【特集】KeyH Research Memo(10):中期的に収益寄与期待のトポスエンタープライズ
KeyH <日足> 「株探」多機能チャートより
■KeyHolder<4712>の業績動向
4. トポスエンタープライズについて
同社は、2024年10月にトポスエンタープライズを子会社化し、倉庫・運送事業に事業領域を拡大する予定である。2023年10月にパチンコホールを運営する(株)ガイアが民事再生法の申請を行ったことに伴い、ガイアの金融債務の一部を保証していたトポスエンタープライズは、事業を継続するため民事再生手続によって事業の再建を図っている。このような状況のなか、同社は、緊密なJトラスト<8508>※からの紹介を受ける形でトポスエンタープライズのデューデリジェンスを慎重に行い、トポスエンタープライズが行っている倉庫・運送事業への拡張と、総合エンターテインメント事業や映像制作事業において物流倉庫の広大な空間や運送用車両による機動力といったトポスエンタープライズのリソースを取り込むことによる将来の可能性を検討してきた。その結果、倉庫・運送事業への事業領域の拡大を筆頭に、トポスエンタープライズの有する幅広いパイプを活用した同社IPのキャスティング機会の創出、ライブや興行などイベントに係る物流面でのバックアップ、不足傾向にある大型スタジオとしての利用の可能性、保有不動産の将来的価値などが、同社の成長を押し上げるとの結論に至った。この結論を受け、Jトラストはトポスエンタープライズの民事再生手続に関する最終スポンサーに同社を指定、同社とトポスエンタープライズの間でスポンサー契約を締結することになった。
※ Jトラストはガイアとの間で基本合意書を締結し、Jトラスト、Jトラストの関係会社またはJトラストの指定するパートナー企業をガイアグループのスポンサー候補とし、再生手続を遂行しながらガイアグループの事業を継続している。
トポスエンタープライズは、物流事業、アミューズメントソリューション、卸売事業、ホテル事業(仙台駅西口駅前人工温泉とぽす1軒)、コンビニ事業(ミニストップ3店)を展開している。主力は物流事業で、グループ会社だったガイアとの取引を中心に遊技台の保管・輸送などを得意としており、物流事業で自社車両113台と協力会社による全国ネットワークを有し、保管事業では遊技台15万台を扱っている。また、アミューズメントソリューションでは専用システムによる徹底した在庫管理・監視体制を構築、卸売事業ではアミューズメントホール向け景品や通販商品、小売業向けの商品を豊富に取り扱っている。業績はもともと収益体質だったが、ガイアの民事再生法申請に伴って2024年5月期は売上高7,338百万円、営業損失283百万円、当期純損失1,516百万円となった模様である。しかし現在、事業の見直しや資産の売却、コストの抑制を進めており、2025年5月期には売上高7,781百万円、営業利益193百万円、当期純利益115百万円へと業績が回復する見込みである。こうした業績回復の背景にあるのが、売上高で6割以上を占めるガイア以外の企業との取り組みで、民事再生法を申請しても大半の企業が取引を継続しているようだ。このため、さらなる営業拠点の拡大を予定しており、2026年5月期には売上高8,000百万円、営業利益200百万円を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《HN》
提供:フィスコ