【通貨】為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、米政策金利は据え置きの公算
米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【今週の概況】
■米長期金利上昇や原油高を意識してドルは下げ渋る
今週のドル・円は下げ渋り。日本銀行植田総裁の会見内容を受けて金融緩和策の早期修正観測が広がり、週初に146円を下回ったが、9月13日発表の8月消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回ったことや原油高が続いたことを受けてインフレ緩和の思惑は後退し、米長期金利は上昇したことからリスク回避的なドル売りは縮小した。欧州中央銀(ECB)による金利引き上げは9月で終了との見方が広がり、ユーロ売り・米ドル買いの取引が増えたことも米ドル買い・円売りを促す一因となったようだ。
15日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時147円94銭まで上昇した。この日発表された9月NY連銀製造業景気指数は市場予想を上回ったこと、原油先物の上昇を受けてドル買いが優勢となった。米国株式はさえない動きとなったものの、年内追加利上げの可能性は残されており、長期金利は反転したことから、ドルは下げ渋った。ドル・円は147円86銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:145円91銭-147円95銭。
【来週の見通し】
■ドルは伸び悩みか、米政策金利は据え置きの公算
来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利は据え置きの見通しだが、年内1回の追加利上げの可能性は残されており、リスク選好的なドル買い・円売りが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。ただ、日本銀行の金融政策が注視され、金融緩和策の早期修正観測が再浮上した場合、ドルは伸び悩む可能性がある。9月13日に発表された米国の8月消費者物価指数(CPI)で総合指数はインフレ高止まりを示した。一方で、コア指数は鈍化予想と一致した。それを受け今月19-20日開催のFOMCで政策金利は据え置きの公算。ただ、市場はすでに織り込み済みでドル売りは限定的。FRBは声明などで引き続きインフレ抑止に前向きな方針を打ち出すとみられる。FOMC後の9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が想定通りの内容なら、ドル買いを支援しよう。
一方、9月21-22日開催の日本銀行金融政策決定会合も注目材料。植田日銀総裁は国内メディアのインタビューで「マイナス金利の解除後も物価目標の達成が可能と判断すれば、解除する」と発言している。また、「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」とも述べた。市場ではマイナス金利解除を巡る発言などに反応しやすく、金融政策決定会合後の植田総裁の記者会見で円買い優勢の展開も想定される。ドル・円は次の節目である1ドル=150円を目指す可能性があるが、日本の為替介入が引き続き警戒され、リスク選好的なドル買い・円売りが一段と強まる可能性は低いとみられる。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(19-20日開催)
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月19-20日にFOMCを開催し、インフレ抑止の姿勢を堅持。パウエルFRB議長は政策決定を「データ次第」と強調しているが、現時点で政策金利の据え置きが確実視されている。
【米・9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数)】(21日発表予定)
9月21日発表の9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は0と、前月の12.0から悪化が見込まれている。8月はプラスへ転じたが、再びマイナスなら引き締め方針を弱める要因となろう。
予想レンジ:145円50銭-149円50銭
《FA》
提供:フィスコ