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【市況】明日の株式相場に向けて=日経平均急反騰後の個別株戦略

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 3連休明けとなった10日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比751円高の3万1746円と大幅反発。目の覚めるような反騰劇で、日経平均は一時820円あまりの上昇、引け際に若干伸び悩んだとはいえ終値ベースでも今年最大の上げ幅を記録した。前週末6日に発表された9月の米雇用統計は、2日前の4日に発表されたADP全米雇用リポートとは真逆の結果だった。非農業部門の雇用者数が前月比33万6000人と事前コンセンサスだった17万人の2倍近くに達する大幅な伸びで、一瞬衝撃が走った。しかも7、8月分も上方修正されるというオマケつきで、FRBによるタカ派傾斜を助長する要素は十分。更に、9日にはパレスチナ自治区ガザを支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの大規模衝突で地政学リスクが急浮上、元来であれば日米株式市場ともに大荒れの地合いを覚悟しなければならない場面だ。ところが、米国株市場は予想外の強さを発揮することとなる。堆(うずたか)く積み上がった空売りポジションが一気に逆回転を始めた。

 今週は明日11日に9月の米生産者物価指数(PPI)、そして12日には週内のイベントで最大関門と目される9月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控える。そして、週末13日はオプションSQ算出日にあたり、同日に中国のCPIやPPI、貿易収支などの発表が予定されている。いわゆる波乱要素に富んだ10月相場のヘアピンカーブといってよく、「相場がバランスを崩す可能性に懸けてショートポジションを積み上げた向きが多かった」(中堅証券マーケットアナリスト)という。これに今回の米雇用統計の雇用者数が想定外に大幅上振れとなり、中東の有事リスクが降って湧いた。しかし、相場は難しい。こうした条件のなかで米国株市場は上値指向を継続し、これに輪をかけて連休明けの東京市場は踏み上げ相場が加速、日経平均は一時800円を超える急騰劇を演じた。

 強気と弱気は常に背中合わせで、弱気ムードが強まる局面ではネガティブ材料を喧伝する売り方の方が逆に疑心暗鬼に陥るケースも多い。その結果、ショートポジションを積み上げた売り方が、思惑通りに進まないとみるや先を競って買い戻すアンワインド現象が起こる。きょうの相場もその典型だが、問題はこうした局面でロング戦略をどう打ち出していくかということ。買い戻しが終了すれば実需で上値を買う主体が存在しない限り株価の上昇は止まる。今度は買い方が疑心暗鬼に陥る順番となる。

 個別株は、きょうは全面高商状に買われており、特に日経平均寄与度の高い主力銘柄に追撃買いを入れるのは躊躇する場面だが、プライム市場、日経平均ベースともに騰落レシオは100%を下回った状態であることから過熱感は乏しい。目先の押し目を狙うのであれば、主力どころでは防衛関連の中核である三菱重工業<7011>や、大幅な為替差益が見込まれるトヨタ自動車<7203>などをマークしたい。また、半導体製造装置関連では生成AI絡みのディスコ<6146>の強さが目立つが、フラッシュメモリーを先頭に半導体市況全般が底入れとなれば、国内最大手の東京エレクトロン<8035>などの戻り妙味も意識されそうだ。

  半導体の中小型株では9月に当欄でも取り上げたAIメカテック<6227>が最高値圏を激走。また、AIメカ同様に揺るぎない上昇トレンドを構築しているTOWA<6315>が輝きを放っている。これまでに複数回取り上げた銘柄では産業用メモリーのミナトホールディングス<6862>もチャートが崩れておらず、9月1日の年初来高値788円奪回となれば面白い存在となる。

 このほか、業績面の変化以上に株式需給改善が見て取れるYE DIGITAL<2354>が2016年の急騰劇を想起させるような強い足で、目先押し目狙いでマークしたい。低位株ではドローン関連のFIG<4392>あたりが目立たないが強い足。23年12月期業績は伸び悩んでいるが株価には織り込み済みで、来期はドローン部門の新局面入りで脚光を浴びる可能性がありそうだ。

 あすのスケジュールでは、9月の工作機械受注額など。また、5年物国債の入札が午前中に行われる予定。海外では9月の米生産者物価指数(PPI)が注目されるほか、FOMC議事要旨(9月19~20日開催分)にマーケットの関心が高い。また、米10年物国債の入札も予定される。この日はFRB高官の発言機会も相次ぎ、ボウマンFRB理事やウォラーFRB理事が異なる時間帯で討議に参加する。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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