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【特集】rakumo Research Memo(1):2024年12月期第2四半期はKPI指標が悪化に転じるも、一時的

rakumo <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

rakumo<4060>は、Google Workspaceのユーザー管理、認証、セキュリティ機能を共通利用し、Google Workspaceが持つ機能をさらに補完する領域(共有カレンダー、共有アドレス帳)から、Google Workspaceにはない領域(電子稟議、社内掲示板、勤怠管理、経費精算)までをカバーし、顧客の業務生産性向上に寄与するグループウェアサービス「rakumo」をSaaS方式で提供している。Google Workspace自体の利用者数が今後も増加することが見込まれ、Google Workspace導入企業へのマーケットシェアの拡大余地も大きく、同社は中長期的に高い売上成長の見込まれる稀有な企業の1つである。資本業務提携先のアドバンテッジアドバイザーズ(株)との協働により、2024年4月から一部製品の利用料金改定を実施した。業績への寄与が期待されることに加え、新規プロダクトのローンチに向けて開発を積極化することでクロスセルも中長期的に期待される。

1. 2024年12月期第2四半期の業績概要及び主要KPIが悪化した背景と今後の見通し
2024年12月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比16.8%増の697百万円、営業利益が同16.1%増の171百万円、経常利益が同15.7%増の166百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同10.9%増の108百万円となった。営業利益率は24.5%となり前期比で0.1%の低下となったが、のれん償却費(PPAによる取得原価配分後の各種償却費を含む)の増加が22百万円あることから、この影響を除いたEBITAマージンは2024年12月期第2四半期は28.3%へと拡大しており、値上げ効果が徐々に表れていると言える。しかし、主要KPIであるSaaSサービスにおけるユニークユーザー(UU)数及び顧客社数が第1四半期比で減少し、解約率も前期末比で上昇するなど、これまで四半期ベースでも順調に推移してきたこれらKPI指標が悪化へ転じた。業績進捗自体は順調であったと評価できるものの、これまで四半期ベースで好調を続けてきたKPI指標が軒並み悪化へ転じた。

これにより第2四半期決算発表直後に同社株価が大幅に下落したものと推察されるが、弊社はKPI指標の悪化はあくまで一時的なものであり、各種施策の推進により下期において徐々に改善する可能性が高いと考えている。各種KPIが悪化した最大要因は、期初計画時点では想定しなかったGoogle LLCによる再販プログラムの変更(実質的な値上げ)である。これにより同社製品のプラットフォームとしているGoogle Workspace自体の値上げにつながった。同社は、Google自体の解約を除いた実質ベースの解約率は従来の低水準にとどまっていることから、「rakumo」自体の値上げによる解約率の上昇ではないとしている。UU数や顧客社数の減少についてはGoogleの再販プログラム変更の影響に加え、契約が例年よりも3月に集中したことで第2四半期の新規顧客獲得数が減少したという一時的要因も挙げており、過度な懸念は不要と見られる。

2. SaaSサービスにおける事業及び価格改定実施の進捗状況
主力のSaaSサービスにおける2024年12月期第2四半期の売上高は前年同期比24.3%増と、第2四半期において上場来最大の成長率を達成し、全社売上高に占めるSaaSサービスの構成比は95.4%となった。同社はSaaSサービスに一段と注力するためITオフショア開発サービスやソリューションサービスなどを縮小しており、2024年4月から実施している同社が持つ10製品のうち5製品での価格改定の効果も表れている。同社では値上げによる既存クライアントの売上増加効果は、2025年12月期は2024年12月期の3倍強になると試算している。Google再販プログラム変更による影響が落ち着き、急激な円安進行によるサーバー費用の増加などの原価上昇といった要因も一巡すれば、値上げ効果が売上高成長率の加速と利益率上昇に表れると考えている。

3. 2024年12月期の業績見通し
同社では現時点で合理的な業績予想の算出が困難であるとして、2024年12月期の業績見通しを引き続き非開示のままとしている。Googleの実質値上げ等による一時的なKPI指標の悪化はあったが、クラウド市場の高成長が続くことが構造的な追い風となるほか、同社が進めている新規顧客開拓のための各種販売施策の実施、新規プロダクトのローンチなど独自の販売拡大に向けた取り組み、規律あるコスト管理等により高い売上高・営業利益成長が続く見通しである。加えて、同社が2024年4月から進めている価格改定の効果が2025年12月期にかけて段階的に表れる見通しである。同社は、同社製品は企業のインフラに関わっており、企業顧客の満足度も高く、値上げによって解約率が中長期的に上昇する可能性は小さいと考えている。足元では一時的なKPI指標の悪化が株式市場で懸念されているが、既存クライアントの値上げによる売上増加効果が2025年12月期に大きく発現する可能性が高いことを考えると、2025年12月期に向けてKPI指標の改善及び値上げ効果が損益面で具現化することで同社業績のさらなる加速が期待される。

■Key Points
・2024年12月期第2四半期の連結業績は、2ケタ増収増益。EBITAマージンは28.3%へと拡大し、値上げ効果が徐々に表れる
・KPI指標は軒並み悪化へ転じるも、同社製品がプラットフォームとするGoogleによる実質的な値上げ実施による影響が大きい。これにより一部顧客でGoogle Workspace自体を解約する動きが出たため、同社製品の解約率も連動して上昇
・Google影響を除いた実質的な同社製品の解約率は従前と同様の低水準で推移。Google値上げ影響が落ち着けば、一時的に悪化したKPI指標は再びもとの水準へ回復する可能性は高い
・2024年12月期の業績見通しは引き続き非開示。同社製品の値上げの効果は順調に表れ始めており、2025年12月期業績への寄与が期待される

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

《HN》

 提供:フィスコ

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