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【特集】石金淳氏【日経平均はスピード違反? 2月相場の展望を読む】 <相場観特集>

石金淳氏(三菱UFJアセットマネジメント チーフファンドマネジャー)

―週明けは反発し3万6000円台回復、過熱ムードで企業の決算発表が本格化―

 29日の東京株式市場で日経平均株価の上げ幅は一時400円を超え、3万6000円台を回復した。米国市場でNYダウが連日で過去最高値を更新するなかにあって、投資家のリスク選好姿勢が強まった状況に変化の兆しはみられない。一方で、年始からの日本株の急騰について「スピード違反」との指摘があるのも事実だ。3月期企業による第3四半期累計(4-12月)の決算発表が本格化するなか、日本株に更なる上値余地はあるのか。今後の相場展望について、三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーに話を聞いた。

●「目先は騰勢一服も下値限定的、半導体・自動車関連の決算を注視」

石金淳氏(三菱UFJアセットマネジメント チーフファンドマネジャー)

 この先1ヵ月間の日経平均は3万5000~3万7000円で推移するだろう。年始からの上昇ピッチが速く、多くのテクニカル指標が短期的な過熱感を示している。調整が必要な局面になると考えられるが、中期・長期の移動平均線は右肩上がりとなっている。調整があっても一時的で、再び上げ相場に戻るとみている。国内では企業の決算発表が本格化する。まずポイントとなるのは半導体関連だ。米国半導体工業会(SIA)が今月発表した2023年11月の世界の半導体販売額は前年同月比でプラスに転じ、底入れの兆しを鮮明にしている。関連企業の業績回復傾向が明らかとなれば、日本株にとってポジティブな要因となるだろう。もう一つのポイントは自動車関連企業の北米での事業動向だ。米国では景気減速懸念がくすぶってはいるものの、個人消費は堅調だ。米国経済は日本株にとって大きな変動要因となるだけに、自動車各社の北米事業の見通しが明るいものとなれば、全体相場に押し上げ効果をもたらしそうだ。

 米国に関しては、今月26日発表の23年12月PCE(個人消費支出)物価指数をみると、コア価格指数は前年同月比プラス2.9%と伸び率は前月から縮小し、3%を下回った。インフレの鈍化が続けば実質金利は上昇し、米国経済に悪影響をもたらすだけに、米連邦準備制度理事会(FRB)は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今後の利下げシナリオを織り込ませにいくことになると想定している。利下げ回数としては年3~4回が妥当なところだと考えている。一方、日銀は今月、金融政策の現状維持を決めたが、マイナス金利政策の解除に消極的な姿勢を示したというわけではなかった。市場においてマイナス金利政策の解除シナリオへの織り込みが進めば、長期金利は0.8~0.9%程度まで上昇する余地があるだろう。4~6月にかけてドル円相場は1ドル=135円近辺までドル安・円高圧力が掛かるシナリオも見込まれるが、日本経済に対し大きな悪影響をもたらす為替水準とは考えにくい。低PBR(株価純資産倍率)状態の是正に向けた東証による上場企業への働き掛けが、相場の底上げに寄与している。海外投資家の日本株の買い越し額も年始に大きく膨らんだ。春先にかけて買い越し姿勢が続くことへの期待は強まっており、需給面でプラス効果をもたらしそうだ。


(聞き手・長田善行)

<プロフィール>(いしがね・きよし)
1988年慶応義塾大学卒業、ユニバーサル証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。2000年にパートナーズ投信(現三菱UFJアセットマネジメント)転籍。16年12月より現職。

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