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【特集】横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (37) PTSランキングを活用して、FOMCと米国株の影響を乗り切ろう!

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆無視できない米国市場のインパクトに、どう対処すべきか

 米国の中央銀行の最高意思決定機関が連邦準備制度理事会、いわゆる「FRB(Federal Reserve Boardの略)」であり、このFRBがFOMC(連邦公開市場委員会)を開催します。そして、FOMCで米国景気の現状を判断したうえで金融政策を決定し、政策金利(いわゆるFFレート)を上げるのか、それとも下げるのかといった方針が発表されます。

 一般的に、中央銀行が利上げを実施すると、金融機関の貸出金利や預金金利などの市場金利は上昇します。金融機関からの借り入れなどで事業の継続や拡大を行っている企業は、金利が上昇すると借入金の支払利息が増え、収益の圧迫要因となります。逆風にさらされた企業は身を守るために投資を抑制しますが、それが経済活動の停滞を招き、再び売上高や利益を圧迫するという具合に、負の循環となって跳ね返ってきます。そして、その結果、株価の低迷を招くことにつながります。金利が上がると株価を下押しし、金利が下がると株価を押し上げると言われるのは、この構図を映したものです。

 FRBは2022年3月以来、歴史的なインフレを沈静化させるために金融引き締めを行い、米国の株式市場はこれまで9回にわたる急ピッチの利上げに翻弄されてきました。しかし、その利上げもいよいよ終盤との観測が浮上してきており、年内に利下げに転換するのか、それとも現状維持となるのか、はたまた利上げが続くのか、今後の方向性に注目が集まる状況です。直近5月2日~3日のFOMCがどのような結果になったかも、皆さんはご存じのことでしょう。FOMC後にパウエルFRB議長がどのような会見を行うのかは、世界の投資家の最大の関心事の一つでもあります。

 そもそも米国の株式市場は時差の関係で、日本の東京証券取引所が終了した夜間(サマータイム:22時半から翌朝5時、冬時間:23時半から翌朝6時まで)に取引が行われます。翌日の日本の株式市場の動向に影響を与えるため、米国株の動向が気になってなかなか寝られず、特にFOMCなどビッグイベントのある日は寝不足気味という人もいるかもしれません。

 こうしたビッグイベントはもちろん、米国株が暴落(急騰)した場合などは、日本の株式市場に少なからず影響を及ぼします。夜間に米国株が暴落していたりすると、明日の東京市場はいくらで寄り付くのだろうと不安になって、「いち早く株を売却できれば……」と考える人も多いことでしょう。

 なお、CME(Chicago Mercantile Exchangeの略)と呼ばれるシカゴ・マーカンタイル取引所では、24時間電子取引システムである「GLOBEX(グローベックス)」を提供しています。グローベックスでは、日経平均株価やS&P500など株価指数の先物取引やオプション取引が幅広く取り扱われています。特に日経平均株価を対象とした「CME日経平均先物」の動きは、翌日の日本の株式市場の動向に影響を与えますので、PTSの動向とともに確認しておくとよいでしょう。株探では朝の8時前後に配信する「シカゴ日経平均先物」でその動きを確認することができます(図1)。

図1 朝8時前後に配信される「シカゴ日経平均先物」 (4月27日)
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 しかし、東京証券取引所で通常取引が始まるのは午前9時ですから、それまでは悶々と過ごすことになってしまいます。そこで、活用したいのが前回ご紹介したPTS取引です。PTSとは、証券取引所を経由せずに株式を売買できる私設取引システムのことです。PTSは株式市場(通常取引)が開く前の8時20分から始まり、大引け後の16時まで(デイタイム)、さらに16時半から23時59分まで(ナイトタイム)取引が可能になります。つまり、PTSを活用することで、8時20分から取引を行うことができるようになるのです。そして、PTS市場の動きをみることで、株式市場がどういった値動きになるのかはある程度事前に想定しておくことができるようになります。

 株探では「PTSランキング」という新サービスの提供が始まっていますので、ぜひ活用してみてください。PTSランキングの使い方については、前回の記事を参照してください。

▼(36)「PTSランキング」で材料のインパクトをいち早く知ろう!

 では、今が米国株の取引が終わった朝だと仮定しましょう。「日中取引ランキング」の「上昇率」か「下落率」をクリックすると、「PTSデイタイムセッション 株価上昇率ランキング」「PTSデイタイムセッション 株価下落率ランキング」のページが表示されます(PTSランキングの情報は20分ディレイですが、プレミアム会員の方はリアルタイムで確認いただけます)。なお、株探では4月27日より「PTS売買代金ランキング」の提供も始まっていますので、こちらも併せてチェックしましょう。

図2 PTSデイタイムセッション 株価上昇率・下落率・売買代金ランキング
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 米国株の動向を受けて、朝のPTS市場で個別銘柄がどのような動きになっているのかを、これらのランキングで確認することで、他の投資家がどう判断しているかを先んじて探ることができます。ただし、前回も指摘したように、参加者の少ないPTSでの結果が通常取引でも同じように繰り返されるわけではない点にはご注意ください。

 世界の株式市場は密接に関連していますので、米国の株式市場の動向が気になって仕方がないという気持ちはわかります。しかし、気になって起きていてもどうすることもできませんから、ここは諦めて寝ることにしましょう。ただ、PTSは東京証券取引所よりも少しだけですが早く始まります。このPTSランキングを利用することで、いち早く投資戦略を構築してみてはいかがでしょう。

★5月3日~7日に「ゴールデンウイーク特集」などを"28本"配信します。ご期待ください。


 


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