【特集】ダイキアクシス Research Memo(6):2024年12月期上期は設備投資需要の回復や、海外事業拡大等で増収増益
D・アクシス <日足> 「株探」多機能チャートより
■ダイキアクシス<4245>の業績動向
1. 2024年12月期上期の業績概要
2024年12月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.3%増の22,610百万円、営業利益が同67.7%増の554百万円、経常利益が同52.3%増の628百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同5,987.3%増の266百万円と増収増益となった。通期予想に対しても順調に進捗している。
売上高は、2件の連結効果(3ヶ月分の上乗せ)を含め、3つの事業がバランスよく伸長した。「環境機器関連事業」は、設備投資需要の回復により修繕工事が増加したほか、メンテナンス契約の積み上げが増収に寄与した。また、注力する海外事業も大きく伸びた。「住宅機器関連事業」については、都市圏マンションなど建設関連事業者などが堅調に推移したほか、空調工事を手掛けるアドアシステムの連結効果(シナジーを含む)などにより住機部門工事が大きく底上げされた。「再生可能エネルギー関連事業」についても、メデアの連結効果を含め、太陽光発電事業(売電、発電施設の販売)が順調に拡大した。
利益面では、仕入価格や輸送費等の高止まりが見られるなかで、価格転嫁の進展及びストック収益(メンテナンス等)の積み上げ、M&Aした子会社とのシナジー創出、海外事業の損益改善などの要因により大幅な増益となった。営業利益率も2.5%(前年同期は1.6%)に改善した。なお、親会社株主に帰属する中間純利益の増益率が著しく高いのは、前年同期に発生した一過性費用(製品不具合対応費用)が解消したことによる。
財政状況は、バイオディーゼル燃料精製プラントの建設等により固定資産が増加した一方、現金及び預金が減少し、資産合計は34,061百万円と前期末比ほぼ横ばいで推移した。また、自己資本は利益剰余金の増加等により同1.8%増の9,698百万円となったことから、自己資本比率は28.5%(前期末は28.0%)とわずかに上昇した。
キャッシュ・フローの状況については、営業キャッシュ・フローが前期末比1,525百万円のプラス、投資キャッシュフローが同1,104百万円のマイナス、財務キャッシュ・フローが同433百万円のマイナスとなり、その結果、現金及び預金同等物の残高は同1,950百万円減の6,706百万円となった。なお、投資キャッシュフローのマイナスは、バイオディーゼル燃料精製プラントの建設やベンチャーキャピタル事業におけるスタートアップ投資によるものである。
主力事業の業績は以下のとおり。
(1) 環境機器関連事業
売上高は前年同期比3.5%増の11,231百万円、セグメント利益は同27.2%増の978百万円となった。設備投資需要の回復などを追い風として、浄化槽・排水処理システムにおける修繕工事が増加したほか、原価上昇分に対する価格転嫁の進展などが増収に寄与した。地下水飲料化事業についても、新規契約や販売後のメンテナンス契約の増加により順調に伸びた。また、注力する海外事業についても、新工場の稼働とともにインド及びスリランカが大きく伸長した。ただ、事業全体で緩やかな増収率に留まったのは、案件の大型化に伴う売上計上基準(工事進行基準)が影響しており、受注高は増収率以上に積み上がっているようだ。利益面では、材料費や外注費の高止まりに対する価格転嫁の進展に加え、案件大型化に伴う利益率の良化、ストック収益の積み上げ(メンテナンス契約や地下水飲料化事業等)、海外事業の損失縮小により大幅な増益となった。セグメント利益率は8.7%(前年同期は7.1%)に大きく改善した。
(2) 住宅機器関連事業
売上高は前年同期比10.5%増の9,747百万円、セグメント利益は同46.3%増の258百万円となった。大阪、広島など都市圏マンションが堅調な建設関連事業者等が伸びた。また、住機部門工事についても空調工事を手掛けるアドアシテムの連結効果(シナジーを含む)や農業温室工事の大型案件獲得などにより大きく拡大した。利益面でも、仕入価格や輸送費等の上昇分の価格転嫁が進んだことや、利益率の高い住機部門工事の伸びなどにより大幅な増益となり、セグメント利益率は2.7%(前年同期は2.0%)に改善した。
(3) 再生可能エネルギー関連事業
売上高は前年同期比21.8%増の1,334百万円、セグメント利益は同17.2%増の77百万円となった。売電事業による安定収益に加え、売電事業及び発電施設の販売を手掛けるメデアの連結効果が増収に大きく寄与した。また、バイオディーゼル燃料関連事業についても、B5軽油※の契約件数の伸びにより着実に伸びた。利益面では、東日本(茨城県)におけるバイオディーゼル燃料精製プラント建設などに係る先行費用が発生したものの、売電収益の底上げやメデアによる施設販売により増益を確保した。セグメント利益率は5.8%(前年同期は6.1%)と若干低下した。
※ 軽油に「D・OiL」を5%混合したものであり、国の定める軽油の強制規格を満たしている。日本航空向けの空港内作業車両への供給が四国4県にて実現した。
2. 2024年12月期上期の総括
2024年12月期上期は、すべての事業がバランスよく伸長し好調に推移したと評価できる。特に利益面では大幅な伸びとなり、通期予想に対してもハイペースで進捗しているところは特筆すべきポイントだ。弊社では、収益性改善に向けて、1) 価格改定の進捗、2) セールスミックスの強化(利益率の高い商材・サービスの導入)、3) ストック収益の積み上げ(メンテナンス契約の伸び)、4) コスト削減(集中購買等)、5) 海外事業の拡大(新工場の稼働状況等)をフォローしてきたが、それぞれに一定の成果があったことが収益の底上げにつながったと見ている。また、今後に向けた活動面においても、新工場の稼働(インド、スリランカ)や新たな拠点開設(バングラデシュ)などによる海外事業の進展をはじめ、M&Aした子会社とのシナジー創出(新たな商材・サービスの拡充等)、バイオディーゼル燃料の販売地域拡大(東日本)、競争力向上に向けた木構造事業の体制強化(全工程の自社対応)など、各方面で次のステージに向けた方向性の一端を示すことができた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《HN》
提供:フィスコ