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【市況】来年の米株相場展望 前半に景気後退が現実化し、大幅下落後に現行付近に戻すとの見方

 来年前半の米経済は景気後退が現実化し、S&P500は前半に3970まで下落するとの見方が出ている。来年の市場は回復の前に悪化を想定しているという。その後はインフレがFRBの目標の2%まで低下することが期待されることから、年末までにS&P500は4750まで回復すると予想しているようだ。最終的な年末予想は前日終値(4622)から僅かな上昇に過ぎない。

 FRBは2022年3月以来11回の利上げを実施し、政策金利を5.25-5.50%のレンジまで引き上げた。過去22年間で最も高い水準。FRBの目標にまだ達していないものの、インフレ抑制は支援している。

 これまでのFRBの急速な利上げサイクルは来年前半にさらに効いてくるという。足の早い指標は1年以上前から景気後退を示唆しており、イールドカーブの逆イールドもまた、来年第1四半期に景気後退期が始まることを示唆しているという。予想される景気後退は、FRBの利下げ有無は別にして、S&P500を3970まで下落させる可能性があるという。

 そして、その後の上昇は来年11月の米大統領選の前に始まるという。景気後退期の戦略において「ディフェンス」は、最後の利上げと利下げ開始との間の一貫したテーマだという。

 政治は株価が変動しやすいという前例を作るが、景気後退が1954年のような穏やかなものであれ、2020年のようなそうでないものであれ、インフレが2%目標に低下もしくは、それを下回ると期待されることから、株式は上昇の年に終わるという。

 これらの点を考慮しセクター別としては、通信サービス、消費財、ヘルスケアなどのディフェンシブ・セクターを選好。特に通信サービスは選挙の年にニュースの数が多くなることで恩恵を受け、人工知能(AI)の進歩による生産性向上の可能性も高いという。今年の通信サービス・セクターは年初来で47%近く急騰している。一方、生活必需品とヘルスケアは今年苦戦し、それぞれ4.7%、3.0%下落。これに対してS&P500は年初来で20.1%上昇した。

 一方、消費裁量、工業、素材がアンダーパフォームすると見ている。今年の消費裁量は36%上昇し、産業株は11.5%、素材は5.4%の上昇に留まっている。

 また、生成AIのテーマが来年も上昇をけん引すると思われ、「生産性の明るい未来」と考えている。ただし、生成AIの恩恵はほんの一握りの銘柄にしか恩恵をもたらさない可能性があり、S&P500の上位5銘柄の集中度をさらに押し上げる可能性があるとも付け加えた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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