでいく考えである。M&Aは、個人のキャリアと法人向けサービスを2軸とする領域全体で、案件を収集していく方針である。投資ポリシーとして規律ある投資を継続的かつ戦略的に実行するが、全般統制としては、リスクの許容量を見極め、M&A投資原資の設定や純資産比率を指標としたのれんの総量規制などを定める。一方、個別統制としては、案件ごとの選定基準や投資基準、撤退基準を定め、案件内容を精査したうえで投資判断を行う。投資実行後も適切なモニタリングを行い、企業価値向上への貢献確度を高めるPMI※を実行する考えである。

また、顧客価値を生み出すのは従業員のエンゲージメントでありロイヤリティの高さであるという認識に基づき、多彩な人材が多様な働き方を実現できるよう様々な取り組みを行っている。そのほか、取締役(社外取締役を除く)を対象とした株式報酬の導入や情報セキュリティの強化などコーポレートガバナンスの強化も進める方針である。

※PMI(Post Merger Integration):M&Aに期待する効果を確実に得るための統合プロセスとマネジメント。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《YM》

 提供:フィスコ

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