【市況】トランプ圧勝の反騰相場で最高値を更新 (3) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】
●雇用関係
○10月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想の12万5000人増を大幅に下回る1万2000人増となりました。9月は当初発表では25万4000人増(当初予想は13万2000人増)と予想を大幅に上回りましたが、改定値では22万3000人増に下方修正されました。予想からの大幅な下振れと下方修正は最近のハリケーンや労働ストライキに関連していた模様で、市場は雇用統計を難なく織り込みました。
⇒10月の失業率は予想通り、9月から横ばいの4.1%となりました(8月は4.2%、7月は4.3%、6月は4.1%、5月は4.0%、4月は3.9%、3月は3.8%、2月は3.9%、1月と2023年12月、11月は3.7%、10月は3.9%、9月は3.8%でした。2020年2月は3.5%でしたが、同年5月13.3%となりました)。
⇒労働参加率は9月の62.7%から62.6%に低下しました(8月は62.7%、7月は62.7%、6月は62.6%、5月は62.5%、4月は62.7%、3月は62.7%、2月、1月と2023 年12月は62.5%、11月は62.8%、10月は62.7%、9月62.8%)。
⇒10月の週平均労働時間は事前予想通り、9月の34.2時間から34.3時間に増加しました(8月は34.4時間、7月は34.2時間、6月は34.3時間、5月は34.3時間、4月は34.3時間、3月は34.4時間、2月は34.3時間、1月は34.2時間、2023年12月は34.3時間、11月は34.4時間、10月は34.3時間、9月は34.4時間)。
⇒10月の平均時給は前月比0.3%増の予想に対し、同0.4%増(前月の35.31ドルから35.46ドルに増加)となりました。9月は当初発表の同0.4%増から同0.3%増に下方修正されました(8月は同0.4%増、7月は同0.2%増、6月は同0.3%増、5月は同0.2%増、4月は同0.2%増、3月は同0.3%増、2月は同0.2%増、1月は同0.5%増)。 前年同月比では事前予想通り4.0%増となり、9月は当初発表の同4.0%増から同3.9%増に下方修正されました(8月は同3.9%増、7月は同3.6%増、5月は同4.1%増、4月は同4.0%増、3月は同4.1%増、2月は同4.3%増、1月は同4.4%増)。
○失業保険継続受給件数(季節調整済み)は、前月の186万2000件から190万7000件に増加しました。
⇒週間新規失業保険申請件数(当初報告通り):
→2024年11月7日発表の週間新規失業保険申請件数:22万1000件
→2024年11月14日発表の週間新規失業保険申請件数:21万7000件
→2024年11月21日発表の週間新規失業保険申請件数:21万3000件
→2024年11月27日発表の週間新規失業保険申請件数:21万7000件
●企業業績
○S&P500指数の時価総額の95.6%に相当する銘柄が2024年第3四半期の決算発表を終え、営業利益と売上高はともに四半期での過去最高を更新する見通しです。営業利益率は11.89%と高い水準で推移しています。将来の予想はこれまでの水準を維持しており、2025年末まで毎四半期で過去最高の更新が予想されています。
⇒現時点で484銘柄が決算発表を終え、そのうちの349銘柄(72.0%)で利益が予想を上回り、483銘柄中299銘柄(61.9%)で売上高が予想を上回りました。
⇒2024年第3四半期の営業利益は前期比で2.0%増、前年同期(前期から落ち込んだ2023年第3四半期)比では13.9%増が見込まれており、過去最高を更新するとみられています。
⇒売上高は前期比で2.5%増となり、四半期での過去最高を更新する見込みで、前年同期比では6.9%増となる見通しです。
⇒2024年第3四半期の営業利益率は2024年第2四半期の11.94%から低下する一方、2023年第3四半期の11.15%を上回る11.89%になると予想されます(1993年以降の平均は8.46%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。
⇒2024年第3四半期中に株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は14.0%となっています。この割合は、2024年第2四半期は12.7%、2023年第3四半期は13.8%でした。
○2024年通年の利益は前年比9.8%増が見込まれており、この予想に基づく2024年の予想株価収益率(PER)は25.8倍となっています。
○2025年通年の利益は前年比16.6%増が見込まれており、予想PERは22.0倍となっています。
●個別銘柄
○航空機メーカー、ボーイング<BA>のストライキ中の従業員(約3万3000人)が和解案を承認し、ストライキと工場の操業停止は解除されました。
○自動車メーカーのフォルクスワーゲンは、電気自動車メーカーのリビアン・オートモーティブ<RIVN>に58億ドル(当初の50億ドルから増額)を投資し、合弁会社を設立する計画を発表しました。
⇒リビアン社はジョージア州に工場を建設するために、米エネルギー省から66億ドルの融資を受けたことを明らかにしました。
○航空会社スピリット航空<SAVE>はフロンティア・グループ・ホールディングス<ULCC>との合併協議が決裂したことを受けて、破産申請の準備を進めていると報道されました。同社は連邦判事によって、同業のジェットブルー・エアウェイズ<JBLU>との合併を今年初めに阻止されていました。
※「トランプ圧勝の反騰相場で最高値を更新 (4)」へ続く
株探ニュース