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【特集】STIフードHD Research Memo(1):好業績で2024年12月期上方修正、中期的には関西新工場が成長けん引

STIFHD <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

1. セブン-イレブン向けをメインに、水産系チルド惣菜やおにぎり具材を販売
STIフードホールディングス<2932>は、魚など水産資源を原材料に、食品や食材の生産・販売を行う食品メーカーである。主として大手コンビニエンスストアチェーンであるセブン-イレブン向けに、焼魚などチルド惣菜やサーモンフレークなどおにぎり具材を販売している。販売先別売上高は、セブン-イレブングループ向けが87.7%と大半を占め(2023年12月期)、内訳はチルド惣菜やおにぎり具材、冷凍食品、缶詰などの常温食品となっている。セブン-イレブン以外では、自社ECサイトなどで食品、外食向けに食材、食品スーパーには缶詰などを販売している。製品別では、水産原材料を使ったチルド惣菜や缶詰、レトルト製品など食品、及びおにぎりや弁当、パスタ、サラダ向け水産具材などの食材に分けられる。

2. 強みは独自の技術力、高効率な一貫生産体制、徹底したフードロス対策など
同社の強みは、量産やおいしさ、品質を追求した独自の技術力、高効率な一貫生産体制、フードロスの削減にある。なかでも技術力については、常にいくつもの新しい技術・製法を開発しており、その結果3年に1回程度、例えばガス置換パック技術のような大きな技術革新に成功することで、高い参入障壁を築いてきた。一貫生産体制では、一貫生産と徹底した温度管理によって冷凍・解凍の回数を1回に削減しており、分業のため冷凍・解凍の回数が多くなる同業他社に対して、鮮度の面で大きな差をつけている。また、一貫生産だからこそ効率的に素材を使い切ることができ、徹底したフードロス対策ができるというメリットもある。ほかにも、祖業が商社のため海外を含めて同社自ら検品や買付をしていることや、小売最大手のセブン-イレブンの力を利用できることも強みと言える。

3. 関西新工場は関西エリアの供給効率化と全国的な生産体制の最適化を通じて業績に貢献
「原材料、開発、製造、知的財産に関する各機能が事業への貢献を追求することで、より強い企業集団を作り上げる」という重点方針の下、「原材料の品質に妥協せず、複数拠点による製造最適化を図り、グループ各社の技術をクロスオーバーしていくこと」を重点施策に掲げている。これにより、既存商品の改善・改良と新しい商品グループの創造を加速し、グローバル商品の開発につなげていく。また、関西での供給体制構築という観点からも、建設中の関西工場は重要なポジションを占める。関西新工場は2024年12月に通常稼働の予定で、2025年12月期にはほかの工場並みの利益率を確保を目指す。関西エリアの供給効率化や販売期間延長に留まらず、全国的な生産体制の最適化も達成できる見通しで、全社的な売上拡大と利益率改善に貢献するものと弊社では見ている。

4. 業績好調で2024年12月期は上方修正、2025年12月期以降も関西新工場が業績けん引へ
2024年12月期第2四半期の業績は、売上高16,694百万円(前年同期比12.5%増)、営業利益1,491百万円(同44.1%増)と好決算だった。原材料・資材価格が上昇し、人件費、水道光熱費が増加するなか、加えて、主力のセブン-イレブンの業況がやや低迷するなかで、魚惣菜を買う習慣が広がっていることを背景に同社のデイリー食品は引き続き好調に推移、生産性向上なども寄与し営業利益は想定を上回る大幅増となった。このため、2024年12月期の業績予想を、売上高35,000百万円(前期比10.1%増)、営業利益2,800百万円(同21.4%増)へ上方修正した。同社は、継続的に生産能力を増強することで魚惣菜市場の成長を取り込んできたが、関西工場の建設によって中期的にも2ケタ成長を継続する考えである。

■Key Points
・水産資源を原材料に食品や食材を生産するメーカー。技術力や一貫生産などに強み
・関西エリアの効率化と全国的な製造最適化を推進するため関西工場新設へ
・業績好調により2024年12月期を上方修正、2025年12月期以降も2ケタ成長見込み

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《EY》

 提供:フィスコ

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