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【特集】日産東HD Research Memo(6):車両不足が解消した新車がけん引

日産東HD <日足> 「株探」多機能チャートより

■日産東京販売ホールディングス<8291>の業績動向

2. セグメント別の業績動向
セグメント別の業績は、自動車関連事業が売上高144,959百万円(前期比18.4%増)、セグメント利益9,529百万円(同42.9%増)、情報システム関連事業が売上高3,599百万円(同52.7%減)、セグメント利益228百万円(同62.8%減)、その他が売上高413百万円(同8.7%増)、セグメント利益13.7%増)であった。なお、情報システム関連事業の東京日産コンピュータシステムについては、全株式を2023年10月2日付で譲渡したため、第2四半期までの業績が含まれることとなった。

(1) 自動車関連事業
自動車関連事業の売上高の内訳は、新車が84,176百万円(前期比18.4%増)、中古車が21,631百万円(同3.4%増)、整備が30,767百万円(同2.9%増)、その他が8,384百万円(同8.3%増)で、コア事業の新車がけん引する格好となった。

1) 新車販売
同社は強みを背景に、個人リースを含む新車の拡販と収益の拡大に継続して取り組んだ。当初、車両供給不足から納期遅れが発生(一部受注停止にもなった)、EVを中心に受注残が積み上がったが、下期へ向けて徐々に改善、現在はほぼ解消した状況である(このため一時停止していたアリアの受注を2024年3月から再開した)。この結果、納車が一気に増え、登録日基準の新車販売台数は26,307台(前期比6.2%増/業績に反映される新車販売台数は同2.8%増)となった。引き続きe-POWER車を含む電動車を中心に販売を促進したため、電動車販売比率は90%以上を維持した。なかでもEVは、ベストプラクティスによる提案を進めたこと、比較的低価格の軽EVサクラを投入したことにより、販売台数が前期比40.8%増と大きく伸び、累計販売台数は1.4万台を突破、販売比率も国内平均を大幅に上回る17.8%になるなど、電動車全体をけん引した。また、高額の電動車の納車が一気に進んだことで車種ミックスが改善、販売単価が10数%上昇した模様である。

2) 新車個人リース
カーリースが一般的に普及しつつあるなか、個人リース「P.O.P」は非常に好調に推移した。26年以上の実績を背景にベストプラクティスを共有した提案型営業を推進したことで、販売台数が5,212台(前期比70.2%増)と大きく伸び、個人リース保有台数は13,148台(2024年3月期末)、東京都におけるシェアは約4割となった。また、個人リースの販売台数の伸長により保険料収入も増加した。

3) 中古車販売
上期を中心に中古車市況が前年反動で下がるなか、オークションや業者間取引に比べて単価もマージンも高いうえ、メンテナンスも期待できる収益性の高い「小売販売」に注力した。また、新車個人リースのノウハウを生かして中古車個人リースを開始したが、中古車全体の2%~3%となる266台を販売するなど好スタートを切った。

4) 整備事業
日産東京販売の整備事業については、総ユーザー数の47.3%をカバーするメンテナンスバック会員数12.6万件など、強固な顧客基盤を背景に安定した入庫台数を確保、売上高は前年比2.4%増、営業利益は同3.1%増と堅調な推移となった。メンテナンスバックのカバー率は相対的に高いようだが、輸入車ディーラーのなかには標準装備しているところもあることから、さらに引き上げていく考えである。また、「車検館」については、ノンブランドでメーカーを問わず幅広い車種を取り扱えることや顧客満足度が高いことから、じわじわと売上高が向上、効率化推進もあって営業利益は前期比18.6%増と大きく伸び、売上高、営業利益ともに2期連続で過去最高を更新した。

5) その他
その他は保険の手数料や分割手数料などで、新車の販売を起点に売上高が伸びた。また、個人リースの拡大に伴って、保険手数料も伸長した。

(2) その他の事業
1) 情報システム関連事業
情報システム関連事業の売上高は3,599百万円(前期比52.7%減)、セグメント利益は228百万円(同62.8%減)となった。全株式を売却したため第2四半期までの収益貢献となったが、保守契約の解約はあったものの、IT投資が活発化するなか、マネージドサービス事業が堅調に推移した。

2) その他
その他の事業である不動産事業は、賃料改定などを背景に、売上高が413百万円(前期比8.7%増)、セグメント利益が174百万円(同13.7%増)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《HN》

 提供:フィスコ

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