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【特集】決算資料を読み解け―東京メトロ、OLCで学ぶ財務・会計の基礎―

日経CNBC×株探 コラボ第3弾
「幸福寿命」を延ばす資産形成アカデミー 第7回


田中彰一田中彰一
日本経済新聞社コンテンツプロデューサー兼日経CNBC解説委員
1989年、日本経済新聞社入社。主に金融・資本市場担当。ニューヨーク駐在などを経て2018年より現職。日経電子版コンテンツ開発、ニュースレター執筆、経済番組解説の「創る・書く・話す」の三刀流をこなす。お宝株を紹介する日経CNBCの動画「未来のブルーチップを探せ」は2023年の年間アクセス数首位。著書は『「50代から輝く!『幸福寿命』を延ばすマネーの新常識」』(日本経済新聞出版)など多数。小冊子「日経記事でマネートレーニング」(東京証券取引所)は金融経済教育を推進する証券知識普及プロジェクトの認証を受けた。マネーと不動産の実務と健康に詳しい。

 3月期決算企業の中間決算発表が本格化しています。2年前の2022年11月8日、「【日経記者流】決算資料・速読即解術『投資家のための財務入門』」と題した株探スペシャルウェビナーを開催し、多くの株探ユーザーに参加いただいたことを思い出します。

 じつはこの春、NIKKEI投資スクールを7回シリーズで開講したのですが、最も人気を集めた回が「財務の基礎知識」編でした。日本経済新聞社によるアンケートでも個別株投資を始めようという初中級者が最初につまずき、足踏みするのは財務・会計分野であることが明らかになっています。

 決算資料は投資における最重要の一次情報ですが、真正面からぶつかるとその難解さや専門性に心が折れます。結果的に業績修正やサプライズ決算だけに着目したモメンタム売買に流れがちになります。

 というわけで、今回は決算読解力の底上げをテーマにしてみました。まあ、株探ウェビナーの再現でもありますが、単なる用語解説だけではなく、決算サンプルをいくつか使って実践的な読み解きにもチャレンジし、最終的には「財務分析」「バリュエーション判定」などの高みを目指そうと思います。

■初心者は損益計算書の完全理解を

 業績をまとめた資料は速報の決算短信、確報の有価証券報告書に分かれます。投資に直結するのは短信です。資料を開けたら3種類の財務諸表を探しましょう。損益計算書(I/S)、貸借対照表(バランスシート、B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)です。一番大事なのは、期末の財務状況を表すバランスシートです。バランスシートの差分が損益計算書、というように覚えましょう。

図1 損益計算書の仕組み
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 ただし、初級者はまず直感的にわかる損益計算書の完全理解を目指しましょう。

 図1をご覧ください。損益計算書の一番上の項目が売上高です。ここは説明が不要でしょう。営業収益や経常収益などと記載されている場合もあります。

 次が売上原価。商品でいえば原材料費、あるいは仕入れコストが該当します。売れば売るほどコストも増えるので変動費ともいいます。

 売上高-売上原価=売上総利益です。粗利益ともいって経営者はよく「アラリ」と呼びます。経営者にとっては「アラリ」が一番大切なもうけになります。「アラリ」をどれだけ稼げるかが固定費回収スピードを左右し、事業規模の拡大や人件費を含めた設備投資など近未来の経営判断につながるからです。

 人件費や設備の償却、オフィス賃料など固定費は営業費用です。宣伝費なども含めて販管費・一般管理費に含めるのが大半ですが、製造工場で働くひとの人件費は売上原価に算入する場合があります。我々マスメディアでも新聞記者は直接コンテンツ制作にかかわるので売上原価になる場合があります。営業マンや役員などの報酬は管理費。これらの費用を差し引くと営業利益が出ます。

 ここまで本業にかかわるほぼすべての費用を織り込んでいるので営業利益は「稼ぐ力」を示す、というわけです。

50代から輝く!『幸福寿命』を延ばすマネーの新常識
※本稿は「50代から輝く!『幸福寿命』を延ばすマネーの新常識」(田中彰一著)から「新常識41」「同43」などを抜粋し、株探ユーザー向けに加筆・再構成しました。取材歴35年のベテラン記者が明かす127のノウハウ(=新常識)の詳細については是非、同書をご覧ください。




 

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