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【特集】SBSHD Research Memo(1):3PL、EC物流、国際物流の強化により持続的成長を目指す

SBSHD <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

SBSホールディングス<2384>は、3PL(物流一括受託サービス)の大手で、積極的なM&Aと物流施設の開発及び流動化による独自ビジネスモデルで成長を続けている。2018年にリコーロジスティクス(株)(現 SBSリコーロジスティクス(株))、2020年に東芝ロジスティクス(株)(現 SBS東芝ロジスティクス(株))を子会社化するなど大型M&Aを実現し、売上規模も2017年12月期から2023年12月期までで約2.8倍に急拡大した。

1. 2024年12月期第2四半期累計の業績概要
2024年12月期第2四半期累計(2024年1月-6月)の連結業績は、売上高で前年同期比0.4%減の221,739百万円、営業利益で同23.1%減の10,958百万円と減収減益となった。主力の物流事業が海外物流の運賃下落や物量減、国内における新拠点開設コストや賃借料の増加等により売上高で同0.3%減、営業利益で同31.1%減と落ち込んだほか、不動産事業も不動産流動化実施金額が期ズレの影響(前期は第1四半期に集中)で減少したことにより、売上高で同3.2%減、営業利益で同16.5%減となったことが要因だ。ただ、市場環境が厳しいなかでも、国内における新規顧客獲得は順調に進んだほか新規事業所開設やLT投資等も推進するなど、将来の成長に向けた経営基盤の強化については着実に進んでおり、物流拠点の運営面積も前期末比8.5%増の105万坪に拡大した。

2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比4.2%増の450,000百万円、営業利益で同6.5%増の21,000百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの進捗は物流事業において海外物流の落ち込みが響いて若干遅れ気味となっているが、国内の新規顧客獲得や料金適正化等に取り組むほか、2024年2月に開業した「野田瀬戸物流センターA棟」(運営面積4.3万坪)、同年8月に開業した「物流センター横浜福浦」(同1.7万坪)など新設大型センターの稼働効果で計画達成を目指す。物流拠点の運営面積は前期末比11.9%増の108万坪に拡張する計画となっており、計画中や確保済みの用地も含めれば122万坪の拡大余地があり、今後も流動化スキームを活用しながら開発を進める方針だ。

3. 成長戦略
同社は2023年2月に発表した中期経営計画「SBS Next Stage 2025」において、2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円、営業利益率5.5%を経営数値目標として掲げた。重点施策として、グループ各社の強みを生かし3PLを中心とした企業間物流のさらなる強化を図るとともに、市場成長が見込まれるEC物流の強化、国際物流事業の拡大などを推進する。3PLでは「LT×IT」の積極的な導入・活用により競争力を高め国内シェアを拡大するほか、既存顧客の海外拠点向けでの需要もあると見ており、M&Aも視野に入れ進出を検討している。EC物流では大手事業者向けの置き配サービスを開始しており、今後一般顧客向けの需要も開拓していく。M&Aでは日本精工<6471>の物流子会社を年内を目途にグループ化する予定となっている。売上規模は200億円程度と推定するが国内事業のみであり、現在は他社に委託している海外物流分も含めれば500億円規模のポテンシャルがあると見られる。M&A効果も含めれば2025年12月期の売上目標5,000億円も射程圏に入ってくると見られる。なお、株主還元方針としては、資金需要や収益動向も見極めながら、配当性向で将来的に30%程度まで引き上げていく意向であり、2024年12月期の1株当たり配当金は前期比5.0円増の70.0円(配当性向26.5%)と7期連続の増配を予定している。

■Key Points
・2024年12月期第2四半期累計業績は減収減益となるも、おおむね計画どおりの進捗
・物流事業の下振れリスクはあるものの、2024年12月期業績は期初計画通り増収増益を目指す
・2025年12月期の売上目標5,000億円の達成は物流事業の回復とM&Aが鍵を握る

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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