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【特集】日産東HD Research Memo(8):企業理念と大切にする価値観をエンジンに中期経営計画を推進

日産東HD <日足> 「株探」多機能チャートより

■中期経営計画

1. 企業理念
「CASE」や「MaaS」の考え方が広がるとともに、カーボンニュートラルに対する社会全般の意識や、所有からシェアやリースなどへとシフトする顧客の自動車に対する考え方、店頭からオンラインへという顧客の購買プロセス、人口減少や多様な働き方など、日産東京販売ホールディングス<8291>を取り巻く事業環境が変化の速度を上げている。これに対して同社は、取り組むべき課題として、EV普及によるカーボンニュートラル社会の実現への貢献、個人リースのノウハウを生かした販売、店舗ネットワークや試乗車を生かしたモビリティ事業の拡張、リアルとデジタルを融合しブランド体験を促進する店舗づくり、働き方改革や生産性向上に向けた業務・運営体制の改善などを挙げた。

こうした課題の解消に加え、移動の楽しみや安心・安全・快適な運転といった普遍的価値を提供し続けるため、同社は企業理念「モビリティの進化を加速させ、新しい時代を切りひらく 笑顔あふれる未来のために、わたしたちは走り続ける」を掲げている。こうした企業理念の実現へ向けて、「お客さまを笑顔に・働く仲間も笑顔に・チームワーク・プロフェッショナル・チャレンジ・考えながら動く・地域との共生・社会的責任」という8つの大切にする価値観を重視するとともに、長期視点に立ったサステナビリティ経営に向けて、「気候変動への対応、安心・安全な社会の実現、人権の尊重と人的資本の充実、地域社会への貢献」という4つのマテリアリティ(重要課題)を特定し対処していく方針である。こうした取り組みを着実に実行していくための通過点として、同社は4ヶ年の中期経営計画(2024年3月期~2027年3月期)を策定し、現在実行しているところである。


営業利益は3年前倒して中期経営計画を達成、リバイズを検討
2. 中期経営計画の進捗
ただし、中期経営計画の目標のうちいくつかはすでに達成してしまった。当初、売上面で新車販売台数のコロナ禍前の水準の確保、本業のディーラー事業の増収増益、ストックビジネスでの収益上積み、コスト面では人財・デジタルへの投資強化、設備費・経費の最適化によって、2027年3月期に売上高1,550億円、営業利益65億円、配当性向30%以上などの財務目標の達成を目指した。また、カーボンニュートラルへ向けた動きも推進し、乗用車の電動化比率90%以上の維持、EV販売によるCO2排出量1.6万トン削減という長期非財務目標の達成も同時に目指した。このうち、財務目標の中心となる営業利益は2024年3月期に3年前倒して達成、減益で見ている2025年3月期も目標をクリアする見込みとなっている。また、電動化比率についてはすでに目標を達成、売上高も達成が視野に入ってきた。これは、2024年3月期の業績が想定以上に好調だったことが要因である。このため、2024年3月に日産自動車が価値・競争力・収益性の向上を柱とした新経営計画「The Arc」を発表したこともあり、同社は中期経営計画をリバイズ(改訂)し内容を強化することを検討している模様である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《HN》

 提供:フィスコ

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