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【通貨】為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、米雇用情勢悪化なら景気減速懸念再燃も

米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより

 

[ドル・円]
【今週の概況】
■米長期金利下げ渋りでドル売り縮小

今週のドル・円は反発。米国の9月利下げを想定して週初に143円45銭までドル安・円高に振れる場面があったが、日本銀行は早期の追加利上げに慎重な姿勢を維持しており、日米金利差の早期縮小を想定した米ドル売り・円買いは8月28日までに一巡した。週後半は米長期金利の下げ渋りや米国株高を意識した米ドル買い・円売りも観測された。

30日のニューヨーク外為市場でドル・円は146円25銭まで一段高となった。月末のドル需要に絡んだドル買いが観測されたが、この日発表された7月個人消費支出(PCE)価格指数を受けて9月の大幅利下げ観測は後退し、米長期金利の上昇に伴うドル買いが活発となった。米ドル・円は146円19銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:143円45銭-146円25銭。

【来週の見通し】
■ドルは伸び悩みか、米雇用情勢悪化なら景気減速懸念再燃も

来週のドル・円は伸び悩みか。米労働省は8月21日、2023年3月から2024年3月までの非農業部門雇用者数について290万人から約210万人に約82万人下方修正したと発表した。米労働市場の縮小が懸念されており、来週発表される複数の雇用関連指標に対して市場は敏感に反応する見通し。9月6日発表の8月米雇用統計は、7月の弱い内容が続くか注目される。特に、失業率が上昇すれば景気減速懸念を強める材料になりやすい。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月23日のジャクソンホール会合で講演し、緩和的な政策に修正する姿勢を示唆した。7月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、政策金利の引き下げに前向きだったことが議事要旨でも明らかになった。市場は利下げ幅に注目しており、雇用情勢の悪化が鮮明になれば9月開催のFOMC会合で0.50ポイントの利下げ観測が再浮上し、年内3回の利下げ実施の可能性は一段と高まりそうだ。

一方、日本銀行は2%の物価目標の持続的・安定的な実現のために利上げの実施が適切との方針を維持しており、金融市場がより安定すれば年内の追加利上げをにらんだ円買いが再び強まる可能性がある。

【米・8月ISM製造業景況指数】(9月3日発表予定)
9月3日発表の8月ISM製造業景況指数は47.8と、好不調の節目である50を下回る見通し。ただ、7月実績の46.8からやや改善が期待され、市場予想を上回った場合、ソフトランディング期待のドル買いに振れやすい。

【米・8月雇用統計】(9月6日発表予定)
9月6日発表の8月米雇用統計は失業率が4.2%、非農業部門雇用者数は前月比+16.5万人程度、平均時給は前年比+3.7%の市場観測。平均時給の伸びが市場予想を上回った場合はドル買い要因に。

ドル・円の予想レンジ:144円50銭-147円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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