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【特集】アイル Research Memo(6):2024年7月期は増収増益で過去最高

アイル <日足> 「株探」多機能チャートより

■アイル<3854>の業績動向

1. 2024年7月期連結業績の概要
2024年7月期の連結業績は売上高が前期比9.9%増の17,508百万円、営業利益が同20.2%増の4,263百万円、経常利益が同20.0%増の4,285百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.8%増の2,887百万円だった。おおむね会社予想(2024年6月7日公表値、売上高17,350百万円、営業利益4,250百万円、経常利益4,272百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,851百万円)水準の増収増益で着地し、過去最高だった。慢性的な人手不足に悩む中堅・中小企業におけるDX需要を着実に取り込んだことに加え、製販一体体制やパートナー戦略の推進などでシステムソリューション事業の高成長が継続し、Webソリューション事業も順調だった。ストック売上高は同14.7%増の7,212百万円、ストック売上総利益は同15.8%増の4,264百万円、ストック売上総利益率は同0.6ポイント上昇して59.1%、ストック売上総利益の販管費カバー率は同5.7ポイント上昇して77.4%となった。システムソリューション事業におけるシステムの大型化に伴う月額保守料増加やクラウド商材導入増加に加え、CROSS事業の安定成長も寄与した。

全体の売上総利益は同12.6%増加し、売上総利益率は同1.3ポイント上昇して55.8%となった。販管費は同7.3%増加したが、販管費比率は同0.7ポイント低下して31.5%となった。この結果、営業利益率は同2.1ポイント上昇して24.4%となった。営業利益716百万円増益の増減要因は、システムソリューション事業の売上総利益999百万円増、Webソリューション事業の売上総利益91百万円増、人件費増加で297百万円減、その他販管費増加で77百万円減だった。人件費については、継続的な人事制度見直しと社員数増加により前期比8.2%増加(うち原価分の人件費は同11.7%増加)した。その他販管費については展示会への出展、認知度向上に向けたTVCMなどの施策、令和6年能登半島地震の被害に対する義援金などにより増加した。ただし、テレワーク・在宅勤務体制によりオフィス家賃の増加が抑制されていることなども寄与して販管費比率が低下した。なお、クラウドサービス開発に関する一部ソフトウェアの除却処理を行い、特別損失に固定資産除却損230百万円を計上した。


システムソリューション事業の高成長が継続

2. 事業別の動向
(1) システムソリューション事業
システムソリューション事業は、売上高が前期比10.7%増の15,339百万円、売上総利益が同13.1%増の8,659百万円と、2ケタ増収増益だった。売上総利益率も同1.2ポイント上昇して56.5%となった。メーカーの保守終了に伴うサーバー機器入替需要が第1四半期に一巡したものの、中堅・中小企業におけるDX需要が高水準に推移したことに加え、クラウド導入ニーズの増加などによるストック売上の積み上げ、製販一体体制をはじめとした利益向上施策による開発の順調な進捗と案件回転率の上昇、パートナー企業からの紹介による大型案件増加、仕入価格高騰に対する価格転嫁などにより、高成長を継続した。

(2) Webソリューション事業
Webソリューション事業は、売上高が同4.9%増の2,168百万円、売上総利益が同8.9%増の1,113百万円、売上総利益率が同1.9ポイント上昇して51.3%だった。このうちCROSS事業は売上高が同7.4%増の1,634百万円、売上総利益が同11.7%増の948百万円、売上総利益率が同2.2ポイント上昇して58.0%だった。コロナ後のEC消費行動の変化により、小規模EC事業者には事業縮小や撤退を行う動きがみられたが、この対策として中堅・大企業へのアプローチを強化して大型案件獲得に努めた結果、売上面はおおむね順調に成長した。利益面は人財投資や「BACKYARDTM」開発投資を継続しつつも、増収効果に加え、クラウドサービスが順調で売上総利益率が上昇した。


財務の健全性が一段と高まる

3. 財務の状況
財務面は、2024年7月期末の資産合計が前期末比2,038百万円増加して14,153百万円となった。主にソフトウェアが210百万円減少した一方で、現金及び預金が1,023百万円、売掛金が472百万円、契約資産が335百万円、ソフトウェア仮勘定が164百万円それぞれ増加した。負債合計は同98百万円増加して4,473百万円となった。流動負債では、その他に含まれる未払消費税等が146百万円減少した一方で、買掛金が115百万円増加した。固定負債では、退職給付に係る負債が113百万円増加した。純資産合計は剰余金の配当901百万円による減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより同1,940百万円増加して9,680百万円となった。この結果、自己資本比率は同4.5ポイント上昇して68.4%となった。特に懸念材料は見当たらず、弊社では財務の健全性が一段と高まったと評価している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《HN》

 提供:フィスコ

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