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【特集】1億円の損失、どん底からの大逆転を支えた「バフェットの教え」

すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 amaさんの場合-第2回

登場する銘柄
エリアリンク<8914>、アバントグループ<3836>

取材・文/真弓重孝、高山英聖

イラスト:福島由恵
■amaさん(ハンドルネーム・60代・男性)のプロフィール:
定年退職してから配当収入で暮らしている専業投資家。株資産は2億円弱で、直近1年間の配当は800万円になる。その投資スタイルは、ファンダメンタルズ重視で選んだ1銘柄を超長期で運用する集中投資だ。経営および事業分析を得意とし、サラリーマン時代に新規事業の開発部門を担当してきた経験が強みとなっている。趣味はゴルフ。週3回のペースでラウンドをして、週2回は打ちっぱなしに行くほどの熱中ぶりだ。「株探アンケート~24年の日本株戦略」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。

第1回記事「配当収入800万円、それでも信用2階建ての集中投資に挑む億り人」を読む

卵は1つの籠に盛るな――。

投資の王道は分散投資とされる中で、今回登場するamaちゃんさん(ハンドルネーム、以下amaさん)は、その真逆を行く。前回の記事で紹介したように、足元では現物と信用取引で3億円になる運用額のほとんどを、エリアリンク<8914>に振り向けている。

当人も「高リスク」と言うこのスタイルが軌道に乗るようになったのは、過去に同じエリアリンク株で痛い目に遭った経験が生きている。

当時も同社株に信用2階建てで集中投資を仕掛けていたのだが、その結果は1億円を溶かすことになり、血尿が出るほどまで追い込まれた。

「絶対に同じ過ちを二度と繰り返さない」。そう心に誓ったamaさんは、著名投資家ウォーレン・バフェット氏の手法を解説した書籍を参考に着想を得ながら、高いリスクを取るために自分がなすべきことを体に染み込ませた。

今回は、その失敗からの学びを見ていこう。

集中投資の最初のターゲットは、連結会計システムのアバントグループ

amaさんが株式投資を本格的に開始したのは、2007年。当時から集中投資のスタイルだった。

この頃のamaさんは50歳前後で、老後に備えてまとまった資金を株式投資で作ろうと計画していた。目標とする資産額を設定し、定年退職までの十数年で達成してくれるような、成長に確信が持てる銘柄を長期保有しようと決めた。また効率よく資産を膨らますためにも、資産を集中させる必要があると考えた。

集中投資で最初の果実をもたらすことになったのが、連結会計システムなどを手掛けるアバントグループ<3836>だ。

07年に株価100円前後のところで1000万円を投下し、以降元本を積み増していった。同社株は16年頃から騰勢が増したことで、18年には平均取得株価から約7倍に膨らみ、その運用額は1億5000万円ほどに膨らんでいた。

amaさんは、18年中に同社持ち株の過半を売却、21年ころにはすべて手仕舞った。ここだけ切り取ると、順調にアバントG株で資産を膨らましたように見える。

だが、実は、この2回の売却にはエリアリンク株の存在が影響する。特に、最初の売却は、エリアリンク株の損失補填のために泣く泣く実施したものだった。

その経緯について触れる前に、まずamaさんがアバントGへの投資を決めた理由について見ていく。

■アバントGの月足チャート(2007年2月~)
【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同


BPSの着実な伸びを評価

アバントGへの投資を決めたのは、同社の主力製品である連結会計システムをサラリーマン時代に利用し、その性能の高さを実感していたからだ。

本人の記憶によれば、手作業で2カ月かかっていた会計処理が、たったの15分で完了したという。「このシステムは流行るに違いない」(amaさん)と同社の成長に期待をかけた。

株式を保有しているときに注視してきたのが、業績とともにBPS(1株当たり純資産)を着実に伸ばしていることだ。当時から参考にしていたウォーレン・バフェット氏の書籍に「会社の資産が増えていけば、株価は後からついてくる」という主旨の内容に着目して同社株を選んだ。

■アバントGの売上高と調整後BPSの推移(2007~19年度)
【タイトル】
注:株探、QUICK・ファクトセット、同社IR資料などを基に編集部作成。BPSは遡及調整後

「良い」と感じたら、とことん追求

アバントGへの投資が示すように、amaさんは、自分が良いと感じたものを、とことん追求する性格だ。その姿は、若かりし頃の会社員時代からあった。

まだ元号が昭和だった頃、ある海外製コンピュータで動く表計算ソフトに触れると、あっという間にきれいなグラフを作成できることに感銘を受けた。

これを導入すれば、業務効率が格段に向上すると、会社の正式な承認手続きが終了しない段階で導入してしまった。その金額は関連機器を含めて数百万円だったことから、社内でちょっとした物議を醸した。

最終的には、他の部署からも「自分たちも導入したい」との声が上がることになり、ちょっとした騒動は大団円を迎えることになった。

ただし、「良いものは良い」との信念を貫くことが、すべて吉と出るとは限らない。それが、18年にエリアリンク<8914>に2億円を投じた取引だった。

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※アンケートのご回答はこちらからお願いします。

https://forms.gle/Zw5zuKkSSuEbgcio6

注1: 回答内容は個人が特定されない形で「株探」など、
ミンカブ・ジ・インフォノイド<4436>のグループ会社が提供する
各種情報サイトで公開を予定しています。

注2: 調査は2024年4月15日(月)午後6時までの予定ですが、
回答数の状況で、予定より前に終了することもあります。



※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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