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【特集】横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (38)決算発表でよさそうな銘柄のあたりをつけて探してみよう!

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆PTSを活用して第三者による決算評価を確認する

 決算発表の内容を確認するためには、東京証券取引所の「適時開示情報閲覧サービス(TDnet)」や株探の「会社開示情報」などで決算短信を一つずつ確認しなければなりません。確認する数が少ない場合は一つ一つ読むことをオススメしますが、あまりにも発表した銘柄が多くて時間がかかることが明らかな場合は、最初に有望そうな銘柄を絞り込んで、その後に気になる銘柄の決算短信にあたるという流れの方が効率的でしょう。

 まずは「株探」の各ページの上部にあるグローバルナビから「決算速報」をクリックします。すると、その日までに発表された決算の一覧が表示されますので、現在から過去へと発表時刻を遡っていきましょう。

図1 「株探」のグローバルナビ
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 決算発表数が少ない時は「全市場」のフィルターのまま、時系列で決算を確認していけばよいでしょう。しかし、銘柄数が多い時にはどんどん新しい銘柄が追加されていきますので、どこまで見たのか分からなくなり、同じ銘柄を2度読んで時間をムダにしてしまったということも起こります。時間をムダにしないためにも、「プライム」「スタンダード」「グロース」のフィルターを使って、市場ごとに効率的に決算内容を確認していきましょう。なお、どこまで決算内容を確認したかわからなくなってしまわないように、銘柄数がそれほど多くない場合には、その日に発表された決算はなるべくその日に確認しておくことをオススメします。

図2 「決算速報」
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 この時にやるべきことは、まずは自分の力で決算内容がよさそうな銘柄を見つけることです。「増益」「最高益」「増配」など心躍る言葉が溢れていると、どれもよさそうに見えるかもしれません。しかし、株式投資は美人投票であり、自分がよいと思った銘柄でも、他の投資家がそう思っているのかはわかりません。すでに好決算、好材料が織り込まれていた場合は、材料出尽くしとなって、翌日の株式市場では株価が値下がりしてしまう場合もあるのです。

 そこで、翌日の寄り付き前までに、他の投資家が決算内容をどう捉えているのかを確認しておきましょう。このとき「株価注意報」の「PTS」の欄を確認します。PTSとは証券取引所を介さずに株式を売買できる「私設取引システム」のことです。PTSの取引時間は、日中取引のデイタイムセッション(8:20~16:00)と夜間取引のナイトタイムセッション(16:30~23:59)の2つがあります。

図3 株価注意報 「PTSナイトタイムセッション 株価上昇率ランキング」
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 決算が場中に発表された場合には、そのまま場中の株価の動きに反映されますが、決算の大半は大引け後に発表されますので、株価への影響をPTSの「夜間取引ランキング」を使ってみていきます。「上昇率」と「下落率」のランキングをそれぞれ確認して、他の投資家に決算が好感されて買われている銘柄がどれなのか、また売られている銘柄がどれなのかを確認しましょう。

 ただし、PTSで買われていても、翌日の株式市場で買われるとは限りません。また、PTSで売られているからといって、翌日の株式市場でも同じように売られるとは限りません。話半分くらいの気持ちで、PTSランキングを参考にするという感じで活用することが大事でしょう。

 ここまでやると、自分がよさそうだと思った決算の銘柄と、PTSランキングで評価されている銘柄の2通りのグループが抽出できます。ここで念には念を入れて「本日のサプライズ決算」と「本日のイチオシ決算」に目を通して、さらなる第三者の視点を取り入れてみましょう。とにかく決算発表を他の投資家がどう読んで、どう分析し、判断しているのかによって、翌日以降の株価の動向が決まるわけですから念入りに確認しておくことが大切です。

 さて、ここまでは決算発表について自分の見方に加え、第三者による捉え方を確認してきたわけですが、どれが正解なのかは翌日の株式市場が始まってみなければわかりません。ただ、勝率を高めるためには、翌日の寄り付きまでに、よさそうだなと思った銘柄の「決算短信」や「決算説明資料」、「チャート」は必ず確認しておきましょう。

 そして、実際に翌日の寄り付き以降、どんな銘柄が買われ、どんな銘柄が買われなかったのかを確認しておきましょう。通常取引とPTS、特にナイトタイムセッションでは、投資家の銘柄を選ぶ基準が異なる場合が多いためか異なった結果になることも少なくないので、どのような視点で買われる銘柄が選ばれているのかを確認しておくことは、今後のためにも重要です。

 なお、保有株の株価が好決算で上昇するのは素直に喜ばしいことですが、目をつけていながらまだ保有していない銘柄が好決算を発表した場合、「あーあ、あの時買っておけばよかった」と悔しがる人も多いかもしれません。しかし、株価は企業が成長を続けている間は長期にわたって上昇する傾向がありますので、高くなった銘柄が押しを入れて安くなったところをあえて狙ってみるなど、手法はいろいろあります。ぜひ、決算発表から有望銘柄を探してみてくださいね!

 


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