【特集】次なる成長フェーズへ、進化加速「AI×ロボット」株高期待の銘柄群 <株探トップ特集>
AIブームが続いている。マーケットの関心はAI活用で成長期待が高まる「ロボット」にも向かうだろう。
―エヌビディアはロボット開発基盤を発表、テスラやグーグルなど米テック企業の取り組み続々―
人工知能(AI)への世界的な関心は依然として高い。株式市場において既にAI関連株は過熱感のある水準まで上昇しているものの、それでも関連銘柄には投資家の熱い視線が注がれ続け、物色の裾野は横へ横へと広がりをみせている。こうしたなかAI自体の技術的な進展だけではなく、AIを活用することで更なる成長を遂げることが期待される分野やその取り組みにも関心が広がっている。そして足もと、そうした分野の一つとして注目度が増しているのが ロボット分野だ。国内外で大手企業を中心に取り組みが活発化している。
●住友商・SGHDは荷積みロボ実証
先月、米半導体大手エヌビディア<NVDA>は自主開催のAIイベント「GTC」で人型ロボット向けの開発プラットフォームを提供開始すると発表した。これを搭載したロボットは自然言語を理解し、人間の行動を観察して動きをまねることができるという。同社はマイクロソフト<MSFT>やインテル<INTC>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>創業者ジェフ・ベゾス氏とともに米ロボットベンチャー、フィギュアAIへの出資を今年行うなど、ロボット分野への取り組みを強めている。
直近、自動運転タクシーを8月に公開すると明らかにし、話題を呼んでいるテスラ<TSLA>は2021年に人型ロボット開発への参入を表明。AIを搭載した試作機をこれまで数回お披露目している。アルファベット<GOOG>傘下のグーグルはロボットを制御するAIモデルを昨年発表した。足もとではアップル<AAPL>が家庭用ロボット事業に乗り出すとの観測が出ている。
米テック大手の動きが進むなか、国内でもAIとロボットを巡る企業の取り組みが広がっている。住友商事 <8053> [東証P]とSGホールディングス <9143> [東証P]は米AIロボットソフト開発のデクステリティ社と共同でAI搭載の荷積みロボットの実証実験を昨年12月から実施中だ。デンソー <6902> [東証P]は生成AIを用いたロボット制御技術を開発し、これを搭載したロボットを百貨店で活用するイベントを今年開催した。TOPPANホールディングス <7911> [東証P]は1月、ロボットの販売保守を行うChinoh.Ai(チノーエイアイ、東京都渋谷区)と物流ソリューションの開発で協業した。
●アルファクス、エクサWizなど注目
アルファクス・フード・システム <3814> [東証G]は外食業界向けに業務管理システムや周辺サービスを提供し、配膳AIロボット「サービスショット」の販売も手掛ける。昨年から双日 <2768> [東証P]と共同で中国製の配膳・案内ロボットの販売に注力している点がポイント。居酒屋やラーメン店をはじめさまざまな企業に導入されており、宿泊施設やドラッグストアなど外食以外への販売拡大にも取り組んでいる。
エクサウィザーズ <4259> [東証G]はAIを活用したサービスの導入・運営支援を行う。幅広い分野に向けて事業展開しており、ロボット向けでは自律的な動作を可能にするAI「exaBase ロボティクス」を提供。今年1月にはロボットの音声制御を容易にするインターフェースの提供を始めた。昨年には宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で物資輸送用バッグのファスナーを開閉するAIロボットシステムを開発している。
AIロボ関連に位置づけられる銘柄としては、クラウドAIと感情エンジンを搭載した人型ロボット「Pepper(ペッパー)」を開発するソフトバンクグループ <9984> [東証P]、AIを活用した産業機械を手掛ける安川電機 <6506> [東証P]やオムロン <6645> [東証P]に加え、AI・ロボット分野の研究開発を進める日本電信電話 <9432> [東証P]やホンダ <7267> [東証P]、三菱電機 <6503> [東証P]、武蔵精密工業 <7220> [東証P]が挙げられる。
加えて、独自開発のAIを搭載した会話ロボット「Romi(ロミィ)」を販売するMIXI <2121> [東証P]、AIサービスロボット「AYUDAシリーズ」を手掛けるCIJ <4826> [東証P]、自律走行式のAIロボットを取り扱うダイワ通信 <7116> [東証S]、ロボットに適用可能なエッジAIチップの開発に取り組むセック <3741> [東証P]にも注目しておきたい。
●ベンチャー出資動向もマーク
AI・ロボットは今後の発展が見込まれる分野だけにベンチャーも数多く参入しており、そうした企業に出資する上場企業もマークする必要があるだろう。AIを活用したスマート農業を推進する農業用ロボット開発のAGRIST(アグリスト、宮崎県新富町)にはENEOSやジャフコ グループ <8595> [東証P]のほか、みずほグループや宮崎太陽銀行 <8560> [福証]、アイキューブドシステムズ <4495> [東証G]のベンチャーキャピタルが株主に名を連ねている。
インフラ向けロボットソリューションのアイ・ロボティクス(東京都渋谷区)には三菱UFJグループやマネックス、SOLIZE <5871> [東証S]がベンチャーキャピタルなどを通じて出資。このほか、中国電力 <9504> [東証P]と九州電力 <9508> [東証P]は昨年11月にインフラ向けロボット開発のイクシス(川崎市幸区)に出資、KDDI <9433> [東証P]は昨年7月にAIロボット開発のTelexistence(テレイグジスタンス、東京都中央区)に追加出資した実績がある。ブリヂストン <5108> [東証P]は昨年2月にロボット向けAIソフト開発のアセントロボティクス(東京都渋谷区)と資本・業務提携している。
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