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【市況】米国株式市場見通し:主要小売企業決算やCPIに注目


 

来週は主要小売り企業決算に注目だ。また、10月消費者物価指数(CPI)や10月生産者物価指数(PPI)といった重要インフレ指標や小売売上高を受けた金利動向に神経質な展開が続くだろう。さらに、アジア太平洋経済協力(APEC)会合が11日から17日にかけて開催されるがこれに伴い米中首脳は15日、1年ぶりとなる会談を予定しており、両国の関係改善が期待されている。結果次第では相場支援材料のひとつになりそうだ。一方で、格付け会社ムーディーズが今週、格付け見通しをネガティブとし格下げのリスクが高まる中、17日には再びつなぎ予算が失効する。共和党下院は政府機関閉鎖回避を目指しつなぎ予算を準備していると報じられているものの、週後半にかけて合意がなければ、再び政府機関閉鎖、格下げリスクを警戒し売られる可能性もありそうだ。

FRBがインフレ指標として注視している食品やエネルギを除いたコアCPI指数は前年比+4.1%で9月と同水準の伸びにとどまり、インフレの頑強さが示される公算。パウエル議長は今週の講演において、インフレ改善を歓迎しつつも目標である2%達成する道のりに確信がもてず目標達成は長い道のりだと繰り返し、必要とあれば追加利上げも躊躇しないとした。小売売上高は3月来のマイナス成長に落ち込む見通し。地政学的リスクや格下げなどのリスクが存続することや経済や金融政策に不透明性は残るが同時に、ピーク金利に近づいたことには変わりはなさそうだ。また、押し目では新年度に向けた買いが引き続き予想されるため、下値も限定的となるだろう。

そのほか、中国の主要オンライン小売のアリババやJDドットコム、テンセントなどは11日に「独身の日」大型セールを開催する予定で注目材料だ。売り上げ動向で同国の経済状況を確かめたい。アリババやJDドットコムは21年に最高売り上げを記録したが、昨年はパンデミックなどの影響で初めて結果を公表しなかった。中国経済は引き続きパンデミックからの回復が思わしくないが売り上げが引き続き低迷した場合、世界経済の減速懸念が強まることになるだろう。逆に、予想外に強まった場合はマクロ経済への自信につながり相場にとりプラス材料になりそうだ。

経済指標では、10月月次財政収支(13日)、10月消費者物価指数(CPI)(14日)、10月小売売上高、10月生産者物価指数(PPI)、11月ニューヨーク連銀製造業景気指数、9月企業在庫(15日)、10月輸出入物価指数、週次失業保険申請件数、11月フィラデルフィア連銀景況指数、10月鉱工業生産・設備稼働率、11月NAHB住宅市場指数、9月対米証券投資(16日)、10月住宅着工件数・建設許可件数(17日)、などが予定されている。

主要企業決算では、小売りでホームセンター運営のホーム・デポ(14日)、ディスカウント小売りのターゲット、衣料品小売りのTJX(15日)、ディスカウント小売りのウォルマート、百貨店のメーシーズ、廉価アパレルと家庭装飾品ブランドストア経営のロス・ストアーズ、衣料小売りのギャップ(16日)、そのほか、肉食品メーカーのタイソンズ(13日)、ネットワーク機器メーカーのシスコ・システムズ(15日)が予定されている。

小売り企業決算では、引き続き消費者の慎重な姿勢で売上減に警戒だ。肉食品メーカーのタイソンズはコストの上昇が収益を圧迫した可能性がリスクになるだろう。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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