【通貨】ユーロ週間見通し:下げ渋りか、日銀金融正常化観測も域内インフレにらみ
ユーロ/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
■堅調推移、一時1.1201ドルまで買われる
今週のユーロ・ドルは上昇。一時1.1201ドルまで買われた。米国の大幅利下げ観測は後退したが、ユーロ圏経済の急速な悪化に対する警戒感は低下し、リスク選好的なユーロ買い・米ドル売りが優勢となった。欧州中央銀行(ECB)による9月追加利下げは織り込み済みであり、米国とユーロ圏の金利差縮小の可能性が高いこともユーロの上昇を促す一因となった。取引レンジ:1.1014ドル-1.1201ドル。
■底堅い値動きか、域内インフレにらみ追加利下げ観測後退も
来週のユーロ・ドルは底堅い値動きか。8月30日発表のユーロ圏消費者物価指数が市場予想と一致した場合、欧州中央銀行(ECB)の追加利下げ観測の後退でユーロは1.11ドル台を維持する可能性がある。一方、同日発表の米7月コアPCE価格指数の伸びが鈍化すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の9月利下げを完全に織り込む展開となり、ユーロ買い・米ドル売りが強まる展開が予想される。
予想レンジ:1.1100ドル-1.1300ドル
■弱含み、日銀政策調整の思惑強まる
今週のユーロ・円は弱含み。一時163円台半ばまでユーロ高・円安に振れる場面があったが、8月23日に行われた日本銀行植田総裁の国会答弁の内容を受けて米ドル売り・円買いが活発となり、この影響でユーロ・円の取引でもユーロ売り・円買いが優勢となった。取引レンジ:160円42銭-163円45銭。
■下げ渋りか、日銀金融正常化観測も域内インフレにらみ
来週のユーロ・円は下げ渋りか。日本のインフレ持続を受け日本銀行の金融正常化を見込んだ円買いに振れやすく、ユーロを下押しする展開となりそうだ。一方、8月30日発表のユーロ圏8月消費者物価コア指数は7月実績と差のない水準となる可能性がある。来月開催の欧州中央銀行(ECB)理事会をにらみ、追加利下げ観測の後退によってユーロは売りづらい地合いに。
○発表予定のユーロ圏主要経済指標・注目イベント
・30日(金):8月消費者物価コア指数(7月:前年比+2.9%)
予想レンジ:160円00銭-163円00銭
《FA》
提供:フィスコ