【市況】4日の米国市場ダイジェスト:米国株式市場は下落、景気後退懸念が強まる
NASDAQ <日足> 「株探」多機能チャートより
■NY株式:米国株式市場は下落、景気後退懸念が強まる
ダウ平均は198.77ドル安の33,402.38ドル、ナスダックは63.12ポイント安の12,126.33で取引を終了した。
新四半期入りに伴う新規の買いが支え、寄り付き後は全般もみ合い。しかし、その後に発表された2月JOLTS求人件数が予想を下回り2021年5月以来で最低となったため、連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が後退する一方で景気後退懸念が強まり、売りに拍車がかかった。また、JPモルガン銀行(JPM)のダイモン最高経営責任者(CEO)が株主宛て年次書簡で金融危機が進行中で影響が長期化する可能性を警告し、銀行セクターが下落したことも相場を押し下げた。終盤にかけても戻りは鈍く、下落で終了。セクター別では公益事業や電気通信サービスが上昇した一方で、資本財や銀行が下落した。
鉱山会社のニューモント(NEM)や金産出会社のバリックゴールド(GOLD)は金価格の上昇に伴う収益増加期待からそれぞれ上昇。銀行のJPモルガン(JPM)やシティ(C)、ファースト・リパブリック・バンク(FRC)は金融システムへの懸念がくすぶり、それぞれ下落。重機メーカーのキャタピラーは世界のマクロ経済見通しの悪化で売り上げ減少懸念が強まり下落。農機具メーカーのディア(DE)や設備レンタル会社のユナイテッドレンタルズ(URI)も売上減が警戒され売られた。自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)はコスト削減達成の一環として早期退職プログラムに約5000人が応募し、第1四半期に約10億ドルの費用を計上する見通しと発表したことで下落。航空機メーカーのボーイング(BA)はアナリストの投資判断引き下げで売られた。人工知能のソフトウエア会社、C3.ai(AI)は空売り投資家が同社の会計問題を指摘したことで下落した。
投資家の恐怖心理を示すVIX指数は一時20を上回ったが、再び18台に低下した。
(Horiko Capital Management LLC)
■NY為替:ドル弱含み、2月JOLT求人件数減少で米利上げ観測後退
4日のニューヨーク外為市場でドル・円は、133円00銭から131円52銭まで下落し、131円71銭で引けた。米2月JOLT求人件数が予想外に1000万件を割り込み、21年5月来で最低となったほか、米2月製造業受注も予想を下回り追加利上げ観測が後退。景気後退懸念も強まり金利が低下しドル売りに拍車がかかった。
ユーロ・ドルは、1.0887ドルへ下落後、1.0973ドルまで上昇し、1.0956ドルで引けた。ユーロ・円は145円00銭から143円96銭まで下落した。ポンド・ドルは、1.2466ドルから1.2525ドルまで上昇。英中銀のチーフエコノミスト、ピル氏が「根強いインフレはより高い金利を正当化する」と追加利上げを示唆しポンド買いが優勢となった。ドル・スイスは、0.91410フランから0.9055フランまで下落した。
■NY原油:強含みで80.71ドル、減産による需給ひっ迫を警戒
NY原油先物5月限は強含み(NYMEX原油5月限終値:80.71 ↑0.29)。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物5月限は、前営業日比+0.29ドルの80.71ドルで通常取引を終了した。時間外取引を含めた取引レンジは79.61ドル-81.81ドル。OPECプラスによる追加減産による需給ひっ迫が引き続き警戒されており、米国市場の前半にかけて81.81ドルまで買われた。株安を意識して79.61ドルまで下げたが、押し目買い興味が残されており、通常取引終了後の時間外取引で80.97ドルまで戻している。
■主要米国企業の終値
銘柄名⇒終値⇒前日比(騰落率)
バンクオブアメリカ(BAC) 27.98ドル -0.61ドル(-2.13%)
モルガン・スタンレー(MS) 84.82ドル -2.34ドル(-2.68%)
ゴールドマン・サックス(GS)322.65ドル -3.87ドル(-1.19%)
インテル(INTC) 33.10ドル +0.21ドル(+0.64%)
アップル(AAPL) 165.63ドル -0.54ドル(-0.32%)
アルファベット(GOOG) 105.12ドル +0.21ドル(+0.20%)
メタ(META) 214.72ドル +1.65ドル(+0.77%)
キャタピラー(CAT) 217.45ドル -12.42ドル(-5.40%)
アルコア(AA) 40.34ドル -1.43ドル(-3.42%)
ウォルマート(WMT) 147.23ドル -1.46ドル(-0.98%)
《NH》
提供:フィスコ