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【市況】明日の株式相場に向けて=遠のくソフトランディング

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比99円高の2万8287円と3日続伸。TOPIXと歩調を合わせて全体指数は上値追いが続いているが、個別株をみるとプライム市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数はほぼ拮抗。東証スタンダード市場指数とグロース市場指数、そして東証マザーズ指数はいずれも軟調で、総じて中小型株への売りが目立つ状況となった。インバウンド関連やハイテクセクターには利食い急ぎの動きも見られ、個人投資家の体感温度ではそれほど強気な地合いとはいえない。

 前日の米国株市場では、発表された3月の米製造業景況感指数は好不況の分水嶺である50を5カ月連続で下回った。元来、景気が弱い方がインフレへの警戒感を増幅させず、利上げに対する懸念も後退するのだが、ここにきてマインドが変わってきた。「OPECプラスの原油減産は米国に対する嫌がらせ」(ネット証券アナリスト)という指摘もあるが、いずれにしても足もと原油市況が再び高騰していることで、川上からのコストプッシュインフレが再び警戒されるようになった。バロメーターである金価格もフシ目の2000ドル大台ラインを突破し最高値圏に浮上、こうなると景気が悪いのに物価が上がるというスタグフレーションが現実味を帯びてくる。

 FRBとしても経済のソフトランディングを達成するのはかなり困難な状況といえる。というより、FRBはハードランディングによって今回のインフレを何とか抑えようとしているフシがある。一時は「ノーランディング」などという楽観論も幅を利かせたが、その可能性はかなり薄くなった。市場では「ノーランディングというが、ランディングしないのは墜落も該当する」などという笑えないジョークも聞かれるが、それはつまりリーマン再来のシナリオを意味する。

 今のところ4月相場は強気を唱える市場関係者が圧倒的に多い。しかし、たとえそうであっても長期保有の買いポジションはなるべく軽くして、基本は短期で売り買いを繰り返す方が賢明といえそうだ。そのなか、人工知能(AI)関連やパワー半導体関連などテーマ買いの動きも継続してはいるが、目先的には買い疲れ感も意識され、先駆した株は調整モードに入っている。有利な投資対象を探した場合、純金上場信託(現物国内保管型)<1540>のような金のETFはヘッジ的に購入しておく価値がある。また、4月新年度相場入りでクローズアップされた低PBR銘柄への物色人気は今のところ局地的ではあるが、投資テーマとしては持続性が高い。新たに目につくところではPBR0.2倍台の三菱製紙<3864>あたりも水準訂正高の候補となる。このほかPBR0.4倍の安田倉庫<9324>もチャートの形が良化しており再注目しておいてよさそうだ。

 テーマ買いの対象としては、タイミング的に宇宙ビジネス関連に目を配りたい。来週12日にispace<9348>が東証グロース市場に新規上場する。月への物資輸送サービスをはじめとした月面開発事業を手掛けるとなれば、足もとの業績はともかく“ドリーム感”は満載である。翌13日には日本航空宇宙学会の講演会、23日には調布航空宇宙センターが一般公開される。3月7日に「H3」ロケットの打ち上げ失敗を契機に、大きく下値を模索した三菱重工業<7011>が3月中旬を境に陽線の連打で強烈な戻り足をみせていることも暗示的。同社株はきょうで10連騰となった。改めて宇宙関連株にスポットを当ててみると、強い足を形成している銘柄が多いことに気づかされる。

 例えば、キヤノン電子<7739>は年初来高値圏で頑強な値動き。同社は宇宙スタートアップのスペースワンをグループ会社に擁している。2月に打ち上げを予定していたロケット初号機は夏場に延期されたが、早晩マーケットの視線を集めそうだ。このほか、セック<3741>も調整一巡で好機。外界と密接にリンクしたコンピューターシステム技術(リアルタイムソフトウェア技術)に特化したニッチトップ企業であり、宇宙ビジネスで活躍余地は大きい。これ以外では、INCLUSIVE<7078>、アイネット<9600>、日東製網<3524>なども宇宙関連株としてマークしておきたい。

 あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に4月の日銀当座預金増減見込みが開示される。午後取引時間中には日銀から需給ギャップと潜在成長率について発表される。海外ではニュージーランド中銀、ポーランド中銀の政策金利が発表されるほか、3月のADP全米雇用リポート、3月の米ISM非製造業景況感指数、2月の米貿易収支などが注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2023年04月04日 18時41分

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