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【市況】ツイッター買収から1年、融資の銀行団は債権売却できず

 マスク氏が旧ツイッターを440億ドルで買収した際に資金提供した銀行団は、2022年10月27日の買収完了から1年を迎える現在もバランスシートへの打撃を抑えるのに苦心している。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係者の話として伝えた。

 モルガン・スタンレー<MS>とバンカメ<BAC>、英バークレイズなど計7行は、ツイッターの買収資金として130億ドルをマスク氏に融資した。通常であれば、銀行はすぐに債権を投資会社に売却するはずだった。しかし、マスク氏による買収後、社名が「X(エックス)」に変更されたツイッターに対する投資家の需要は後退し、銀行は債権を割引価格でバランスシート上に抱え込むことを余儀なくされている。

 銀行が債権を売却するとなれば少なくとも15%、金額にして約20億ドルの損失を被るとみられている。融資額が大きいモルガン・スタンレーとバンカメ、バークレイズ、三菱UFJ(MUFG)は数億ドル規模の損失を被る恐れがあるという。フランスのBNPパリバとソシエテ・ジェネラル、みずほ銀行もマスク氏に資金を提供。

 コーポレートファイナンスの世界では永遠にも等しい1年という期間に渡って債権を保有している銀行は、先月4日のレーバーデー前の売却を目指していた。関係者によると、現在では一部だけでも手放すための準備を進めている。

 債権売却にはまず、格付け会社からの格付けを取得する必要がある。Xが低格付けを受ければ、銀行にとっては想定を上回る損失を出さずに債権を売却することは困難となる。

 関係者によると、マスク氏の気まぐれな経営と広告事業の低迷を背景に、Xの格付けはデフォルト(債務不履行)リスクが高いことを意味するジャンク級となる可能性がある。マスク氏自身が昨年の買収後にXは倒産の危機にあると語っていた。

 買収前のツイッターは今より負債が大幅に少なかったにもかかわらず、ジャンク級の格付けを受けていた。現在のXは株式非公開企業のため財務状況は公表されないが、マスク氏は買収後に広告収入が激減したと明かしている。

 Xへの融資は銀行に大きな手数料収入をもたらすはずだった。しかし、実際には売却できない債権が融資事業の重荷となっており、各行の投資家からも疑問の声が上がっている。

 銀行は常に引き受けるリスクの程度を一定以下に抑えているため、Xの債権を抱え続ければ、他への割り当て可能な融資が圧迫されることとなる。

出所:MINKABU PRESS

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