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【市況】明日の株式相場に向けて=特需復活!「インバウンド関連」はまだ序章

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比50円高の2万8657円と反発。2万8000円台後半は上値が重いのは当然としても、下値ではしぶとく買いが続いている。きょうは朝方安く始まったのだが、押し目買い意欲は活発で、寄り直後から逡巡することなく戻り足に転じた。前場後半には先物を絡めた大口買いでプラス圏に浮上すると、あとは2万8600円台で淡々と売り物をこなす展開に。売買代金は盛り上がりを欠き、1日を通じた日経平均のレンジも狭かったが、買い気の強さはしっかりと認識できた。TOPIXはわずかに安く引けたものの、値上がり銘柄数は1000を超え、値下がり数を300以上上回っている。

 そのなか、半導体関連株はまちまちの展開だった。きょうは日本時間午後3時頃に台湾半導体受託製造最大手のTSMC<TSM>の1~3月期決算が発表される予定となっていたことで、これを見極めたいとの思惑が半導体セクターの株価を重くした。特に今回は、事前の観測報道でTSMCの設備投資減額の話が流れていたこともあり、最先端半導体分野に絡む大手企業ほど、TSMCが何を発表するのか戦々恐々のムードだったといえる。結局決算は市場予想を上回ったものの、売上高、利益ともにお世辞にも良い内容とは言えなかった。

 前日の米国株市場ではオランダのリソグラフィー大手ASMLホールディング<ASML>の下げが目立ったが、きょうの東京市場でもEUV露光装置分野でASMLとの関係性が強いレーザーテック<6920>は終日冴えない値動きだった。ただし、今は真っ暗であってもそれは半導体関連にとって夜明け前の闇であることに変わりはない。例えば、今がトンネルの入り口であれば、ヘッジファンドがここから売り叩きに行くような展開も警戒しなければならないが、時間軸的にみてそれは考えにくいところだ。麦わら帽子ではないが、冬に買うのが株式投資に勝つ秘訣とするならば、半導体関連の押し目拾いは今が旬ということにもなる。もちろん先を競ってまで買いに行く蓋然性はなく、株価が跳ねたところは手を出さず、深押しがあれば拾っておくくらいの感じで十分と思われる。

 一方、きょうは業種別の値上がり上位に「小売業」が食い込んだ。これはいうまでもなく前日に発表された3月の訪日外国人客数が強力なフォローウインドとなっている。181万7500人という数字にサプライズ感はないが、前年同月比では27倍強と変化率の大きさが際立つ。水準的にみればコロナ前の19年3月との比較で3分の2の客数に過ぎないのだが、これはこれでインバウンド消費の懐の深さ、これからの可能性を示唆するもので、テーマ買いの動きはまだ序章という見方も成り立つ。中国からの入国者は、日本への団体旅行が許可されていない関係もあってピーク時の1割止まりというから、逆にこの残された伸びしろが今後の楽しみとなる。

 関連銘柄に目を向けると、以前当欄でも紹介したDDホールディングス<3073>が上げ足を一気に加速させ、約3年ぶりの高値圏に浮上したほか、旅工房<6548>がストップ高人気となっている。また、直近取り上げてきた銘柄では、ワシントンホテル<4691>が一時62円高の945円と急動意をみせた。同社株や京都ホテル<9723>などホテル関連はまだ上値余地があると思われるが、合わせて注目したいのがスチュワード事業を展開するCSSホールディングス<2304>で目先の押し目は仕込み好機の可能性がある。

 このほか、インバウンド関連では飲食店向けに求人や食材仕入れなどの支援サイトを運営するシンクロ・フード<3963>もマーク。飲食店は人手不足の克服が大きな課題となっている。同様の観点で今年1月から継続的に追っているツナググループ・ホールディングス<6551>も13週移動平均線とのカイ離解消場面は拾い場となっている公算が大きい。

 あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に3月の全国消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、午後取引時間中には3月の食品スーパー売上高が開示される。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。IPOが1社予定されており、東証プライム市場に楽天銀行<5838>が新規上場、市場の注目度も高い。海外では、3月の英小売売上高のほか、4月の仏製造業購買担当者景気指数(PMI)、4月の独製造業PMI,4月のユーロ圏製造業PMI、4月の米製造業PMI(いずれも速報値)などが発表される。なお、インドネシア市場は休場。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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